病気
[Wikipedia|▼Menu]
実際、臨床の現場では医師と患者の見解がしばしばずれたり対立することがある。上記では周囲は病気と判定しているが本人は病気とは思っていない例をいくつか挙げたが、逆に本人が病気だと感じているのに医師の側がそう認識しない、しようとしない、というケースもある。たとえば本人が身体に激痛や異常な感覚などを感じ明らかに何らかの病気だと直感しそれを訴えているにもかかわらず、医師の側ではCTやMRIなどの画像を見て、そのその検査とその医師の技量との組み合わせではたまたま何も見つけられなかったことを根拠に、「("客観的に見て" あるいは"生物学的に見て")疾患ではないでしょう。気のせいでしょう」などと告げて放置し、すっかり悪化したり死亡してから、事後的に他の医師によって誤診だったと判定されるようなケースもある。またステロイド皮膚症や各種の公害病乳幼児突然死症候群の例に見られるように、その病気が存在するかどうか自体が学問的のみならず政治的にも問題となることもある。
分類

病気を分類することは容易ではなく、またその分類は医学の変化に伴い頻繁に変更される。医学においては、一般に以下のような観点によって病気は分類される。

精神疾患器質的疾患生体組織自体の異常による疾患)か機能的疾患(生体組織の働き方の異常による疾患)による分類

病巣の局在による分類(肝臓の疾患、心臓の疾患など)

原因による分類(感染性、心因性、自己免疫性、医原病など)

病理的所見からの分類(良性、悪性、肉芽腫性など)

進行の様相による分類(急性慢性、劇症、一過性、発作性など)

医療の要・不要による分類

この節には複数の問題があります。改善ノートページでの議論にご協力ください。

ほとんどまたは完全に一つの出典に頼っています。(2023年8月)


独自研究が含まれているおそれがあります。(2023年8月)


また、次のような分類が提唱されることもある[3]

カテゴリー1 : 医者がかかわってもかかわらなくても治癒する病気 (自然治癒力や本人の努力で治癒するもの)[3]

カテゴリー2 : 医者がかかわることによってはじめて治癒する病気[3]

カテゴリー3 : 医者がかかわってもかかわらなくても治癒しない病気[3]

開業医や市中病院医師が日常の診療で遭遇する「疾病」のほとんどは、上記で言えばカテゴリー1に属する[3](すなわち、医者・医療者がかかわらなくても治癒する病気である)。その比率は70?90%ほどであるという。岡本裕医師によれば、実際の計数結果は95%がカテゴリー1だったという[3]

カテゴリー3に分類される病気、つまり「不治の病」もまだまだ多い[3]。(例えば神経変性疾患、神経機能障害などはそれに分類される)

(カテゴリー1と2の病気については)病気にも @当人が自分の力で治すことができるもの、と A自然治癒力も及ばず、医療従事者と連携をとり治癒をはかるとよいもの、の2種類があるということである[3]。@の当人が自分の力で治すことができる病気には、高血圧[注釈 3]糖尿病高脂血症肥満病、痛風便秘症、不眠症[注釈 4]自律神経失調症などが挙げられる。
病気と健康

この節には複数の問題があります。改善ノートページでの議論にご協力ください。

ほとんどまたは完全に一つの出典に頼っています。(2023年8月)


独自研究が含まれているおそれがあります。(2023年8月)


病気の対義語は、一般に健康であると考えられている。

WHO(世界保健機関)は健康を次のように定義している。身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない

西洋医学風の用語で言えば、健康というのは恒常性が健全に保たれている状態、と言い換えることも可能であろう[6]。そういう観点からは、病気(疾病)というのは、恒常性が崩れてしまって元に戻らなくなっているか戻りづらくなっている状態だと考えると理解しやすい[6]

さらに恒常性という概念を中国伝統医学の「未病」という用語で把握しなおしてみると、病気や健康という概念がより分かりやすくなる[6]
未病

伝統中国医学(中医)で「未病」と診断されるのは、検査で明らかな異常がなく、明らかな症状も無いが、少し調子の悪い状態で、病気になる前段階の、心身の微妙な変化を指している[6]。漢文訓読調でいえば「いまだやまいにあらざる」となる。「未病気」をキーワードにして、体の状態を分類してみると次のようになる。

状態 1 :恒常性が健全に保たれている状態・・・健康[6]

状態 2 :恒常性が崩れかけている状態・・・未病[6]

状態 3 :恒常性が崩れ、そのままでは元に戻らなくなっている状態・・・病気[6]

これらの間にははっきりした境界はなく、連続的に移行している[6]中国には昔から「上工治未病」(上工は未病を治す)という言葉がある。つまり良い医者というのは、発病してからではなく、未病の段階で異常を察知し対処するものだ、ということである[6]。一方、西洋医学では、未病を見過ごしてしまい、発病してからはじめて治療に取り掛かる[6]。病気を火事に喩えて言えば、中国医学が火事になりそうな危険な場所をあらかじめ点検したり、燃えそうな建材をあらかじめ不燃材にして無事に防ぐのに対し、西洋医学では火事が起きてしまってから対処しよう、という考え方である。確かに一旦発火してしまえば、とりあえず燃え盛る火の勢いを抑えなければならないのではあるが、それよりも火事の防止や再発を防ぐことも非常に大切であるように、西洋医学のように発病するまで放置しておいて発病してから対処するという考え方は得策とは言えず、中国伝統医学のように、未病気の段階でそれを的確に察知し、自己治癒力を高めることで早めに対処しておこうとする考え方のほうが適切であり重要である[6]

戦争による負傷で大量の死者が出ることが続いた20世紀前半には西洋医学が目覚しい進展を見せ、抗生物質ワクチンが開発され生命を脅かす感染症などを激減させることに成功はした。だがその後、疾患の状況はすっかり様変わりし、生活習慣や生活環境に起因した心疾患脳血管疾患アレルギー疾患、メタボリックシンドローム膠原病などの慢性疾患が急増し重大な課題となっている[6]。これらの慢性疾患は西洋医学的な治療法(その多くが対症療法)だけでは限界があり、根本治癒にはどうしても、生活習慣を是正しつつ自己治癒力を高めることが不可欠となるので、心と体を一体としてとらえ全体のバランスとリズムをとりもどし病を癒す、と考え、心身一如の思想に立つ東洋医学の考え方が必須となる[6]
周辺の語の概念

しばしば病気は、「症候群」「疾患」「疾病(しっぺい)」「障害」「怪我(けが)」「変異」等の語との概念上の重複がある。

病気の存在を前提として、その患者に共通する特徴のことを病態(びょうたい)あるいは病像(びょうぞう)という。病状(びょうじょう)は、ある特定の患者についてその臨床経過を指すことが多い。これらの単語はしばしば混合されて使われる。
病気と「疾患」・「疾病」

医学では、「病気」という単語はあまり使用されず、代わりにより厳密な疾患(しっかん)、疾病(しっぺい)を使うことが多い。病気という語では内因性の疾患しか含まないような印象を受けることがあるためである(事故による骨折は、一般的には病気とは言わないことが多い)。なお、精神医学の用語の精神疾患は「障害(disorder)という概念であり、医学用語の「疾患」(disease)とは異なる概念である。

英語の disease(疾患、疾病)は sickness(軽い病気)、illness(病気)の原因を示す語で、病名と症状が明らかな具体的な病気に用いられる。sickness、illness は"病気になっている状態"を指し、disease は感染などによる体内機能の異常を意味する。一般には、熱や風邪など生活上の病気には用いられず、伝染病や癌など深刻な病気に用いられ、命に関わるようなニュアンスがある。
疾患・疾病・病気と「症候群」詳細は「症候群」を参照


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:43 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef