皇紀
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「太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書」(明治5年太政官布告第337号、いわゆる「改暦ノ布告」)では、改暦によって導入された太陽暦の閏年について4年毎に置くことしか述べておらず、グレゴリオ暦の置閏法の例外的規則[注 20][22]に相当する規定を置いていなかったが、その後1898年に発された「閏年ニ関スル件」(明治31年勅令第90号)[注 21]により、日本の暦法はグレゴリオ暦の置閏法と同等の置閏法をもつこととなった[23]。この勅令における閏年の判定は西暦ではなく皇紀(神武天皇即位紀元)によっている。

明治三十一年勅令第九十号(閏年ニ関スル件)神武天皇即位紀元年数ノ四ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス但シ紀元年数ヨリ六百六十ヲ減シテ百ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ四ヲ以テ商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス

現代の表記に直すと次の通りである。

神武天皇即位紀元年数(皇紀年数)を4で割って、割り切れる年を閏年とする。ただし、皇紀年数から660を引くと100で割り切れる年で、かつ100で割った時の商が4で割り切れない年は平年とする。

これは、西暦年数から閏年を判定する方法と同値である。

なお、この勅令は、1947年の法律を経て、法令として、現在でも効力を有する[24]。また、西暦は法制化されていないため、長期紀年法としては、神武天皇即位紀元が、今でも法制上かつ暦法上の唯一のものである[25]。したがって、閏年の判定には、現在も神武天皇即位紀元が用いられている[26]
紀元2600年記念行事「紀元二千六百年記念行事」を参照
制式名など

昭和に入って以降、第二次大戦中まで、日本の陸海軍(旧日本軍)が用いた兵器の制式名称には、主に皇紀の末尾数字を用いた年式が用いられている。

航空機を例に取ると「ゼロ戦」の通称で知られる大日本帝国海軍の「零式艦上戦闘機」は、皇紀2600年(西暦1940年昭和15年)に採用されたことを示す名称である。したがって、同年の採用であれば「零式三座水上偵察機」「零式輸送機」など、同じ「零式」の名を冠することになる。ただし、この命名則には、陸海軍で若干の差があった。詳細は「軍用機の命名規則 (日本)」を参照
陸軍

大日本帝国陸軍の場合、航空機は皇紀2587年(西暦1927年昭和2年)採用であることを示す「八七式重爆撃機」「八七式軽爆撃機」より皇紀を使用している(実際には両機とも翌年(1928年昭和3年制式採用)。また海軍と異なり、皇紀2600年制式採用の場合は、一〇〇式重爆撃機一〇〇式司令部偵察機一〇〇式輸送機など、零ではなく百(一〇〇)を使用する。

皇紀2601年(西暦1941年昭和16年)以降は、例えば一式戦闘機(通称隼)のように、皇紀末尾一桁のみを使用している。

銃砲、戦車等の場合も命名則の基本は同様(「九七式中戦車」「一式機動四十七粍速射砲」など)。

また、皇紀による命名以前は、航空機はメーカーの略号+続き番号であったのに対し、銃砲等は、元号による年式を用いた。例:明治38年(1905年)採用を示す「三八式歩兵銃」など。
海軍

大日本帝国海軍の場合、制式名称における皇紀の使用は陸軍よりやや遅く、航空機では皇紀2589年(西暦1929年昭和4年)採用であることを示す「八九式飛行艇」「八九式艦上攻撃機」より使用されている。ただ、実際には両機とも皇紀2592年(西暦1932年昭和7年)に制式採用。それ以前は元号による年式を使用しており、「三式艦上戦闘機」は昭和3年(1928年)、一三式艦上攻撃機大正13年(1924年)の採用を示す。

また、海軍では皇紀2602年(西暦1942年昭和17年)の「二式水上戦闘機」「二式陸上偵察機」等を最後に航空機の年式名称を取り止め「紫電」「彩雲」「天山」など、機種別にグループ分けされた漢字熟語の制式名称となった(これに対し、陸軍の「」「飛燕」などはあくまでも愛称であり、制式名称ではない)。

なお、海軍から各メーカーに対する開発要求については「十二試艦上戦闘機」「十八試局地戦闘機」など、一貫して元号が用いられている。
教科書の表記

第二次世界大戦後、連合国軍最高司令官総司令部は小学校の歴史に関する授業を停止。1946年昭和21年)10月12日に授業が再開されたが、新しい教科書『くにのあゆみ』では皇紀の表記が廃され、西暦表記に改められていた[27]
戦後に皇紀が用いられた例
宮内庁

宮内庁は、庁内関係部署および職員の事務参考用として[28]、歴代の天皇皇族陵墓についてまとめた書籍である『陵墓要覧』を、戦後では1956年昭和31年)、1974年(昭和49年)、1993年平成5年)、2012年(平成24年)に刊行している[29]


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