盗用
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不正行為に対する対応は、研究者の倫理と社会的責任の問題として、その防止と併せ、まずは研究者自らの規律、及び科学コミュニティ、研究機関の自律に基づく自浄作用としてなされなければならない。 ? 文部科学省、研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて[4]

研究者の不正行為を「研究者の倫理と社会的責任の問題」「研究者自らの規律」など研究者個人の「道徳」的問題を主眼にしている。
盗用の定義・解説(日本)
政府

「研究活動にかかわる不正行為について法令上の定義はない」(平田容章[3])。盗用の厳密な定義はに存在しないので、各機関が独自に「盗用」を定義している。政府機関・大学研究機関・出版機関のいくつかを示す。
文部科学省

文部科学省は2006年8月8日に制定したガイドライン「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」[2]で、「捏造」「改竄」「盗用」の3つを研究倫理に違反する主要な不正行為とした。

このガイドラインは、2014年8月26日に改訂された[4]

文部科学省は、「捏造」「改竄」「盗用」の3つを、2014年版で「特定不正行為」と命名した。白楽ロックビルは、この3つを、米国の研究公正局の「研究不正」(Research Misconduct)に対応させて、「研究ネカト」と呼ぶことを提唱している[5]

また、2014年版では、2006年版の冒頭部分「本ガイドラインの対象とする不正行為は、発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造と改竄、及び盗用である。ただし、故意によるものではないことが根拠をもって明らかにされたものは不正行為には当たらない。」の「故意によるものではないことが根拠をもって明らかにされたものは不正行為には当たらない」という文章がなくなり、「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠った」場合は不正とみなされることになった。
厚生労働省

厚生労働省は、ガイドラインを定めた。その前文に次の文章がある[6]。「1 対象となる不正行為
本指針の対象となる研究活動は、厚生労働省が所管する競争的資金並びに国立高度専門医療センターが所管する委託費及び助成金を活用した研究活動であり、本指針の対象となる不正行為は、論文作成及び結果報告におけるデータ、情報、調査結果等の捏造、改竄及び盗用に限られる。なお、根拠が示されて故意によるものではないと明らかにされたものは不正行為には当たらない。」他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること。
日本学術会議

日本学術会議も、ガイドラインを定めた。[7]:
「盗用などの不正行為を為さず、また加担しない」とあるが、「盗用」の定義を記述していない。
学会(日本)
日本医学会

日本医学会は2014年に研究倫理委員会[8]を発足させた。しかし、利益相反や生命倫理と混用している 。ウェブサイトには「盗用」の定義も学会員向けのガイドラインもない。
日本分子生物学会 

日本分子生物学会に研究倫理委員会[9]はあるが、ウェブサイトには「盗用」の定義も学会員向けのガイドラインもない。
大学(日本)
東京大学

科学研究行動規範[10]のサイトが充実している。2006年以降の調査報告書・報道発表資料も公開している[11]

科学研究行動規範リーフレット[12]には盗用行為を具体的に示している。また、英語が併記されている(下記では省略した)。●研究室の同僚がミーティングで発表したアイデアを自らのアイデアとして公表した。

●論文を作成する際、序論や先行研究の説明は重要ではないと考え、他者の論文からそのまま流用した。
●インターネットで見つけた他人の文章を切り貼りして自分のレポートとして提出した。[12]
京都大学

[13]:
前文に次の文章がある。
「4 この規程において「研究活動上の不正行為」とは、本学教職員等が研究活動(修学上行われる論文作成を含む。)を行う場合における次の各号に掲げる行為をいう。ただし、故意により行われたものに限る。」他人のアイディア、研究過程、研究結果、論文又は用語を当該他人の了解を得ず、又は適切な表示をせずに使用すること。

文部科学省の字句とほとんど同じである。
早稲田大学

「研究活動に係る不正防止および不正行為への対応に関する規程」を2007年4月6日に制定している[14]。前文「この規程において「研究活動に係る不正行為」とは、本学における次に掲げる行為およびそれらに助力することをいう」があり、次の規程がある。

さらに、「学術研究倫理に係るガイドライン」[15]で、盗用行為を具体的に示している。(3)研究成果の適切な公表・オーサーシップの基準

1.研究者等は、研究成果の公表に際しては、データや論拠の信頼性の確保に十分留意し、つねに公正かつ適切な引用を行うよう努める。
2.研究者等は、研究成果の公表に際しては、オーサーシップや既発表の関連データの利用基準、著作権等について特に注意を払い、各研究組織や研究分野、学会、学術誌等に固有の慣行やルールを十分尊重する。
3.研究者等は、共同研究における成果の公表に際しては、それぞれの研究者等の実質的な貢献度を適切に反映させる[15]
研究所(日本)
理化学研究所

不正行為の防止等に関する規程[16]は前文に次の文章がある。「この規程において「特定不正行為」とは、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、投稿論文等発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造、改竄及び盗用をいう」盗用 他の者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該者の了解又は適切な表示なく使用すること。
学術出版(日本)

日本生化学会学術雑誌「The Journal of Biochemistry」(英語):ウェブサイトに「盗用」の定義はない。盗用検出ソフトのCrossCheckで盗用を検出しているとあり、実質上、CrossCheckの定義を適用していることになる[17]

盗用の定義・解説:まとめ(日本)

本来、「盗用の定義」が機関によって異なる理由はない。全部の省庁・大学・研究機関・出版機関を調べた文献はないが、上で見たように、日本での「盗用」の定義は、文部科学省の「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」(2006年)が基本で、各機関は、その概念・文言を踏襲している。「盗用の定義」をしていない機関は、文部科学省ガイドラインの定義と同じと想定される。
学部生・大学院生向け(日本)

学部生・大学院生向けの盗用の説明は日本では少ない。
上智大学

上智大学は珍しく学部生向けに詳しく[独自研究?]書いてある。カンニングやレポートの盗用など,不正行為は強く戒められる。

◆レポートや論文作成の上で守るべき引用の方法について

@レポートや論文で論ずる考え方や発想,図表などが,何らかの文献や資料,Webサイトに負っている場合には,どの文献や資料,Webサイトのどの箇所に負っているかを明らかにしなければなりません。
A文献や資料,Webサイトから直接引用する場合には,それが引用であることを「 」などで明示し,どの文献や資料のどの箇所から引用したかを明らかにしなければなりません。

上記@Aの処理を怠って,引用であることを示さないまま,あるいはアイデアを負っている文献や資料を示さないまま,内容を引き写したり記述を進めたりすることは盗用や剽窃(ひょうせつ)と見なされます。海外では,「プレジャリズム(plagiarism)」とも称され,文献やWebサイトからの安易な切り貼りとして強く非難されています。

▼(1)書籍やWebサイトからの引用や参照にあたっては,レポートや論文において,注記をつけて,資料の出所を明らかにします。引用の記載方法などは,学問分野ごとに多少の相違があるので,詳細は各教員に聞いていただくとして,以下のような内容を含んでいることが一般的です。
◇書籍からの引用例 : 著者名『書名』出版社名,刊行年,引用頁
◇学術誌の論文等の引用例 : 著者名「論文名」『所収雑誌名』○巻△号,刊行年,引用頁
◇Webサイトからの引用例 : 作成者名「サイト名や記事名」<URL ⇒http://www.○○○.△△△>、閲覧日-20XX年11月1日(または最終更新日-20XX年6月30日)▼(2)必要があり,他人の文章を自分のレポートや論文に直接取り込んで引用する場合は,その部分に「 」をつけ,直接引用した部分と自分が書いている地の文との違いを明瞭にする必要があります。
◇直接引用する箇所の例:“著者の上智太郎はこの点について,「大学の存在というものは3つの観点から・・・・ととらえる必要がある」と述べている(上智太郎, 20XX, p.215)。” ? レポートや論文作成の上で守るべき引用の方法について、上智大学履修要覧〔対象:14年次生〕38頁、2114yoran_14nenji_01.pdf 上智大学[18]、2014年4月18日閲覧。
早稲田大学

早稲田大学は日本語で盗用を詳しく解説[19][20]している。


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