百科事典
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平凡社からは、1961年に『国民百科事典』[21](全7巻)、学習研究社からは、1965年に『現代新百科事典』(全6巻)[22]、小学館からは、1962年に『日本百科大事典』[23](13巻、別冊)、続いて1965年に『世界原色百科事典』[24](全8巻)、さらに1967年には『大日本百科事典ジャポニカ』(18巻、別巻4)が発行された。各社から次々と百科事典が刊行され人々もそれを求めたこの時期を指して、百科事典ブームと呼ぶ[25]

こうした百科事典は書店の店頭販売だけではなく、セールスマンによる訪問販売も盛んに行われた。1970年前後には、強引な百科事典の販売が社会問題となり[26]、このことがきっかけに夜間訪問の禁止など訪問販売のルールの原型が作られた[27]。この時代、百科事典は実用面よりも応接間の飾りやステータスシンボルとしての役割を果たしていたが、場所を取ることもあり、百科事典ブームが終息した後では大部の百科事典はあまり家庭では歓迎されなくなり、廃棄処分されることが多くなった。

百科事典と比較すれば一つの項目あたりの記述の内容も簡易で文字数も少ないが広く各分野にわたる用語辞典と呼べる出版物として、1948年自由国民社から『現代用語の基礎知識』が毎年発行されるようになり[28]、流行・世相をふんだんに取り入れた時代風俗を映す年刊の資料集的なものも市場に現れるようになった。のちに1986年には集英社から『イミダス』が発行され、1989年には朝日新聞社から『知恵蔵』という同コンセプトの年刊資料集が現れ、この3誌が鼎立(ていりつ)するようになったが、『イミダス』『知恵蔵』は、インターネットの普及に伴う販売部数の減少により2007年版をもって紙媒体を廃止し、ウェブ版に完全移行した[29]ため、紙媒体のこうした年刊資料集は「現代用語の基礎知識」を残すのみとなっている。その「現代用語の基礎知識」も2020年版からは大幅なリニューアルがなされ、2019年版が1,226ページなのに対して、296ページとコンパクト化が図られた。

1983年には、講談社インターナショナルより『英文日本大百科事典(英語版)』が刊行された。同書は、日本を英文で体系的に紹介するものであり、全9巻、英単語数400万語に及び、執筆者は27カ国、1,300名以上で、費用はおよそ1,500万ドル(出版当時の為替レートで34億円以上)かかった[30]
電子化
CD-ROM/DVD-ROM版

1990年以降は、パーソナルコンピュータの普及と大容量光学ドライブ搭載に伴い、百科事典はCD-ROMなどの光学メディアによるコンピュータソフトウェアとしても出回るようになった。当初はこうした動きは弱いもので、1990年には紙の百科事典である『ブリタニカ』の売り上げは過去最高を記録していた[31]。しかし1993年に発売が開始されたマイクロソフトの「エンカルタ」などのCD-ROM版の百科事典の急成長によって紙の百科事典の売り上げは激減し、『ブリタニカ』の売り上げは数年で5分の1にまで減少した[32]。こうした動きに対し、1994年には『ブリタニカ』もCD-ROM版を発売開始するなど、多くの百科事典がこの流れに追随した。しかし、この時点においてすでに百科事典の売り上げは急減しており、結果的にCD-ROMDVD-ROM版の発行は新規参入者を含めどの発行者にも利益をもたらさなかった。2000年の百科事典全体の売り上げは1990年に比べ10分の1にまで落ち込んでいた[33]
ウェブ版

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上記の動きはパソコン同士が有機的にリンクされていない時代からの話であったが、2000年ごろからはインターネットの発達と普及に伴い、ウェブ版も作られるようになってきた。こうしたウェブ版の百科事典はインターネット百科事典と呼ばれるようになり、百科事典の一つの大きな流れとなった。1999年には『ブリタニカ』がウェブ上での無料公開を開始し、『ラルース』などの伝統的な百科事典は書籍と同時にオンライン版を展開するなど、新たな対応に着手した。

2005年の段階で、携帯電話PHSウェブブラウザでアクセスできる百科事典も存在しており、誰でも、使いたい時に、どこでも百科事典の知識にアクセスできる環境になりつつあった。紙媒体の百科事典は、刊行後時間が経つと時事的な内容に関しては記述が陳腐化してしまいがちであるが、ウェブ版の百科事典では、項目内容の随時更新が可能であり、改訂が容易である。ウェブ版およびCD-ROM等の電子媒体を用いた百科事典は、検索や相互参照機能などの使い勝手が紙製の書籍より一般的に優れている[34]。こうした流れはさらに加速し、2012年には百科事典の代表格であった『ブリタニカ百科事典』が書籍版の発行を取りやめ、ウェブ版へと完全移行することを表明した[31]。また2009年には、朝日新聞社、講談社、小学館、朝日新聞出版の4社が共同で参加各社の百科事典をインターネット上で参照することのできるコトバンクをスタートさせた[35]
読者参加型

1990年代から多くの百科事典がCD版やウェブ版へと移行するようになったものの、それらの百科事典はいまだ専門家によって執筆・監修され、出版社によって発行される一方向からのものであることにかわりはなかった。しかし2001年に、ジミー・ウェールズラリー・サンガーによってウィキペディアが設立されると、この流れは大きく変わった。ウィキペディアはそれまでの百科事典とは異なり、「誰でも」執筆や編集に参加できることを特徴とし、実際にこれによってウィキペディアは大きく成長を遂げ、規模としては世界最大の百科事典となった。またこの成功を受け、ウィキペディアのほかにもいくつかの読者参加型のインターネット百科事典が編纂されるようになった。

こうした百科事典の新しい潮流のひとつである、ウィキペディアなどの「誰でも」執筆や編集に参加できることを特徴とするプロジェクトに関しては、従来の百科事典のように専門家や研究者が編纂する体系的書物と比較して、信頼性に問題があるとする指摘がある[36][37][38][39][40][41][42]。同時に、多くのサービスが無料で提供されていることから伝統的な出版業者にとって経営上の不利益をもたらすという指摘もなされている[注 7]。一方で、ウィキペディアの質を擁護する識者の評価もある[43][44][45][46]
読書としての百科事典

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百科事典は「調べる」本であって、「読む」本ではないが、読むことを目的とすることもある。

井上ひさし(『吉里吉里人新潮社 1981年)- 百科事典をフォトコピーして記憶する男が出てくる

A.J.ジェイコブズ(『驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!』文春文庫 2005年)- ブリタニカを全巻読破するノンフィクション

小川洋子「百科事典少女」(『最果てアーケード』講談社 2012年)

主な百科事典

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