真核生物
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核は核膜と呼ばれる二重膜に囲まれており、核膜孔が物質の出入りを可能にしている[26]。核膜のさまざまな管状や板状の延長部分が小胞体を形成し、タンパク質の輸送(英語版)と成熟に関与している。粗面小胞体は、タンパク質を合成するリボソームで覆われた小胞体である。生成したタンパク質は内部空間あるいは内腔に入り、その後一般に、滑面小胞体から出芽した小胞に取り込まれる[27]。ほとんどの真核生物では、これらのタンパク質を輸送する小胞は放出され、ゴルジ装置と呼ばれる扁平槽(シスターネ(英語版))が積み重なった小器官でさらに修飾される[28]

小胞は特殊化することもあり、たとえばリソソームは、細胞質内の生体分子を分解する消化酵素を含んでいる[29]
ミトコンドリア詳細は「ミトコンドリア」を参照基本的に真核生物にはミトコンドリアが存在し、独自にDNAを持つことから原核細胞にも似ている

ミトコンドリアは真核細胞に存在する細胞小器官である。ミトコンドリアは、通称「細胞の発電所[30]」と呼ばれ、糖や脂肪を酸化してエネルギーを貯蔵するアデノシン三リン酸(ATP)分子を生成し、エネルギーを供給する機能を持つ[31][32]。ミトコンドリアは、リン脂質二重膜でできた2つの膜で覆われ、内側の膜クリステという折り畳まれた構造になっていて、そこで好気呼吸が行われる[33]

ミトコンドリアは独自のDNAを持ち、そのDNAは起源とする細菌DNA(英語版)と構造的に類似しており、真核生物のRNAよりも細菌のRNAに近い構造的のRNAを生成するrRNAtRNAの遺伝子をコードしている[34]

一部の真核生物、たとえばメタモナス類ジアルジア属(Giardia)やトリコモナス(Trichomonas)、アメーバ動物門ペロミクサ(Pelomyxa)はミトコンドリアを欠いているように見えるが、いずれもハイドロジェノソームマイトソームのようなミトコンドリア由来の細胞小器官を持っており、ミトコンドリアは二次的に失われたものである[35]。これらは細胞質内の酵素作用によってエネルギーを得ている[36][35]
プラスチド詳細は「プラスチド」を参照プラスチドの最も一般的な種類は葉緑体で、葉緑体はクロロフィルを含み、光合成によって有機化合物を生成する。

植物やさまざまな藻類は、ミトコンドリアだけでなくプラスチドも持っている。プラスチドは、ミトコンドリアと同様に独自のDNA(英語版)を持ち、内部共生(この場合はシアノバクテリア)から進化した。それらは通常、葉緑体の形を取り、シアノバクテリアのようにクロロフィルを含み、光合成によってグルコースなどの有機化合物を生成する。また、栄養素の貯蔵を担うものもある。プラスチドはおそらく単一の起源を持つが、すべてのプラスチドを持つグループが密接に関連しているわけではない。それどころか、真核生物の中には、二次的な内部共生(英語版)あるいは摂取によって、他の生物からそれらを獲得したものもある[37]。光合成細胞や葉緑体の捕獲と隔離、すなわち盗葉緑体化は、現代の多くの種類の真核生物で見られる[38][39]
細胞骨格詳細は「細胞骨格」を参照顕微鏡下で観察したウシ肺動脈の内皮細胞の細胞骨格。細胞核は青、微小管は緑、フィラメント状アクチンは赤で標識されている。

細胞骨格は、細胞が動いたり、形を変化させたり、物質の輸送を可能にするモーター構造のために、剛構造と結合点を提供する。モーター構造はアクチンマイクロフィラメント(微小線維)であり、α-アクチニン(英語版)、フィンブリンフィラミンなどのアクチン結合タンパク質が膜下の皮質や繊維束に存在する。微小管のモータータンパク質ダイニンキネシン、そしてアクチンフィラメントのミオシンが、ネットワークに動的な特性を与える[40][41]

多くの真核生物は、鞭毛と呼ばれる細長い運動性の細胞質突起、あるいは繊毛と呼ばれる多数の短い構造を持っている。これらの細胞小器官(英語版)は、運動、摂食、感覚などさまざまに関与している。それらは主にチューブリンから構成され、原核生物の鞭毛とはまったく異なる。これらは中心小体から生成する微小管の束によって支えられており、2本の1本鎖を9本の2本鎖が取り囲むように配列しているのが特徴である。鞭毛は、ストラメノパイル(Stramenopiles)の多くに見られるように、管状小毛(マスチゴネマ(英語版))を持つこともある。それらの内部は細胞質と連続している[42][43]

中心小体は、鞭毛を持たない細胞や細胞群でもよく存在するが、針葉樹類顕花植物にはどちらもない。これらは一般に、さまざまな微小管性鞭毛根を生じさせるグループに存在する。これらは細胞骨格の主要な構成要素を形成し、しばしば数回の細胞分裂の過程で組み立てられ、一方の鞭毛は親から受け継ぎ、もう一方はそこから派生する。中心小体は核分裂の際に紡錘体の形成に関与する[44]
細胞壁詳細は「細胞壁」を参照

植物、藻類、真菌類、そしてほとんどのクロムアルベオラータ類の細胞は細胞壁に囲まれているが、動物の細胞は細胞壁に囲まれていない。これは細胞膜の外側にある層で、細胞を構造的に支え、保護し、濾過機構を提供する。細胞壁はまた、水が細胞内に侵入したときの過膨張(英語版)を防ぐ役割も果たす[45]

陸上植物の一次細胞壁を構成する主な多糖類は、セルロースヘミセルロースペクチンである。セルロース・ミクロフィブリル(英語版)はヘミセルロースと結合し、ペクチン・マトリックスに埋め込まれている。一次細胞壁で最も一般的なヘミセルロースはキシログルカンである[46]
有性生殖詳細は「有性生殖の進化(英語版)」を参照有性生殖には、細胞内に染色体が一つずつ存在する単相と、二本ずつ存在する複相を交互に繰り返す生活環がなくてはならない。真核生物では、減数分裂によって単数体の配偶子が作られ、2つの配偶子が融合して二倍体の接合子が形成される。

真核生物は有性生殖を伴う生活環を持ち、各細胞に染色体が1つずつしか存在しない単相と、各細胞に染色体が2つずつ存在する複相とを交互に繰り返す。


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