相棒
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脚本の完成後、監督の選定になったが、水谷は和泉聖治にこだわっていた。その理由に関して自著にて以下のように述べている[12]。和泉監督とは『遮断機の下りるとき』(フジテレビ系列 89年)という1時間ドラマでご一緒して、とてもアイデアが豊富な方だと思いました。それで『相棒』をスタートさせるとき、最初に和泉監督のスケジュールをチェックしました。 ? 水谷豊

なお、輿水が最初に書いた企画書には「黄金刑事(ゴールデンコップス)」というタイトルが付いていたが却下された[13]。なかなかスタッフ全員が納得のいくタイトルがないがために仮タイトルという扱いになり、その後スタッフが中華料理屋で食事中に偶然出てきた『相棒』と言うフレーズがタイトルに決まった[14][注 4]
人物設定
特命係・杉下右京
特命係の設定は企画に今日性が欲しいという要望から、名探偵的な要素と警察ものを合わせて名前だけはかっこいい窓際部署でシリアスな裏設定があると、輿水が考えついて生まれたものである。そこに追いやられた右京もまた輿水により、切れ者すぎて嫌われているという人物像が設定された
[15]。輿水は右京のキャラクターについて水谷が常に敬語の慇懃無礼なキャラを嫌味なく演じてくれたら面白そうだったからと語っている[16][17]。また右京の造形にはシャーロック・ホームズエルキュール・ポアロのような名探偵ものの線で構成し、ネチネチ犯人を追い詰めたり、回りくどい言い方をしたりする部分は『刑事コロンボ』からインスパイアされた[18]。右京の名前の由来は『パパと呼ばないで』の石立鉄男演じる安武右京が由来となっており、作中での「右京さん」と言う呼び方の響きがとても良かったことから名前として採用され、名字に関してはパソコンであれこれ打ってしっくりきたものがあてられた[14][16]。ちなみに水谷と石立は『夜明けの刑事』『赤い激流』で共演している。水谷の刑事役は刑事貴族2以来となる。劇中のエピソードでは刑事部の所属となることに刑事部が反発したため、しかたなく本庁内でも(作中設定として)ランクが低い生活安全部に押し付けたということになっている(生活安全部は本来、被害予防が主な業務)。
右京の相棒
亀山薫は寺脇の明るい人柄が反映されたキャラ造形となっている。また須藤プロデューサーが薫の名付け親であり、ちょっと中性的でいいと拝借された[16]。薫の後任の相棒となる神戸尊は、薫と同じ性格の人物が入るのを避けるため対照的なキャラクター付けがなされた。そして薫同様に警視庁から左遷させられるのでは二番煎じになるため、輿水が警視庁の推薦組の存在から権力欲もある人物が特命係にくるのは面白そうとし、単に左遷させられるだけではつまらないとスパイの設定を付与し、及川のイメージを付与しながら尊の人物像を作り上げた。また名前についてはパッと見て何て読むのかわからない難しい名前にしたかったという[19]。また、右京の相棒となる人物は四人共、全員「か」で始まり、「る」で終わる名前となっている。これは最初から意図したものではなく、及川光博演じる神戸尊が登場するS7のタイミングでスタッフがこの事に気付き、尊の後任として成宮寛貴演じる甲斐享と、反町隆史演じる冠城亘の名もこの法則を踏襲していく事となった[14]。尚、亀山薫から甲斐享までは、名字全てが実在の地名となっている法則があったが、冠城亘が登場した後は、この法則は崩れた形となった[14]
小野田公顕
小野田は連続ドラマ化にあたり、右京と対等に話せる人物が必要であるという水谷の提案により考案され、小野田のキャラが生み出される事となり、岸部一徳が起用された[20]。また小野田の登場はseason1の縦軸となる「特命係誕生の経緯」を明かすために配されたという意図もある[21]。シーズンを通して人気の高いキャラクターであったが、相棒劇場版IIにて生活安全部長であった元警視長の三宅貞夫に刺され殉職
キャスティング

脇を固める俳優達に従来のドラマのような人気俳優などではなく、小劇団出身者を多く配していることが特徴である[22][23]。松本基弘は「舞台出身の実力派が多いだけに短時間の出演でも強いインパクトを残してくれる」とコメントしている[24]

他にも“トリオ・ザ・捜一”の一人・伊丹役の川原和久は『相棒』の成功の要因にこうしたキャスティングを理由に挙げており、「出番が少なかったり、出てこないことがあっても、右京と薫やゲストの話を中心に濃密な構成が出来る」とコメントし、「失敗しているドラマは有名な俳優を多く配置し、それぞれの見せ場を見せている内に話が細くなるのに対し、『相棒』は幹の太い話を展開できる」とも分析している[25]

亀山役の寺脇が降板した際、一部では水谷との不仲説が噂されていたが、製作関係者が 「そもそも寺脇さんの卒業は不仲説ではなく、水谷さんが独り立ち≠オて欲しいという思いから背中を押しただけ。関係は良好ですよ」と否定しており[26]、season21では相棒として14年ぶりに復帰。後述のように本作の世界の中でのリアリティを理由に薫を卒業させたのに対して、捜査一課らの面子が変わらないことについて松本は、「相棒としてドラマを背負っている薫と違い、ドラマを背負ったわけではなく、例えば角田のポジションを別の演者がやっても面白くならないかもしれないリスクを冒してまで変更する必要はない」と語っている[27]。ただし、演者の降板や急逝など、やむを得ない事情により主要な登場人物を入れ替えたり代役を立てることもある。
ゲスト

一度ゲストで登場した俳優が同じ役で再出演しており、月本幸子役の鈴木杏樹や青木年男役の浅利陽介がゲスト出演からレギュラーに昇格した例がある。また、反対にゲストとして別役として登場していた俳優がメインキャストとして再登場することもあり、例として三浦信輔役の大谷亮介(PS1では室谷警部補役)、米沢守役の六角精児(PS1では監察医の米沢役[注 5])、芹沢慶二役の山中崇史(S1-1ではスナイパー役)、衣笠藤治役の大杉漣(S2-6では菅原英人役)、杉本哲太(S5-11では五十嵐哲夫役)、先述の青木年男役の浅利陽介(S6-10では安藤博貴役)らがいる。

その他の常連ゲストとしては菅原大吉(計6回。うち2回は同じ役の山崎哲雄役)、山本道子(計5回。うち2回は同じ役の江波和江役)、迫田孝也(計4回)、西田健(計3回)、笹野高史(計3回)らがいる。


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