皮革
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山羊「山羊皮」および「モロッコ革」を参照

ゴートレザー - 羊皮より充実した繊維組織を持ち、強くやや硬い。銀面は特有の凹凸をもち耐摩耗性に優れている。ヤンピーとも呼ばれ古典的なカメラの蛇腹に用いられる。

カンガルー詳細は「カンガルー革」を参照

近年特に使用が増えた皮革である。軽くて丈夫なのが特徴で、サッカー選手や陸上選手のスパイクシューズオートバイライディングスーツ(革ツナギ)などにも使用される。世界的に肉牛の需要が減少し、副産物としての牛革が減少するに伴い、徐々に採用された。基本部位は肉牛と同じく背中から脇であるが、カンガルーは二足歩行するため、革の形状も三角形に近い形を成しており、製造過程で若干の技術的困難が見られた。外見上は牛革と大差なく、見分けはつきにくい。
その他の哺乳類「セーム革」も参照

ゾウ - 傷に強く頑丈な革である。ワシントン条約輸入が規制されている。

ウサギ - 毛皮

シカ - 繊維は細いが、からみ合いが粗く、非常に柔らかい革である。鹿革では、印伝が有名で、特殊ななめしをしたうえに、で模様をつけたものである。

クマ - 毛皮。かつて革としても使われていた。

水牛 -バッファローという商品名で流通している革で独特のしぼ感と柔らかさがある。水にいる生物なので革も水に強い特徴がある。

ネコ - 腹側は三味線に用いられる。

イヌ - 毛皮。毛皮の中で最も保温性が高いと言われている。

トラ - 毛皮

オオカミ - 毛皮

ヒョウ - 毛皮

タヌキ - 毛皮

キツネ - 毛皮

イタチ - 毛皮。ミンクテンなど。

センザンコウ - ひし形模様の鱗跡が珍重される革。

ビーバー - 毛皮。赤い色が特徴。現在は保護動物のため採取は禁止されている。

ラッコ - 毛皮。現在は保護動物のため採取は禁止されている。

ニホンカモシカ - 毛皮。現在は保護動物のため採取は禁止されている。

オットセイ

アザラシ - 厚みがあり丈夫。革の表面の特徴は頭部から尾部に向け、独特の波状の畝(ウネ)模様がある。腸は薄く柔軟で防水性が高いため、イヌイットの防水着として用いられる。パルカと呼ばれパーカーやアノラックの原型となった。

ラクダ - 砂漠地帯の昼夜の激しい温度差により、ラクダの革は一般的に厚く頑丈になる。但し1頭から取れる皮のうち皮革素材として使用できる面積は少ないと言われる。生皮を透明に加工したラクダのランプが有名。

トナカイ - ダイヤ柄の型押し模様が施された高級皮革のロシアンカーフ (Russian calf) が有名。

カピバラ

ヒト - 人間の皮膚は比較的大きいものの、他の動物に比べ柔弱で実用性は劣るが、宗教、シャーマニズム、死後に肉体の一部を残す希望、猟奇趣味など、主に精神的理由から人皮は世界各所で用いられてきた(人皮装丁本エド・ゲイン、アイスランドのネクロパンツ[11])。

爬虫類

ワニ
- 数ある皮革の中でも最高級とされる。クロコダイル種とアリゲーター種がある。最上級のクロコダイル(東南アジア産のイリエワニ)や、アリゲーターカイマン等が有名。鱗の模様によって玉符(柔らかめ)と竹符(硬め)がある。

ヘビ - 美しい鱗が特徴だが、あまり丈夫ではない。ニシキヘビが有名。パイソン。

トカゲ - 丸斑模様のリング縞斑のオーバルなど様々なものがあり、ジャワのリザードが有名。また、リングマークトカゲが最も高級。

鳥類

ダチョウ - 牛革より4倍ほど丈夫で特に一般に流通している革の中で最も摩擦に強い革であり長持ちするとされている。羽毛を抜いた跡のクイルマーク(表面のボツボツした多数の突起)が特徴。ワニ革についで高価な素材。オーストリッチ。

エミュー - オーストリッチに似ているが突起が小さいのが特徴。

魚類

サメ - ナイフで突き刺しても貫通しないと言われるほど頑丈で、水に強い性質がある。鮫肌と言われるウロコ部分は加工で除去される。ワサビおろし器にも用いられる。シャークスキン。

エイ - 鮫の近縁であるため皮膚もサメに近く、皮革として丈夫で水に強いため、エイの皮も鮫皮と呼ばれることがある。炭酸カルシウムでできた、ラインストーンのような細かい突起が、独特の模様を成す。ガルーシャともいう。光を感知する第三の目の部分はスティングレイハートと呼ばれる。また、日本刀の柄の部分やおろし器としても利用される。表面を削る加工は非常に高度な技術が必要なためオーストリッチについで高価になる。

サケ - 北海道特産品としてわずかに流通する程度である。アイヌナナイほかユーラシア北部の少数民族の間では、サケの皮をなめして作った魚皮衣が作られていた。

コイ - 模様は美しいが、革の大きさが小さいため実用性は低い。

ヌタウナギ - 現在は韓国の特産品となっていて滑らかでやわらかく、革特有の臭いも無いので注目されている。イールスキン。

皮革の加工

製革の作業には、大きく分けて準備工程、鞣し工程、再鞣・染色・加脂工程、仕上げ工程がある。
準備工程

鞣し(なめし)の前に皮をコラーゲン線維だけに精練する工程であり、英語ではBeamhouse Workという[12]
水漬け
水につけて汚れを落とし、アルカリを加えて原皮の吸水性を高め、防腐剤により腐敗を防止する工程[12]
フレッシング
皮に付着した脂や結締組織などを除去する工程[12]
毛の除去
工業生産の場合、硫化ソーダや水硫化ソーダで溶解しながら消石灰で毛根部を緩ませる石灰脱毛が多い[12]。日本では太鼓用皮などの加工にはによりバクテリアの働きをかりて緩ませてから物理的に除去する方法が利用される[12]
なめし「en:Tanning (leather)」も参照

皮には高温多湿の環境では腐るという大きな欠点があるため、これを腐らなくする加工が鞣し(なめし)である[4]

皮のコラーゲン線維の原線維は組織内の水分中でペプチド結合により結合した3本鎖のらせん構造になっている[13]。鞣し(なめし)とは、皮のアミノ酸でできたコラーゲン線維に鞣剤を作用させることで[12]、水分がない状態でもコラーゲン繊維が癒着せず、らせん構造を維持する状態に変化させることをいう[13]。鞣し(なめし)のプロセスが理論的に解明されたのは18世紀のことである[13]
タンニンなめし
切り口(コバ)が茶褐色、型崩れしにくく丈夫、染色しやすい(染料の吸収がよい)、吸湿性に富む、使い込むほど艶や馴染みがでる、などがある。反面、タンニンでなめす場合、タンニンを革の中心部分に浸透させるために、タンニン濃度を徐々に上げる必要がある(濃度が高いと表面にだけタンニンが結合し、後で浸透しなくなる)。よって工程数が多くなり、30以上の工程を踏む必要があり、高コストになる。よく皮革製品で「飴色になる」と表現されるが、それはこのタンニンなめしによるものである。手縫いを用いるような等にはタンニンなめしの材料が用いられる。
クロムなめし(通称:Wet-Blue(ウェットブルー))
切り口が青白色、伸縮性が良い、柔軟でソフト感がある、吸水性が低く水をはじきやすい、耐久力がある、比較的に強い、などがある。衣料用にはクロムなめしが用いられる事がほとんど。タンニンなめしに比べて工程の省力化からコストを抑えられる反面、なめし工程上で使うクロムが焼却により化学反応酸化)を起こし、人体に有害な6価クロムに変化するので処分の際は注意が必要である。
コンビネーションなめし
タンニンなめしとクロムなめしを組み合わせたもの。
アルデヒドなめし(通称:Wet-White(ウェットホワイト))
環境問題からタンニンなめしの革と同様にクロム(メタル)フリーの革として普及してきている。


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