原因が判明した場合にはその名前が変更されたり、時には他の病名と統合されたりすることがある。一方で原因判明後も長い間そのまま慣用的に使われている「症候群」は多く、逆に「?病」の名を冠する原因不明の疾患も多くあり、実際には明確な区別がなされていないことが多い。これは遺伝性の症候群で特に当てはまる。
原因が判明したにもかかわらず「症候群」と呼ばれている疾患の例
重症急性呼吸器症候群 (SARS)、後天性免疫不全症候群 (AIDS):いずれもウイルス感染が原因の単一疾患であることが判明している。
ダウン症候群:第21染色体のトリソミー(1対2本あるべき染色体が3本ある)による。近年では21トリソミーと呼ばれることも増えた。なお、18トリソミーは別名「エドワード症候群」であったが、こちらはあまり使われない。
原因不明、単一疾患であるかも不明ながら、「?病」と呼ばれる疾患の例
川崎病:小児の急性熱性疾患。原因不明。散発的に流行することから感染の関与が疑わしい一方で、症状の程度や検査所見の傾向にばらつきが大きく、単一疾患であるかも疑わしい。
ベーチェット病:膠原病類縁疾患。特定のHLAに関連することが多いことはわかっているが、原因は不明。
精神科領域においては、扱う疾患のほぼ全てが症候群と呼ぶべき疾患であるため、利便性の問題から症候群とは呼ばず○○病・○○症と言った語を用いる。 遺伝医学の分野では、「症候群」という用語は根本原因となる遺伝子が判明しているときにしか慣例上使用されず、疑わしくはあっても不明であれば「連合(英: association)」と呼ばれることがある。定義では連合は、有意に頻度の高い組み合わせで症状の集まりが出るということを示す[4]。2005年までCHARGE症候群は「CHARGE連合」と最もよく呼ばれていたが、主要な原因となる遺伝子 (CHD7) が発見され名称が変更された[5]。VACTERL連合
「症候群」と「連合」
イブン・スィーナー(アウィケンナ、980年 - 1037年)が著作『医学典範』の中で、特定の病気の診断に症候群という考えを開いたとも言われる[7]。医学における症候群という概念は17世紀にトマス・シデナムがさらに発展させた[8]。 生物学で「シンドローム」は、特徴の形質群を言い表すために、より一般的な意味合いでさまざまな文脈に用いられる。例:送粉シンドローム。 また「同時進行」という原義から、ある原因で同時多発的に生じる社会現象や一連の(良くない)事態を病気になぞらえて呼ぶ接尾語としても用いられる。 ケスラーシンドローム、チャイナシンドローム、ファットフィンガーシンドローム、スプリットブレインシンドローム、RAS症候群などが例として挙げられる。
医学分野以外
脚注^ (英語)“ ⇒Online Etymology Dictionary”. etymonline.com. 2017年1月21日閲覧。
^ McCusick, Victor (1986). Mendelian Inheritance in Man (7th ed.). Baltimore: Johns Hopkins University Press. pp. xxiii?xxv
^ Teebi, A. S. (2004). “Naming of a syndrome: The story of "Adam Wright" syndrome”. American Journal of Medical Genetics 125A (3): 329?30. doi:10.1002/ajmg.a.20460
表
話
編
歴
病状を説明する基本的な医学用語
(シンドローム)医学的診断
鑑別診断
予後急性
慢性
治癒と寛解疾患(Disease)