発達障害
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専門家でない者が直感的に理解できるほど簡単な障害ではなく[* 3]法律上、発達障害者として認められるためには、医師による精密な検査と診断が必要である[* 4]
定義

日本の行政上の定義では、発達障害者支援法が定める「自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害学習障害注意欠陥・多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」とされる[10][11][12][13]。定義上、背景となる障害は様々であることから、発達障害の認定は専門家でも難しい判断となる。2013年時点で小・中学生に77,882人の発達障害者が確認されており、発達障害への理解が社会で急速に進んでいることから、過去20年における統計では増加傾向にある[14]。特に、昭和以前の時代には変わり者,とんちんかん、やんちゃ、わんぱく等と一般市民の間で曖昧に分類された人々が、医学の進歩により発達障害者として理解されるようになったことが大きい。境界知能といわれる、知的障害者と見なされないが健常者としては低水準の知能指数(IQ)しか持たない者についても、生活の質(QOL)が著しく下がっている可能性もあり、一般人への啓蒙や社会制度の隙間を埋める対策が急務となっている[15]

学術的な分類での発達障害は、知的障害なども含むもう少し広い分類である[11]。そうした診断分類では『ICD-10 第5章:精神と行動の障害』では、「F80-F89 心理的発達の障害」「F90-F98 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害」、米国精神医学会による『精神障害の診断と統計マニュアル』 (DSM) では、第4版 (DSM-IV) では「通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害」、DSM-5では神経発達症となる。

義務教育段階の通常の学級で発達障害者は6.5%程度の在籍率という文部科学省の調査結果と、成人期に障害を持ち越す例もかなり多いことを考えると、社会の様々な組織で頻繁に見られる障害であるといえる[3]。この障害は社会生活を著しく困難にするため[5]退学退職などに繋がりやすく、ワーキングプア引きこもりの発生にも関係している[16][17][18]

成年以降の発達障害を大人の発達障害と呼ぶ。不足した能力が周囲の環境にカバーされ、決まり切ったスケジュールに沿って与えられたタスクだけ行っていれば良い学生時代に目立った問題が出なくても、暗黙の前提を理解して多様なタスクを遂行する必要がある社会人生活で多数の問題が発生し、発達障害の保有が発覚することもある(詳しくは大人の発達障害を参照)[19]。また、障害という言葉の重いイメージから、本人あるいは周囲が発達障害と認めないことも多々ある[19]

背景に脳機能の偏りがあり、原因も症状も個人ごとに様々であるため、単にミスが多かったり社交的でないからといって発達障害に含めることはできない[* 5]
原因

発達障害の原因は多岐にわたり、不明な点が多く残されている。複数の要素が関係し、遺伝的、胎児期の保健状態、出生時の環境、感染症、環境要因などが挙げられている[1]。双子研究により、遺伝要因とそれ以外の要因の影響度を算出することが可能で、自閉症スペクトラム障害ADHDに関しては遺伝要因の影響が大きいと分かっている[20][21][22]。大部分の発達障害は乳児出生前に形成されるが、一部は出生後の外傷感染症、その他の要素に起因することもある[1]。原因は多々あるが、たとえば以下が挙げられる[23]。原因の同定には複数の検査を組み合わせる必要があり、検査コストが高く、誤診の頻度も高くなる傾向にある。従って、専門家でない者が容易に扱えるような障害ではない。

遺伝子染色体の異常 - ダウン症候群[1]レット症候群など

妊娠期の物質使用(たとえばアルコール) - 胎児性アルコール・スペクトラム障害など [1]

妊娠期におけるある種の感染症 - サイトメガロウイルス[1]など

未熟児出産[1]、低体重出産[1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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