真正細菌
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バイオマスの観点では、細菌は植物を超える存在である[25]。土壌では、4000m2あたり2トンの微生物(真菌、古細菌を含む)が含まれていると見積もられている[要出典]。また海洋においては、栄養状態にかかわらず1ミリリットル(mL)あたり50細胞程度の細菌が存在しており(沿岸や生物の死体周辺ではmLあたり105細胞以上生息している)、海洋だけでも地上の真核生物量をはるかに凌駕する計算がなされている[要出典]。
形状・大きさ様々な形態を持つ細菌[26]

細菌は様々な細胞形態や配置を示す。一般に、大きさはおおむね0.5-5 μm程度であり、古細菌と同規模で真核生物よりは一桁小さい。桿菌の中では、長いものは15 μmほどになる。さらに肉眼でも見ることができるサイズになるものもあり、例えばThiomargarita namibiensisは500 μmほどに[27]、Epulopiscium fishelsoniは700 μm程度にも達する[28]。最大で2 cmにもなる細菌も発見されている[29]。逆に最小のバクテリアとしては、わずか0.3 μmのマイコプラズマ属の種が知られている[30]。これよりも小さい細菌が存在する可能性も示唆されているが、支持されていない[31]

細菌の細胞は、藍藻類など一部を除いて、多くの場合種同士で見分けが付かない。古細菌の細胞とも酷似している。ただしドメイン全体で見ると、らせん菌など様々な形態が存在する。桿菌ではしばしば細胞壁が連なって長大な糸状になる。一部は多細胞性を示し、群体や菌糸を形成する。なかでも粘液細菌細胞性粘菌とよく似た生活環を持つことで知られる。大半の細菌種は、球状の球菌(ギリシャ語のkokkosから、coccusと呼ばれる)や棒状の桿菌(ラテン語のbaculusから、bacillusと呼ばれる)のいずれの形態をとる[32]。他のものとしては、ビブリオ属などの細菌はわずかに湾曲した棒状の形をとる他、spirillaはらせん状の形態をもち、特にスピロヘータはしっかりと巻かれた螺旋状の形態を取る。また、星型など、他にも珍しい形状を持つ細菌種が知られている[33]。このような形状の多様性は、細菌の細胞壁細胞骨格によって決定されており、それぞれの形状は細菌が栄養素を獲得したり、表面に付着し、液体を泳ぎ、捕食者から逃れたりする能力などに影響を与える可能性があるため、生態的にも重要である[34][35]生物および生体分子のサイズ比較。原核生物(Prokaryotes)が細菌と古細菌に当たる[36]。真核生物はEukaryotesにあたる。

多くの細菌種は単一の細胞として存在しているが、例外も知られている。例えばナイセリア属(Neisseria)は二倍体(ペア)を形成し、連鎖球菌はその名の通り鎖状の構造をとり、ブドウ球菌も名の通りブドウの房のようなクラスター構造を取る。他にも、放線菌に見られるような細長いフィラメント状になったり、粘液細菌種のように凝集体を構築したり、ストレプトマイセス属種のように複雑な菌糸を出したりなど、より大きな多細胞構造を形成するための機能をもっているものも知られている[37]。このような多細胞構造は、しばしば特定の条件でのみ見られることがある。たとえば粘液細菌は、生育環境中のアミノ酸が不足するとクオラムセンシングと呼ばれるプロセスを通じて周囲の細胞を認識し、互いに向かい合うように移動し、約100,000個の細菌細胞が凝集して長さ最大500マイクロメートル程度の子実体を形成する[38]。これらの子実体では、凝集した細胞は別々の機能を担う。たとえば、細胞の約10分の1が子実体の上部に移動し、乾燥やその他の悪環境条件に対してより耐性のある粘液胞子と呼ばれる特殊な休眠状態に分化する[39]

細菌はしばしば何かしらの物質の表面に付着し、バイオフィルムと呼ばれる密集した凝集体を形成して大きな形成物(微生物マット)を形成する[40][41]。バイオフィルムは数マイクロメートルから最大0.5メートル程度までの厚さを持ち、複数の種類の細菌や原生生物、古細菌が混合している場合がある。バイオフィルムに生息する細菌は、細胞と細胞外成分が複雑に絡み合い、マイクロコロニーなどの二次構造を形成している。この構造を介して、栄養素をより良い形で拡散するようなネットワークを形成している[42][43]。土壌や植物の表面などの自然環境では、細菌の大部分はバイオフィルムの表面に結合している[44]臨床分野においても、バイオフィルムは、例えば慢性的な細菌感染症や人体に埋め込まれた医療機器を介した感染症において良く見られる。バイオフィルムの内部は外部刺激から保護されている状態であるため、単独で存在する細菌細胞と比べて殺菌することがはるかに困難である[45]
細胞構造細菌の基本的な構造。細胞膜の外側には細胞壁(この画像ではそのさらに外側に莢膜)がある。細胞内小器官は存在せず内容物は混ざっている。詳細は「細菌の細胞構造」を参照

細菌の細胞は、鞭毛線毛莢膜細胞壁ペリプラズム細胞膜細胞質などから構成されており、主にリン脂質からできている細胞膜に囲まれている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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