『男はつらいよ 寅さん読本』1992、pp.628-629より。
音楽
使用されたクラシック音楽
讃美歌461番『主われを愛す』?たがみ病院の坂下、リリーが退院の許可が出たこと寅さんに告げるシーン。教会から子供たちの合唱が聞こえる。歌詞:主われを愛す 主は強ければ われ弱くとも 恐れはあらじ わが主イエス わが主イエス わが主イエス われを愛す
エミール・ワルトトイフェル作曲:『スケートをする人々(スケーターズ・ワルツ)』作品183?イルカ・ショーで流れる。
沖縄民謡
喜納昌吉&チャンプルー「ハイサイおじさん」商店街で流れる。
「十九の春」商店街、ホテル入船で流れる。寅さんが歌う。
「下千鳥(さぎちじゅやー)」国頭家のお母さんフミが夕暮れ三味線を弾きながら歌う。
イルカスタジオの職員たち「唐船(とーしん)ドーイ」浜辺でみなが歌い踊る。
「白浜節」リリーがとらやで歌う。
「.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}我(わ)んにゃ白浜(しらはま)ぬ枯松(かりまち)がやゆら 春風(はるかじ)や吹(ふ)ちん花(はな)や咲(さ)かん 二人(たい)やままならん枯木(かりき)心(ぐくる)」
リリー「あたしは白浜の枯れた松の木なのか。春になっても花は咲かない。好きな人とどうして一緒になれないんだろうって歌なの。」
記録
観客動員数:206万3000人[1][14]
配給収入:12億5000万円[2][注 4]
受賞
第4回日本アカデミー賞最優秀脚本賞/山田洋次、朝間義隆
同・最優秀主演女優賞/倍賞千恵子
同・特別賞/渥美清
第5回報知映画賞最優秀主演女優賞/倍賞千恵子[1]
参考文献
佐藤利明『みんなの寅さん』(アルファベータブックス、2019)
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 第48作『寅次郎紅の花』が製作されたことにより、「リリー四部作」と呼ぶことも多くなった。ただ、「『ハイビスカスの花』自体が、寅さんとリリーが田舎のバス停で再会するというハッピーエンドで終わっています。いまさら出ていいのかどうか考えてしまったのです」という浅丘ルリ子の発言[4]もあるように、「三部作」でのまとまりを評価する考え方もある。
^ この理由付けを裏付ける記述として、「お互い好きでたまらないのに、それをスパッと口に出せないで、意地の突っ張り合い」[5]がある。もっとも、この点について、「私たち夢見てたのね、きっと。ほら、あんまり暑いからさ」というリリーの言葉に注目し、寅次郎が自分の気持ちをごまかしたからリリーもそれに応ぜざるを得なかったという相対的な要因ではなく、「流れ者」としての自分の生き方に(夢から)戻ったという絶対的な要因に帰着する考え方もある。山田監督自身も、「もともと定住することを拒否した二人が一緒になることで、定住する気持ちが生まれてしまう。それで二人はいったい幸せなのかと言えば、自信がない」[6]と述べている。
^ 「切なさ」が現れたものとしては、「寅さん、私に『幸せになれよ』と言ったような気がしたけど、ねえ、私の幸せって何?寅さんと一緒じゃなきゃ嫌だ。(寅さんが一緒じゃなかったら)つまんない。寅さんだってそうでしょ?」[7]が挙げられる。「嫌ね、別れって」「うん」というさくら・寅次郎のやりとりももちろんその一環である。その一方で、同棲・結婚や定住の先に来るかもしれない決定的な別れよりも、出会い・別れを繰り返しつつ築かれる永遠の関係を二人が望んだがゆえに、爽やかな別れになったとする考え方もある。「夢だと言いながら、互いにかけがえのない存在になっている。同棲というカタチを超えて……」[8]、「プロポーズのその先には、『平凡で幸せな家庭を築く』というのがハッピーエンドであると思うかもしれませんが、寅さんとリリーは、もうひとつのハッピーエンドを探しているのでしょう」[9]、「二人の愛の物語が『ああしか』(引用者註:『私たち夢見てたのね』と答えるしか)ありえないところに真に永遠のロマンがある」[10]などもその一つであるし、そもそも『寅次郎紅の花』でも紹介されている「何年かぶりで会ったのに、まるでけさ仕事に出かけた男が帰ってきたみたいに、懐かしい挨拶なんかお互いにしない」[11]といった関係もその考え方の根拠になる。
^ 12億円[15]、13億円[14]とも。
出典^ a b c d e f g “第25作 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花”. 松竹映画『男はつらいよ』公式サイト. 松竹株式会社. 2021年1月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。