看護師
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中学卒業後に2年間専門学校等で学べば受験資格が得られ、2016年末現在で約34万人が就業している[44]

保健師 - 保健師になるには、看護師免許を得た後に保健師の免許を取得する必要がある[112]保健所や企業、学校、病院に勤務し、コミュニティ全体の健康を支えるべく「予防」「対策」をメインとした健康相談・保健指導などを生業とする者を言う。2018年時点で約5.3万人が就業している[111]

助産師 -助産師になるには、看護師免許を得た後に助産師免許を取得する必要があり、かつ日本では資格取得が女性だけに制限されている(保助看法3条)[113]妊娠から出産、産後の新生児ケアに至るまで母子の健康を守るため一連の管理・指導活動を行うことを生業とする者をいう。正常分娩であれば医師の指示を必要とせず、自身の判断による助産介助ができるのも特徴である[114]。2018年時点で約3.6万人が就業している[111]

教育
看護師養成機関については、日本赤十字社が1886年に博愛社病院(後の日本赤十字社病院、現:日本赤十字社医療センター)を設立し、1890年から養成を開始した。1895年に看護師養成の教科書を編纂するなど、日本赤十字は明治時代から看護師を養成する先駆者的存在だった[115]。ただし当時の看護教育は大半が「各種学校」で行われていたもので、日本初となる大学での看護教育は1952年、高知女子大学で看護学科ができた時の事である[116]。1956年には学士(看護学)が制定されるも看護大学の数はさほど増えず、1991年時点で11校にとどまっていた。翌92年に「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が制定されると、看護師養成施設を設置した公立大学や短期大学に向けた財源交付などの補助も行われたため公立看護系大学の新設ラッシュが起こり、2019年時点で看護系大学の数は250校を超えるまで激増した[116]。現在では、さらに大学院での看護学専攻に進むことで修士(看護学)博士(看護学)の学位取得を目指すことも可能となっている[117]。日本で、個人が看護師になる道筋は主に4つある。1)高校卒業後に4年制看護系大学に進学、2)高校卒業後に3年制看護短期大学に進学、3)高校卒業後に3年制看護専門学校などの養成機関に進学、4)中学卒業後に5年一貫の看護師養成課程校に進学[110]。このいずれかで必要な教育を受けたのち、看護師国家試験に合格する必要がある。助産師や保健師になる場合は、1年以上の教育を受けて助産師国家試験や保健師国家試験に合格する必要があり、あわせて看護師国家試験にも合格している必要がある[110]。看護系大学に進学した人は他の養成学校に進学した人よりも少し有利となっていて、看護師になるための受験資格と一緒に、保健師または助産師になるための受験資格も得ることができる(当人が所定の科目を大学で選択履修した場合)。看護系大学は日本で看護師を目指す人にとって最善のルートである[89]。そこはより幅広い一般教養講座を提供しており、より厳格な教育様式の看護もできる。これら看護系大学は、臨地実習に出る際に重要かつ教育された意思決定を下せるようように学生達を養成する。なお、看護教員には「看護師(保健師や助産師も可)として5年以上業務に従事した者」などの条件があり[118]、学生を教える側の人材確保が教育面の課題のひとつでもある。看護短期大学や看護養成学校に通う学生は、看護大学を卒業した学生と同じ学位を取得するが、学歴は同じにならない。看護短期大学や養成学校で提供される授業は、より実践的な看護の局面に焦点を当てている。これらの教育機関は一般教養の授業をそう多く提供しないため、同校に通う学生は在学中に看護教育だけに集中する。看護短期大学や養成学校に通う学生にも、助産師や保健師になるチャンスはある。短期大学の卒業者であれば短大の専攻科をさらに1年間履修、養成学校の卒業者は希望分野の養成所でさらに1年間教育を受けることで、助産師や保健師の国家試験を受ける資格を得られる[110]。日本の看護師は免許を更新する必要がない。試験に合格すれば、彼らには終身免許が交付されることになる[89]
現状
米国と同じく、日本もより多くの看護婦を必要としている。この需要の背景となる原動力として、国が高齢化して国民のためにより多くの医療ケアが必要とされている事実がある。看護師等の人材確保の促進に関する法律をはじめとする90年代以降の取り組みもあって看護大学が急増したこともあり、就業看護師の数は2008年の87.7万人から2018年で121万人へと着実な増加が見られる[111]。また、同法によって病院等に勤務する看護師等の処遇改善も進んでおり、2019年の働き方改革関連法では時間外労働の上限規制なども定められた[119]。賃金面を見ると、日本の看護師の平均年収は450-500万円とされ、女性の多い職業としては(夜勤手当などもあり)比較的高いと言える[120]。ただし、医師は看護師のおよそ2倍の年収である[121]。内閣府の世論調査によると、看護師のイメージは「優しい・温かい(64.0%)、親切(61.5%)、頼りになる(50.4%)」が過半数を超えており、概ね良好である[122]。看護の仕事については「夜勤などがあって生活が不規則な仕事(62.3%)、忙しくてきつい仕事(58.5%)」といったネガティブな回答も目立ったが、最も高かった回答は「人命にかかわる尊い仕事(72.5%)」というポジティブなものである[122]。看護は3K労働環境と揶揄されたりもするが「危険な仕事(16.4%)、汚い仕事(14.4%)」との回答は少数だった[122]日本看護協会(JNA)のように、日本の看護師を団結させる組織がある。JNAは職能団体であり、労働組合ではない。47都道府県の看護協会(法人会員)と連携して活動する全国組織で、個人の力だけでは解決できない看護を取り巻く課題を、組織の力で解決して介護の発展に尽力している[123]。JNAのホームページによると「看護の質の向上」「看護職が働き続けられる環境づくり」「看護領域の開発・展開」という3つの基本理念の下、さまざまな活動を展開している[123]。救急看護や災害看護など、専門分野によって看護師を分類して活動している他の組織も存在する。 看護関連の最も古い労働組合の一つが、1957年に設立された日本医療労働組合連合会(医労連)である[124]。看護師だけでなく医師も含めた組合である。この組織は「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の制定に関与した[89]
インド

インドの看護教育は中央機関のインド看護評議会(Indian Nursing Council)によって統轄されており、その規範は各州の看護評議会を通じて施行されている。インド最初の公式な看護教育はマドラス医科大学で実施された。1947年にインド看護評議会を構築する法律が制定され、看護師や助産師や巡回保健師 (health visitor) になるための訓練の統一基準を確立した。看護の職業は、英国植民地時代は女性が独占していた。ただしマドラス管区では、男性が積極的に看護職に従事していた。
イスラエル

イスラエルの看護師は、病院ケア、患者教育、負傷ケア、出生前ほかの監視、助産、乳児診療など、様々なことを担当している。

イスラエル文化における看護は、古代エジプトでユダヤ人女性が出産する手助けをした2人のユダヤ人助産師(ShifraとPuah)から始まったとされている。

近現代の看護は、ハダサー(Haddassah)という組織によってイスラエルに派遣された看護師と、1918年にヘンリエッタ・ゾルドによって設立された看護学校を通じて設立された。その間、イギリスがイスラエルでの助産を規定したが、その規制令で看護師のことは言及されなかった。

今日では、イスラエル保健省を通じて看護師と助産師が規定されている。
オーストラリア

カトリック系宗教機関がオーストラリアにおける看護の発展に影響を及ぼし、オーストラリアにある病院の多くを設立した。1838年に到着した慈善修道女会 (Sisters of Charity of Australia) が、シドニーに貧しい人々のための無償の病院(St Vincent's Hospital)を1857年に設立した。他にも慈悲修道女会であったり、老人介護では貧民救済修道女会などが、オーストラリアじゅうに病院、ホスピス、研究機関、老人介護施設を設立した[125][126]

1800年代の国勢調査では、植民地時代に西オーストラリアで働く数百人の看護師が見つかったが、これには衰弱者の世話をしたアボリジニの女性使用人が含まれていた[127]

州の看護資格認定機関は、2011年に連邦機関AHPRA(オーストラリアの医療従事者登録局)のもと国内合併した[128]。看護免許の幾つかは現在も有効であり国中で認識されている。

准看護師は、国家認定に含まれる特定の技量を備えていれば経口薬の取り扱いを始めても構わないが、申請は機関によって異なる。

レジスタード・ナースは、大学の学位を有している(准看護師は登録看護師の地位に昇進することが可能で、以前の研究で単位を取得することが可能)。

ナース・プラクティショナーは、大学院の修士課程から就任できるようになり、私立診療所や公立の病院・診療所で働いている。

メンタルヘルスの看護師は、精神保健法(Mental Health Act)に基づいて顧客紹介を管理するために、高度なメンタルヘルス開業医としてさらなる訓練を修了する必要がある。

オーストラリアは、技術・継続教育(TAFE)大学または民間登録研修機関(RTO)で訓練を受けた専門看護師のための豊富な国家カリキュラムを設けている。准看護師とレジスタード・ナースは移民局によって必要な職業分野として識別されており、レジスタード・ナースは常に供給不足であるが、これは専門分野に行くにつれて増加する。

1986年に国じゅうで次々と産業争議が起こり、ビクトリア州の看護師5000人が18日間のストライキを行った時に最高潮に達した。病院はストライキ中の人達から非常勤職員を雇うことで機能を維持できたが、そのコスト増が看護師に有利な決着をもたらすこととなった。
脚注[脚注の使い方]


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