白血病
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^ 正常な骨髄腸骨胸骨の)では、造血細胞と脂肪がそれぞれある程度存在する。骨髄内を造血細胞と脂肪がそれぞれ数割ずつ占めるのを正形成という。骨髄内に造血細胞がほとんどなく脂肪ばかりなのを低形成。脂肪がなくて造血細胞がぎっしり詰まっているのを過形成という。低形成骨髄の典型が再生不良性貧血、過形成骨髄の典型が白血病である。
^ 小児白血病では急性リンパ性白血病 (ALL) が多く、小児のALLでは2-3歳が発症率のピークとされ、特に男児に多い。2-3歳男児のALLが小児白血病の発症率を引き上げているので、他の年齢・性別の小児では白血病はそれほど多い疾患ではない-浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、p.1449-1450
^ 急性リンパ性白血病バーキット型でも欧米や日本で多い散発型や免疫不全型ではウイルスとの関連は指摘されていない
^ ただし、白血病は乳児・小児や若い人にもおき、一段階の遺伝子異常でおこる白血病(慢性骨髄性白血病)もあるのですべてではない。白血病は融合遺伝子などの大きな遺伝子変異を持っているものが多いが、そのかわり細胞ががん化するまでに必要な遺伝子変異の数は「がん」に比べると少ないことが示唆されている。-稲葉 俊哉「放射線がんにおけるエピゲノム制御異常の役割」『広島医学』Vol.63 No.4、広島医学会、2010年、pp.236-240
^ 急性白血病で白血病細胞がミエロペルオキシダーゼ (MPO) 陰性でリンパ系マーカーが陽性ならば ALL である。ALL の細胞起源は未熟なリンパ系細胞である。急性白血病で細胞が MPO陽性または顆粒系マーカーもしくは巨核球マーカーもしくは非特異的エステラーゼ (NSE) が陽性などの骨髄系細胞の特徴を示すならば AML、CML では顆粒系細胞(好中球、好塩基球)の増殖を主とし、CLL では細胞はリンパ球の性質を持つ-出典 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、pp.1377,1430および日本血液学会、日本リンパ網内系学会 編集『造血器腫瘍取扱い規約』金原出版、2010年、pp.2,3,36,41,48 ごくまれに細胞系列のはっきりしない物がある。それについては#系統不明な白血病で説明する。
^ 慢性骨髄性白血病ではフィラデルフィア染色体と呼ばれる9番と22番の染色体長腕間の相互転座により、9番上の abl遺伝子が22番上の bcr遺伝子領域へ転座しbcr/abl融合遺伝子が形成される。この転座は t(9;22) (q34;q11) と略して表記する。この翻訳産物であるBCR/ABLタンパクは正常ABLタンパクと違い恒常的に活性化されたチロシンキナーゼである。恒常的に活性化されたBCR/ABLタンパクによって下流の細胞内シグナル伝達も活性化され細胞の自律的増殖をもたらす。このBCR/ABLチロシンキナーゼによる基質チロシンのリン酸化を標的に阻害する物質がイマチニブである。-薄井 紀子「白血病幹細胞を標的とする薬剤開発」『最新医学』Vol.66 No.3、最新医学社、2011年、pp.409-415
^ これらの白血病も「慢性」で「骨髄性」であるが、慢性骨髄性白血病がフィラデルフィア染色体(Ph染色体)陽性と定義されてしまったために、骨髄性でPh染色体陰性の慢性白血病は4つの大分類から外れる
^ 急性白血病では寛解に入っていない非寛解期に移植をしても失敗する可能性は高いためにまずは寛解にもっていく必要がある。一旦寛解したのち運悪く再発してしまった後に再度の抗がん剤治療で寛解導入した第2寛解期での移植での5年生存率は58.9%再々発後の第3寛解期での5年生存率は38.6%と早い寛解期での移植の方が5年生存率は高い。なので最初から再発する可能性が高いと予想される高リスク(予後不良)群ではなるべく早い寛解期、状況によっては第一寛解期(最初の寛解で再発はまだしていない)に移植を推奨されることがある。予後が良いと予想される低リスク(予後良好)群では第一寛解期からの地固め療法でそのまま治癒になる可能性が高く、過酷でリスクの高い移植治療を無理に選択する必要はない。なお、白血病細胞の治療抵抗性が高く寛解に至らない非寛解期での移植では5年生存率は22.4%と高くはない -押味 和夫 編著『カラーテキスト血液病学』中外医学社、2007年、p.321 -なお最初から治療抵抗性で寛解に持って行けない難治性のAMLでは移植が唯一長期生存が期待できる方法である。前述では22.4%という数字を挙げたが資料によってだいぶ数字は異なり、寛解導入に失敗しても移植によって15-40%の患者は長期生存が可能であるともされる -豊嶋 崇徳 編『造血幹細胞移植』医薬ジャーナル社、2009年、p.169。慢性骨髄性白血病では治療抵抗性のある場合や急性転化した場合に移植を考慮する -直江 知樹 編『現場で役立つ血液腫瘍治療プロトコール集』医薬ジャーナル社、2011年、pp.71-86。慢性リンパ性白血病では緩やかな経過のものが多く、移植医療は試されているが標準治療にはなっていない -出典 国立がん研究センター・慢性リンパ性白血病。
^ 免疫不全マウスではリンパ球が存在しないか不活性なので異物の排除能力がなく、人の造血細胞を移植するとマウスの体内で人の造血細胞が定着し、マウスの体内で人の血液細胞が産出される。もちろん、無菌状態で飼育しないと免疫不全マウスはすぐに感染症で死亡する。-SCIDマウスとヒト疾患モデル
^ 施設や状況によって異なるが、標準的な前処置では放射線を2Gy×6回で計12Gyと同時に抗がん剤のシクロホスファミドを120mg/体重1kgあたりを投与、あるいはブスルファン12.8mg/kgとシクロホスファミドを120mg/kgを投与するが-出典、豊嶋 崇徳 編『造血幹細胞移植』医薬ジャーナル社、2009年、pp.60-63、放射線6Gyだけでも致死量と言われ-出典がんサポート情報センターブスルファン12.8mg/kgとシクロホスファミドを120mg/kgも致死量をはるかに超えている。放射線量や抗がん剤の量を増やすほど再発の可能性は低くなるが治療関連死は増える。-出典、豊嶋 崇徳 編『造血幹細胞移植』医薬ジャーナル社、2009年、pp.60-63
^ 。造血幹細胞移植には同種(家族を含めた他人)からの移植と自家(自分の造血幹細胞)移植がある。ソースの違いを含めて同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植、同種臍帯血移植、自家骨髄移植、自家末梢血幹細胞移植の5つに細分される。(自家臍帯血移植はほとんどない)- 国立がん研究センター・造血幹細胞移植の種類。自家移植では移植片対宿主病 (GVHD) がないメリットはあるが、移植片に白血病細胞が混じっている可能性が高く、移植片対白血病効果(GVL効果)もないために再発率が高く、白血病の治療としては自家移植は少ない。AML-M3 以外の白血病の移植ではほとんどは同種移植である国立がん研究センター・造血幹細胞移植の種類。国立がん研究センターでもAML-M3以外の白血病では自家移植は推奨していない-国立がん研究センター・移植適応の考え方ただし、AML-M3(急性前骨髄性白血病)では事前に白血病細胞の陰性を確認できるため AML-M3 では自家移植も行われる日本造血細胞移植学会・造血細胞移植ガイドライン急性骨髄性白血病。またAML-M3以外の白血病でもドナーが見つからないなどの場合に自家移植が行われることはある ⇒山根孝久「急性白血病に対する自家末梢血幹細胞移植」大阪市立大学医学部
^ 欧米ではダウノルビシン 45?60mg/m2 3日間とシタラビン 100-200mg/m2 7日間が基本である。日本では基本は同じでも頻回の骨髄検査の結果で薬剤の加減をしながら様子を見る。さまざまなレジメン(投薬する薬の種類・量・期間・タイミングの計画)が試され2012年現在ではイダルノビシン 12mg/m2 3日間またはダウノルビシン 50mg/m2 5日間とシタラビン 100mg/m2 7日間が基本になっている。-出典 宮脇 修一「急性骨髄性白血病に対する化学療法の現在の到達点」『臨床血液』Vol,53 No.1、日本血液学会、2012年、pp.39-50および直江 知樹 編『現場で役立つ血液腫瘍治療プロトコール集』医薬ジャーナル社、2011年、pp.9-19
^ 欧米ではシタラビンの大量療法が広く一般的行われている-出典 宮脇 修一「急性骨髄性白血病に対する化学療法の現在の到達点」『臨床血液』Vol,53 No.1、日本血液学会、2012年、pp.39-50および直江 知樹 編『現場で役立つ血液腫瘍治療プロトコール集』医薬ジャーナル社、2011年、pp.9-19
^ 急性前骨髄球性白血病 (AML-M3) のオールトランスレチノイン酸治療中にはレチノイン酸症候群と呼ばれる急激な白血球増加とARDSの呼吸不全が生じることがあり、また ATRA単剤では耐性を持ちやすい。それらの予防としてアントラサイクリン系抗がん剤を併用する。不幸にもレチノイン酸症候群が発症してしまった場合は副腎皮質ホルモンを投与する。-阿部 達生 編集『造血器腫瘍アトラス』改訂第4版、日本医事新報社、2009年、p.465- なお、ATRA治療中は、絶対にトラネキサム酸を投与してはいけない ⇒金沢大学血液内科・急性前骨髄球性白血病 (APL) とDIC:ATRA、アネキシンII。また、ATRA単剤では白血病細胞数が多い症例では寛解を得にくいが、抗がん剤を併用して細胞数を減らしながら ATRA を使用すると高い完全寛解率を得ることができる。-大野竜三「急性前骨髄性白血病」『血液フロンティア』Vol.13 No.10、医薬ジャーナル社、2003年
^ 。G-CSF の投与は ALL では推奨されるが、AML ではケースバイケースであり、寛解状態での感染症のときに使われることがある。-出典、日本血液学会 編集『血液専門医テキスト』南江堂、2011年、p.248,439
^ CDとは細胞の表面に発現している抗原で多数の種類があり、細胞の種類によって発現している抗原は様々であり、抗原にはCD番号を振られている。CD34抗原が発現し CD38抗原は発現していないのが CD34+CD38-細胞であり、正常な造血幹細胞や極めて若い造血細胞も CD34+CD38-細胞であるが、細胞の分化が進むと表面抗原は様々に変化していき CD34+CD38- の発現型は失われる。-阿部 達生 編集『造血器腫瘍アトラス』改訂第4版、日本医事新報社、2009年、p.17-42- AML細胞の大部分はCD34+CD38+細胞であり継続的に白血病を維持することはできない。白血病幹細胞が含まれる CD34+CD38-細胞は骨髄の有核細胞の中で0.2-1.0%しかなく、白血病幹細胞はさらにその一部である。-松村 到、金倉 譲「急性骨髄性白血病(AML)における白血病幹細胞」『癌幹細胞-癌研究のパラダイムシフト』医歯薬出版、2009年、p.5-11
^ CD34+CD38-白血病細胞であっても、長期的に白血病状態を維持できるものと、短期的にしか白血病状態を維持できないものがある。CD34+CD38-白血病細胞にも階層化があると考えられている。この点は人の正常な幹細胞でも同じで、一生に渡って造血を維持できる造血幹細胞は CD34+CD38-分画にあるが、同じ CD34+CD38-分画には有限の造血能力しかない造血細胞もある。-阿部 達生 編集『造血器腫瘍アトラス』改訂第4版、日本医事新報社、2009年、pp.17-42
^ マウスの造血幹細胞に BCR-ABL融合遺伝子のみ導入するとマウスは CML を発症するが、分化がある程度進んだマウスの造血前駆細胞に BCR-ABL融合遺伝子のみを導入してもマウスは CML は発症しない。しかしマウスの造血前駆細胞に BCR-ABL融合遺伝子に加えて Hes1遺伝子を同時に導入すると CML の急性期と同じ状態になる。つまりCMLの特徴を残しながら急性白血病の状態になる。この場合、BCR-ABL融合遺伝子がクラスI変異、Hes1遺伝子がクラスII変異に相当し、さらにHes1遺伝子が細胞の未分化性を付与するものと考えられる。-中原 史雄「慢性骨髄性白血病の急性転化におけるHes1の関与」『臨床血液』Vol.52 No.6、日本血液学会、2011年、pp.329-336
^ ただし、白球病細胞を生み出す大元である白血病幹細胞はゆっくりではあるが自律的に細胞分裂を起こすので、コントロール下にあり大半が細胞の休眠期(G0期)にある正常な造血幹細胞に比べると細胞周期に入っている細胞は多いと考えられている。ただし、白血病幹細胞にも休眠期(G0期)に入っているものは多い。-浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、p.1374
^ 15-19歳は小児科ではなく内科に掛かることもある。-直江 知樹、他 編『血液疾患最新の治療. 2011-2013』南江堂、2010年、p.149
^ AMKL発症者のうちトリソミー21が400に対しそうでないものは1程度
^ 胸部レントゲン撮影で被曝量は0.3mGy、胸部CT検査の被曝量は10mGyなので?出典、 ⇒高槻病院・放射線科 0.5Gyという被曝量は胸部レントゲン撮影の千倍以上、胸部CT検査の50回分を一度に受けたのと同等程度になる。
^ 慢性骨髄性白血病の通常の発症率は年間10万人あたり1-1.5人程度である。前述
^ この白血病の過剰発生数は1950年以前の数字は入っていないが、広島の臨床医らによって被爆約2年後から白血病は増え始めていたと報告されている。
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