発振回路
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C(コンデンサ)とR(抵抗)で構成されるRC回路を用いて帰還するものである。正弦波を発生する。

移相形: コンデンサと抵抗によるローパスフィルタまたはハイパスフィルタは、周波数に応じて0から90度の位相のずれが生ずる。その回路を3段もしくは4段接続すると、特定の周波数で180度の位相のずれが生ずるので、反転増幅器の帰還回路に用いることで発振する。

ウィーンブリッジ形(Wien bridge oscillator): コンデンサと抵抗によるバンドパスフィルタを用いて増幅回路に正帰還をかける。出力電圧の振幅が飽和しないよう、その振幅を整流回路、平滑回路、遅延回路などで検出して、負帰還を調整する(増幅率を増減する)。精度が比較的高く、周波数の可変域が広いため、アナログ式の発振器に用いられている。

ツインT形: コンデンサと抵抗をT字型に接続することで、ハイパスフィルタとローパスフィルタを構成できる。これらを並列にして位相反転形のバンドバスフィルタを構成し、増幅回路の負帰還として用いることで、正弦波を発生できる。調整はやや難しいが、トランジスタ1石で低周波の正弦波を発生できる数少ない回路であるため、簡便な発振回路として用いられる。

LC反結合発振回路(高周波)

L(コイル)とC(コンデンサ)で構成されるLC回路を用いて帰還するものである。出力を逆位相で入力に帰還する(結合の位相が反対)ことから、この名称がある。

ハートレー発振回路(Hartley oscillator): コイル2個、コンデンサ1個で構成

コルピッツ発振回路(Colpitts oscillator): コイル1個、コンデンサ2個で構成、実際にはコイルと直列にコンデンサを挿入して安定度を向上することが多く、この変形はクラップ発振回路(Clapp oscillator)と呼ばれる。クラップ発振回路はC/Nに優れており、無線機に要求される非常に厳しいC/Nを満たすことが出来るため、バイポーラトランジスタを使ってディスクリートで構成される無線機用VCOの原型の回路になっている。


クラップ発振回路

ハートレー発振回路

同調形

回路の一部に同調回路を設け、その電圧の一部を帰還するものである。

コレクタ同調

ベース同調

エミッタ同調

マルチバイブレータ

マルチバイブレータ(Multivibrator)と呼ばれる回路には、次の3種類がある。

単安定マルチバイブレータ

双安定マルチバイブレータ

非安定マルチバイブレータ

このうち非安定マルチバイブレータが発振回路として用いられる。2組の反転増幅回路の入力と出力をそれぞれ互い違いに接続した回路である。
リング・オシレータ

NOTやNORのような反転論理を奇数段用いて、出力を入力へ環状(リング)に接続することで、周期的な方形波(クロック)が得られる。これをリング・オシレータあるいは、特に論理ゲートのみで構成されるものを、ロジカルオシレーターと呼ぶ。周波数は、R(抵抗)やC(コンデンサ)の負荷や論理段数の増減、バイアス電流(電圧)の制御を行うことで決められる。実際の回路においては、他の発振回路に比べ、周波数のゆらぎ(位相雑音)や波形の時間的な揺らぎ(ジッター)が大きいため、単に内蔵タイマーのクロックのような用いられ方か、さもなくば位相同期回路を加えることで回路全体の基準クロックとして使用する。

NOTゲートに圧電素子水晶を直列に挿入してリング状に閉回路を作ると、共振周波数で強く発振する。この回路はデジタル素子だけで高精度な周波数を得る事が出来る事から非常に多用される。いわゆるクオーツ[要曖昧さ回避]の最小構成はこの回路から成り立つ。原理的にはデジタル素子は内在的にアナログ回路が存在しデジタル素子はアナログ増幅器として作用する。共振周波数に近いスペクトラムが強く増幅される為、圧電素子や水晶の共振周波数に強く同調する。
弛張型発振回路の例

弛張(しちょう)型発振回路は電流のオン・オフに対して、ある条件を与えることで、断続する電気信号を作り出す回路である。最も簡単な条件にヒステリシス性がある。「弛」はゆるむ、「張」ははることで、それを交互に繰り返し発振する意味である。
ネオン管発振回路

ネオン管(放電管)は、放電が起きていない状態では抵抗値が高いが、一旦放電が起こると抵抗が低い状態になる性質がある。ネオン管に並列にキャパシタを接続し、高抵抗を通して高い直流電圧を加えると、キャパシタに電荷が蓄えられるため、次第にネオン管の端子電圧が高くなる。


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