男はつらいよ
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五十嵐敬司チーフ助監督によると「見学に来てくれた人には全部見てもらうのが基本精神」で、エキストラも現地で募集することもあった[注 41][106]。第41作の船に乗っているシーンのタイトルバックなど、寅役自体を地元の素人が演じることもあった[107]。寅さんが手や頭を洗うシーンや道を歩くシーン、シルエットのカットバック、遠景で歩くシーン等は「吹き替え」と称して顎の張り具合や髪のちぢれ具合が良く似ている五十嵐が何作か出演していた[108]

1997年に公開された『寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』は、根強い寅さん人気に応える形で作られた作品だった。満男が寅さんを回想する内容で、タイトルになっている第25作『寅次郎ハイビスカスの花』だけではなく、第11作『寅次郎忘れな草』、第15作『寅次郎相合い傘』のシーンが使われている。映像技術の進歩によって制作できた作品とも言え、満男が見た幻として寅さんが既存映像の流用によるCG合成で登場した。主題歌を八代亜紀が歌っている。

『男はつらいよ 寅次郎花へんろ』が公開予定だった1996年12月28日にほぼ同じキャストで『虹をつかむ男』が渥美清への追憶映画として公開された。BGMやエンディングも本作のものが使用されている。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆の3人はこの映画でも親子役であり、渥美清もCGではあるが、1シーンだけ登場している。

シリーズのロケ地

『男はつらいよ』シリーズの撮影はほぼ日本全国で行われているが、高知県と富山県埼玉県では撮影が行われていない。ただし埼玉県は第14作のオープニングで秩父市美の山公園から秩父の山々を撮影しており、高知県では第49作の撮影が決定していた。また、セリフ上では第8作で高知へ行ったということになっている。また、第50作目の舞台は富山県が最有力候補であった[73]。群馬県に縁がなかったかに思えるが、第14作「寅次郎子守唄」及び第25作「寅次郎ハイビスカスの花」ではスポット的に登場している。高知県富山県では後に、『男はつらいよ』以後松竹の看板映画シリーズになった『釣りバカ日誌』において、連続して撮影が行われた。
海外でのロケは第24作「寅次郎春の夢」(アメリカ合衆国)と第41作「寅次郎の心の旅路」(オーストリア)の二作品である。前者はアメリカに寅さんは登場していないが、予告編撮影と現地挨拶のため渥美は渡米している[109][注 42]
古代の寅さん柴又八幡神社古墳出土「寅さん埴輪」(葛飾区郷土と天文の博物館展示)

2001年(平成13年)8月4日、奇しくも渥美清の5回目の命日に、柴又八幡神社古墳において帽子や顔の輪郭などが「寅さん」にそっくりな埴輪の頭部が出土した[110]。その後、複製が寅さん記念館に展示された。この埴輪は下総型人物埴輪と呼ばれる6世紀後半のもので、大きさは約35cmで、この埴輪を見た山田洋次は驚いたという[110]。新聞で紹介されたときは「君は寅さんのご先祖様かい?」という見出しがついた。なお「寅さん埴輪」は、柴又八幡神社古墳から出土した他の埴輪とともに、「柴又八幡神社古墳出土埴輪」として、2011年(平成23年)6月9日に東京都指定有形文化財に指定されている[111]

また、奈良時代721年養老5年)に作成された『下総国葛飾郡大嶋郷戸籍』(正倉院文書)には、現在の葛飾区に比定される大嶋郷に「刀良」(とら)という男性と「佐久良売」(さくらめ)という名の女性が記されており[112]、これも『男はつらいよ』にちなんで言及されることがある。
有名なシーン・セリフ

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有名なシーン
「寅のアリア」
(第15作・
男はつらいよ 寅次郎相合い傘)リリーをキャバレーまで送った寅次郎は、そのあまりの環境の劣悪さに驚き、肩を落としてとらやに帰って来る。「俺にふんだんに銭があったら…」寅次郎は大ステージで歌い上げるリリーの姿を想像し、臨場感たっぷりにさくらたちへ語って聞かせる。寅次郎の切ないまでの愛情が渥美清の演技によって表現されている。山田洋次によれば[113]、後日リリー役の浅丘ルリ子がこのシーンを見て涙を流していたという。このシーンに限らず、渥美清独特の語り口によってなされる“一人語り”はスタッフの間から「寅のアリア」と呼ばれていた。
「メロン騒動」
(第15作・男はつらいよ 寅次郎相合い傘)寅次郎の世話になった男から高級メロンをもらったとらやの面々。切り分けて食べ始めたところへ寅次郎が外出から戻ってくる。寅次郎の分をうっかり勘定に入れ忘れていたことに気付いた一同は、大慌てで場を取り繕うとする。そんなとらやの人々を「心が冷たい」と一方的に激しく詰り、さくらが必死で謝っても、痺れを切らしたおっちゃんが寅次郎の分のメロン代を渡そうとしても、ネチネチと悪態をつき続け、しまいにはおばちゃんが泣き出してしまう。そんな寅次郎を見かね、リリーが核心を突いた言葉で一喝した事で2人は大喧嘩となる。逆上した寅次郎が飛び出していった後、リリーはつい大人げない事をしてしまったととらや一同に謝るが、とらやの人々からは「たまにはあれくらい言ってやらないと」「寧ろ、自分達が言いたかった事を言ってくれてスッとした」と感謝された。以降のシリーズでも作中でマドンナとなる人物が正論で寅次郎の身勝手を咎め、感情的になった寅次郎がそれに憤慨して口論や取っ組み合いにもつれ込んでしまうという、このシーンをオマージュしたような場面がしばしば見受けられる。


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