男はつらいよ
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寅次郎の方は柴又の兵隊寅、若しくは喜劇の神様で斎藤寅次郎監督から由来していると山田監督は述べている[47]。映画版では第48作ラストで旅に出て以降は、とらやに帰ってきておらず、どこを旅して暮らしているのか長らく不詳のままになっていることが第50作の満男たちの回想等により明らかになっている。第50作終了時点で寅次郎が生きているかどうかについは、監督の山田は「そのことには触れないようにしています。『死んだ』とも『生きてる』ともセリフはない。さくらはどこかでお兄ちゃんが生きてることを信じているし、彼女の前でそのことは触れちゃいけないとタブーになっているんだと思います」と明言を避けている[48]。ドラマ版では一獲千金を狙って奄美大島までハブを取りに行ったところ、逆に噛まれた事で、雄二郎の頭を叩きながらそのまま亡くなって行くという悲劇的な最期を迎えている。
諏訪さくら
演 - 長山藍子(ドラマ版)→倍賞千恵子とらやの先代の主人、平造の長女で、寅次郎の腹違いの妹[37]。本名は櫻。性格と容姿は寅次郎とは似ても似つかない。幼い頃、寅次郎が家出をした時に、最後の最後まで引き留めようとし、寅次郎が家出をして間もなく両親と残された秀才の兄を亡くし[注 17]、叔父の竜造夫婦に育てられ、20年後、たった一人の異母兄の寅次郎と再会。寅次郎の一番の理解者でありながら、毎度ドタバタを起こすことに冷や汗をかく。いつか寅次郎がカタギの生活に戻ってくれることを祈っている。小学生の頃は図工が好きで絵描きになりたく、中学生のころは音楽好きで音楽家希望、高校時代は成績が優秀で、また第21作では松竹歌劇団に入ることも夢見ていたことも告白した[49]。第14作では地元のコーラスサークル「江戸川合唱団」に参加し、第29作では陶芸の教室に通っている。第1作では高校卒業後、一流企業で1200人職員がいる丸の内オリエンタル電機のOLとして10年間勤務し[49]、上流階級の御曹司とお見合いをしたが、同席した寅次郎の職業と下品なおしゃべりが原因で破談となる。その後、家の裏手の印刷工場で働いている職工の諏訪博と結婚して満男を産む。結婚後は洋裁を内職としていたが、とらやが「くるまや」に変わってからは店を切り盛りするようになる。第27作ではスクーターに乗っているシーンがある。
諏訪博(博士)
演 - 井川比佐志(ドラマ版)→前田吟さくらの夫。満男の父。岡山県高梁市生まれ。父親は大学教授で、博自身は家庭環境としては高等教育を受けられる立場にあったが、父親と対立し高校を中退して家出したことで機会を逸し、新宿でくすぶっていたときにタコ社長と出会い、中小企業の印刷工場「朝日印刷」の職工として生計を立てる。会社の寮がとらやの裏にあったことからさくらと知り合い、結婚[37][50]。会社の寮からさくらの部屋が丸見えで、さくらに思いを馳せていた。当初寅次郎には「大学を出ていない」という理由でさくらとの結婚を反対されていた。結婚して3年後には主任技師となり社長の片腕としてナンバー2的な立場になる。かつては独立を考えて退職しようとしたことがあった(第6作「男はつらいよ 純情篇」)。冷静な性格で博識。寅次郎を理屈で諌めたり助言したりするが、あまり通用しない。岩波書店の『世界』や労働問題の雑誌を抱えていることが多い[50]。息子の満男には能力以上の期待をかけており、自分が大学を出ていなかったため息子には大学進学進めるようになった。焼きなすが好物。喫煙者。もともとは弁護士志願で[51]、テストドライバーやオートショップの経営者を夢見ていたことがある[50]。実兄が二人いる[注 18]。第26作で家を新築するが、第9作では「敷地は30坪。おいちゃん夫婦からお金を借り東京都の融資を活用し、土地はタコ社長から借りる」という設定になっている。第50作ではさくらと共にとらやに移住し、パンフレット記載の前田吟のインタビューの裏設定では印刷工場は既に定年退職している。なお、ドラマ版と映画版では設定が大きく異なる。ドラマ版では町医者で、寅次郎が恩師・坪内先生(東野英治郎)の家を訪ね、先生宅で飲み食いが過ぎ博士の働く病院に担ぎ込まれる、それがきっかけで見舞いに来たさくらと出会い恋愛結婚をする。眼鏡にスーツ姿の厳格な見た目なのに対し結婚後は寅次郎を「兄さん」と呼び唯一謙虚で常に謙っているが、寅次郎が茶の間で暴れたときには柔道の技で押さえ込むことができる唯一の人物。博識で、寅次郎に時折知的な助言をする点は映画版に引き継がれている。またこのドラマ版の博士の設定は『続・男はつらいよ』の藤村薫(山崎努)に引き継がれる。
車竜造(おいちゃん・おじちゃん)
演 - 森川信(ドラマ版、第1作 - 第8作)→松村達雄(第9作 - 第13作)[注 19]下條正巳(第14作 - 第48作)寅次郎の叔父。葛飾柴又の帝釈天にある老舗の団子屋「とらや」の6代目主人。初期の映画作品のクレジットにおいて「龍造」と明記されていることもある。兄の平造(5代目主人、寅次郎とさくらの父親)の死後、団子屋を引き継いだ。平造が夢の中で枕元に立ち、「寅次郎とさくらのことはよろしく頼む。特に寅のやつは生まれつきバカだから、心配で仕方がねえ」[52]と言い残してから、責任を持って二人の親代わりをしている。若い頃は満洲に行って馬賊になることを夢見ていた。基本的な設定は同じものの演じる俳優によって性格がやや異なり、コメディアンの森川が演じた当初は寅次郎と同様にどこか抜けた喜劇的キャラクターで、店の営業中に昼寝をするなどして、妻のつねからあきれられる事も多い。幾度と色恋沙汰でドタバタを起こす寅次郎に冷や汗をかきながらも、寅次郎の口車に乗せられるボケた一面もある。毎回ドタバタを繰り返す寅次郎に「バカだねえ…寅は」「バカだね、全く…」「知らねえよ。俺ァ」とぼやいたり、寅次郎の奇行が頭痛の種となってさくらに対して「枕、さくら取ってくれ」と言い違うのも口癖となっている[注 20]。寅次郎が調子に乗ってふざけた時に頭に血がのぼってケンカになってしまうこともしばしばであった。松村になってからは、やや大人しいおいちゃんになり、パチンコ好きという設定が加えられた。民藝出身の下條正巳になると、これまでのマイペースなキャラクターとは異なり店の切り盛りも勤勉にこなす、ややシリアス寄りのキャラクターへ傾いている。名物の草団子を丹念に仕込む描写も下條から多く見られるようになる。つねが母親のように寅次郎に愛情を注ぐのに対し、長らく風来坊としてテキヤ生活を送る寅次郎に深刻に悩みながら、しばし黙り込んで厳しく当たるようになる。「お前には関係ない話だ、黙ってろ」と厳しく寅次郎に苦言を呈する事も日常となった。これは、コメディアンの森川、正統派俳優の下條と、演じた俳優それぞれの持ち味を生かした上での山田の演出の変更で性格設定が異なる為である。
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