真核生物
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(左) 原核生物細菌(小さな円筒形の細胞)と、(右) 単細胞の真核生物ゾウリムシの大きさを比較した顕微鏡像

セコイア

シロナガスクジラ

真核生物は多彩な系統であり、主に微細な生物から構成されている[14]。多細胞性は何らかの形で、真核生物の中で少なくとも25回は独立して進化してきた[15][16]。複雑な多細胞生物は、アメーバ属の集合体である粘菌類を除けば、動物真菌類、褐藻類、紅藻類、緑藻類、陸上植物の6つの真核生物の系統の中で進化してきたにすぎない[17]。真核生物はゲノムの類似性に基づいてグループ分けされているため、グループには目に見える共通の特徴がないことが多い[14]
特徴詳細は「細胞#真核細胞」を参照

真核生物の決定的な特徴は、その細胞を持っていることである。真核(eukaryote)という用語は、ギリシャ語のε?(eu、よく、うまく)とκ?ρυον(karyon、仁、核)からその名前がつけられた[18]。真核細胞には、細胞小器官と呼ばれるさまざまな内膜結合構造と、細胞の組織と形状を規定する細胞骨格がある。核は細胞のDNAを保持しており、染色体と呼ばれる線状の束に分かれている[19]。これらの染色体は、真核生物に特有の有糸分裂の過程で核分裂が起こる際、微小管紡錘体によって2つの同じ集まりに分離される[20]
生化学

真核生物は多くの点で原核生物とは異なっており、たとえば、ステラン合成のような独特な生化学的経路を持っている[21]。真核生物のそのシグネチャータンパク質は、他の生命ドメインのタンパク質とは相同性をもたないが、真核生物の間では普遍的なもののようである。これらのタンパク質には、細胞骨格、複雑な転写機構、膜選別システム、核膜孔、および生化学的経路におけるいくつかの酵素などである[22]
内膜詳細は「細胞内膜系」を参照原核生物, 同じスケール内膜系を持つ真核細胞真核細胞は体積で原核細胞の約10,000倍大きく、膜結合細胞小器官を含んでいる

真核生物の細胞にはさまざまな膜結合構造があり、それらの集まりが内膜系を形成している[23]小胞液胞と呼ばれる単純な区画は、他の膜からの出芽によって形成される。多くの細胞は、エンドサイトーシスという過程(外膜が陥入(英語版)してからつまみ取るように小胞を形成する)を通じて食物やその他の物質を摂取する[24]。それに対して、エキソサイトーシスによって小胞から放出される細胞産物もある[25]

核は核膜と呼ばれる二重膜に囲まれており、核膜孔が物質の出入りを可能にしている[26]。核膜のさまざまな管状や板状の延長部分が小胞体を形成し、タンパク質の輸送(英語版)と成熟に関与している。粗面小胞体は、タンパク質を合成するリボソームで覆われた小胞体である。生成したタンパク質は内部空間あるいは内腔に入り、その後一般に、滑面小胞体から出芽した小胞に取り込まれる[27]。ほとんどの真核生物では、これらのタンパク質を輸送する小胞は放出され、ゴルジ装置と呼ばれる扁平槽(シスターネ(英語版))が積み重なった小器官でさらに修飾される[28]

小胞は特殊化することもあり、たとえばリソソームは、細胞質内の生体分子を分解する消化酵素を含んでいる[29]
ミトコンドリア詳細は「ミトコンドリア」を参照基本的に真核生物にはミトコンドリアが存在し、独自にDNAを持つことから原核細胞にも似ている

ミトコンドリアは真核細胞に存在する細胞小器官である。ミトコンドリアは、通称「細胞の発電所[30]」と呼ばれ、糖や脂肪を酸化してエネルギーを貯蔵するアデノシン三リン酸(ATP)分子を生成し、エネルギーを供給する機能を持つ[31][32]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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