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通常の細胞では、酸素が十分に供給されている時は、ATP合成のエネルギー効率が高いが合成速度の遅いミトコンドリアでの酸化的リン酸化でエネルギー生産を行う。酸素が十分に供給されない時は、エネルギー効率が悪いが速度の速い解糖系によって、エネルギーを得ている。がん細胞は酸素が十分に供給されている環境下でもエネルギー効率の悪い解糖系で活動する。これはワールブルク効果(「ウォーバーグ効果」とも)と呼ばれている。この現象は以前から知られていたが、代謝物を一斉に測定・解析を行なうメタボロミクスによって、非がん組織と比較してがん組織で解糖系の代謝中間体のプロファイルが明らかになり、解糖系の活性化が明確に示された[11]。なお、通常の細胞の代謝に関しては解糖系によるATP合成速度は電子伝達系によるATP合成速度の約100倍の速度を有している[12]

癌組織の多くがブドウ糖代謝に活発(言い換えると、「癌細胞はブドウ糖をエサにして増殖する」)な性質を利用したポジトロン断層法(PET)が、がん診断に利用されている。
疫学2004年における10万人毎の悪性腫瘍による死亡者数(年齢標準化済み)[13] .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  データなし   55人以下   55人から80人   80人から105人   105人から130人   130人から155人   155人から180人   180人から205人   205人から230人   230人から255人   255人から280人   280人から305人   305人以上

世界保健機関 (WHO) によれば、2005年の世界の5800万人の死亡のうち、悪性腫瘍による死亡は13%(760万人)を占める。死亡原因となった悪性腫瘍のうち、最多のものは肺がんが130万人で、胃がんは100万人、肝がん大腸がん乳がんが続く。悪性腫瘍による死亡は増加し続け、2030年には1140万人が悪性腫瘍で死亡すると予測されている。

日本の原因疾患別死亡者数の割合と順位では1951年から1980年まで30年間1位の脳血管疾患に代わり、1981年から2015年まで35年連続で1位で[14][15][16][17][18][19][20]、2015年度は死亡者数129万0428人のうち、がんによる死者数は37万0131人であり[19][20]、死亡者総数に対する割合は28.7%である。

日本のがん統計[21]死亡数 (2017年)罹患数 (2014年)
男女男女男女男女
1位大腸乳房大腸
2位大腸大腸
3位大腸膵臓大腸
4位肝臓膵臓前立腺乳房
5位膵臓乳房肝臓肝臓子宮前立腺


悪性新生物の主な部位別にみた年次別死亡率(男性・人口10万対)、日本[22]

悪性新生物の主な部位別にみた年次別死亡率(女性・人口10万対)、日本[22]

分類詳細は「癌の一覧」および「ICD-10 第2章:新生物」を参照

「がん」は単一の細胞を起源とし、発生母地となった細胞の種類(組織学的分類)と細胞の身体的部位(解剖学的分類)とで分類できる。
組織学的分類

組織型および各腫瘍組織型の記事を参照。

病期分類は、腫瘍学、癌に詳述がある。
成人のがん細胞のがん化する過程発がん抑制のための生体防御機構

成人の「がん」は通常は上皮組織に形成され、遺伝的あるいは内因的特性を持つ人々が外的要因に曝された影響による長期間にわたる生物学的な過程を経て生じる、と大方の場合は考えられている。肉腫は上皮由来ではないが、悪性腫瘍として癌と同様に検査・診断・加療される。

次に例を示す[注釈 1]:

血液(および骨髄) - 造血細胞悪性腫瘍

白血病

リンパ腫

ホジキン病

非ホジキンリンパ腫


多発性骨髄腫


脳腫瘍

乳がん

子宮体がん - 子宮


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