病気
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疾患・疾病・病気と「症候群」詳細は「症候群」を参照

症候群(しょうこうぐん)とは、原因不明ながら共通の病態(自他覚症状・検査所見・画像所見など)を示す患者が多い場合に、そのような症状の集まりにとりあえず名をつけ、扱いやすくしたものである。

人名を冠した症候群の名前も数多く、原因が判明した場合にはその名前が変更されたり、時には他の病名と統合されたりすることがある。一方で原因判明後も長い間そのまま慣用的に使われている「症候群」は多く、逆に「?病」の名を冠する原因不明の疾患も多くあり、実際には明確な区別がなされていないことが多い。

精神科領域においては、扱う疾患のほぼ全てが症候群と呼ぶべき疾患であるため、利便性の問題から症候群とは呼ばず○◯病・○○症と言った語を用いる。
疾患・疾病・病気と「症状」

症状(しょうじょう、symptom)は、病気によって患者の心身に現れる様々な個別の状態変化、あるいは正常からの変異のことである。病気にかかることを罹患(りかん)、症状が現れることを発症(はっしょう)または発病(はつびょう)という。患者本人によって主観的に感じられるものを自覚症状(じかくしょうじょう)、周囲によって客観的に感じ取られるものを他覚症状と呼んで区別する。単に「症状」といった場合、自覚症状のことのみを指す場合があり、この際は他覚症状のことを所見(しょけん)、徴候(ちょうこう)と呼んで区別する。

通常、「疾患」と「症状」は本来大きく違う概念だと考えられている。つまり、疾患が先にあって、それを受けて「症状」が生じる、というものである。しかし日常診療の場では、症状が確認されても、その症状を来たす原因がよく分からない場合が多く、この場合「症候群」での例と同様に、症状名と病名との境目が曖昧になることがある。

例えば、脱水という病名はないが、脱水が見られたら原疾患はさておき脱水の診断の元に治療を行うことがある。近視は症状の名前としても病名としても使われる。本態性高血圧という病名は、別の基礎疾患があって二次的に高血圧となっているものを除いて、原因不明で高血圧という「症状」を起こしているものをまとめて含めるための「病名」である。

ある臨床像が、原疾患に見られる症状のひとつであるのか、あるいは合併症として出現した別の独立した疾患なのかについては、医学の教科書を執筆する際の問題となるだけではなく、保険診療報酬や統計にも関わるため、軽視できない問題となる。

症状を研究する医学の一分野に、症候学がある。
病気と年中行事

日本では、古くは病気はのせい、キツネ人間に宿るため、など所謂民話民間信仰と共に考えられていた。そのため病人が出ると、病気を治癒させるために祈祷師を呼んでお祓いをしてもらうということがあった。

現代の日本でも年中行事として、病気をしないように(鬼が来ないように)節分に豆まきをする、端午の節句に菖蒲湯に入るなどといった習慣が残っている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「本人あるいは周囲が」としたのは、精神疾患や軽症の疾患の中には、本人は生活上の不都合を感じないが、周囲の人が生活上支障をきたすために治療の必要性を感じる場合があるからである。これは病気と類似概念の混同である。精神疾患病気#病気と「疾患」・「疾病」も参照のこと。
^ 一般の人々は、医師からの説明を聞いて、それを自分の考えとして採用することもある。また逆に医師の側も、患者から報告を聞いて、はじめて何かを「疾患」と認識し、そうした断片的情報が学会などで徐々に集約されて、あらためて大規模統計がとられる場合もある。マスコミで医師が語る内容も人々の病気観に影響を与える。
^ 遺伝的背景と生活習慣が原因となる本態性高血圧症は高血圧の80 ? 90%であって、残りの10 ? 20%は高血圧の基礎疾患が明らかな二次性高血圧症である。二次性高血圧症では基礎疾患の早期発見・早期治療が重要である[4]
^ 不眠のなかには、実は本当の原因として、周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群、概日リズム睡眠障害、うつ病などが隠れている場合があるから、鑑別診断が重要である[5]

出典^ a b c 吉松和哉; 小泉典章; 川野雅資『精神看護学I』(6版)ヌーヴェルヒロカワ、2010年、71頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-86174-064-0。 
^ “ ⇒The Anthropologies of Illness and Sickness”. Annual Review of Anthropology (1982年10月). doi:10.1146/annurev.an.11.100182.001353. 2009年12月25日閲覧。
^ a b c d e f g h 岡本裕「はじめに?第1章」『9割の病気は自分で治せる』中経出版、2009年、1-46頁。 
^ 『今日の治療指針2011年版』医学書院、2011年、339頁。 
^ 『今日の診断指針第6版』医学書院、2010年、339頁。 
^ a b c d e f g h i j k l m 岡本裕「第3章」『9割の病気は自分で治せる』中経出版、2009年、121-138頁。 

参考文献

岡本裕
『9割の病気は自分で治せる』 中経出版、2009年(平成21年)、ISBN 978-4-8061-3277-6

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .sister-box .side-box-abovebelow{padding:0.75em 0;text-align:center}.mw-parser-output .sister-box .side-box-text>ul{border-top:1px solid #aaa;padding:0.75em 0;width:217px;margin:0 auto}.mw-parser-output .sister-box .side-box-text>ul>li{min-height:31px}.mw-parser-output .sister-logo{display:inline-block;width:31px;line-height:31px;vertical-align:middle;text-align:center}.mw-parser-output .sister-link{display:inline-block;margin-left:4px;width:182px;vertical-align:middle}ウィキペディアの姉妹プロジェクト
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