寅次郎は松本、さらには九州へと旅立って行った。真知子からくるまやに電話が来て、寅次郎が去ったことを告げるが、くるまやの人たちは誰も寅次郎のことを馬鹿にすることなく、思いやる。「旅立ってゆくのはいつも男にてカッコよすぎる背中見ている」。
さくらと博は、由紀の短歌がとてもいいから、『サラダ記念日』として出版して大もうけできるかもと笑い合うのであった。 ため息をどうするわけでもないけれど 少し厚めにハム切ってみる(由紀の朗読) 寅さんが早稲田の杜にあらわれて やさしくなった午後の教室 *ダイレクトメールといえどわれ宛の 葉書喜ぶ秋の夕暮れ *愛人でいいのと歌う歌手がいて 言ってくれるじゃないのと思う 朝刊のようにあなたは現れて はじまりという言葉かがやく 愛ひとつ受けとめかねて帰る道 長針短針重なる時刻 バレンシアオレンジしかもつぶ入りの100パーセント果汁のように 文庫本読んで私を待っている背中見つけて少しくやしい 小春日の早稲田通りのチンドン屋 見ルナ見ルナというように行く 初めての口づけの夜と気がつけば ばたんと閉じてしまえり日記 寅さんが「この味いいね」と言ったから 師走六日はサラダ記念日 **平凡な女でいろよ 激辛のスナック菓子を食べながら聞く ***旅立ってゆくのはいつも男にて カッコよすぎる背中見ている 無印は字幕 *茂が読む **さくらが読む ***由紀が真知子に宛てた1989年の年賀状(由紀の声) 佐藤利明『みんなの寅さん』、p.640より
キャスト
車寅次郎:渥美清
諏訪さくら:倍賞千恵子
原田由紀:三田寛子 - 真知子の姪。早稲田大学文学部日本文学科。短歌を学ぶ。
尾崎茂:尾美としのり - 早稲田大学文学部ロシア語学科在籍。
車竜造(おいちゃん):下條正巳
車つね(おばちゃん):三崎千恵子
諏訪博:前田吟
社長(桂梅太郎):太宰久雄
源公:佐藤蛾次郎
諏訪満男:吉岡秀隆
院長:すまけい - 小諸病院院長。
富永教授:三國一朗 - 早稲田大学教授。西洋近代史。
泥棒:笹野高史 - オープニングとエンディングに登場。
ポンシュウ:関敬六
印刷工・中村:笹井一彦
ゆかり:マキノ佐代子 - 朝日印刷事務員。
北上三平:北山雅康 - くるまやの店員。初登場。
車掌:武野功雄 - 信州、小海線。
キクエの親族:篠原靖治
葬儀の親族:川井みどり
看護師:光映子 - 小諸病院。
江戸屋:石川るみ子
恵子:菅野志桜里
中込キクエ:鈴木光枝 - 寅さんが小諸駅前のバス停で出会う一人暮らしのおばあちゃん。
八重子:奈良岡朋子 - 東京に住む真知子の母。
御前様:笠智衆
原田真知子:三田佳子 - 小諸病院に勤務する女医。夫が山で遭難し現在独り身。
早大生:吉住由木夫(ノンクレジット)
早大生:吉田剛(ノンクレジット)
小諸の若い衆:出川哲朗(ノンクレジット)
小諸の若い衆:西条昇(ノンクレジット)
備後屋:露木幸次(ノンクレジット)
葬儀の手伝い:谷よしの(ノンクレジット)
由紀の短歌
ロケ地
山梨県北杜市
長野県小諸市
東京都大田区(真知子の家)、新宿区(早稲田大学)
長崎県島原市(島原城・啖呵売)
挿入曲
エミール・ワルトトイフェル作曲(編曲):ワルツ『女学生』作品191?幼稚園の運動会の音楽。
『小諸馬子唄』寅さんとキクエが出会う小諸駅前。バス車内(尺八)。くるまやで寅さんが真知子にキクエの夫の最期を語るシーン(尺八)小諸出てみろ/浅間の山に/今朝も煙が/三筋立つ
テクラ・バダジェフスカ作曲:『乙女の祈り』オルゴール?寅さんがくるまやを訪れる場面。柴又商店街から聞こえてくる。
フランス民謡:『月の光に』ピアノ独奏?真知子の息子が学校から八重子宅に帰ってくる場面。
フェルディナント・バイエル作曲『バイエルピアノ教則本』作品101から第10番?東京の八重子宅。
『ステレオ太陽族』 サザンオールスターズ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
プロデューサー:島津清
音楽:山本直純
受賞歴
第13回日本アカデミー賞優秀主演女優賞/三田佳子
第7回ゴールデングロス賞優秀銀賞
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 一戸建ての一部を間借りしている下宿のような形態である。
^ 第20作では長崎県出身という設定だったが、今作では宮城県出身と言及されている。
^ これより前、寅次郎は満男の「何のために勉強するのかな」という問いに、「人間長い間生きてりゃいろんなことにぶつかるだろ。そんなときに俺みたいに勉強してない奴は、振ったサイコロで出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがない。ところが勉強した奴は、自分の頭できちんと筋道を立てて考えることができるんだ」と答えている。
出典^ a b 『日経ビジネス』1996年9月2日号、131頁。
^ ⇒1989年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
参考文献
佐藤利明『みんなの寅さん』(アルファベータブックス、2019)
外部リンク
公式ウェブサイト
男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 - allcinema
⇒男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 - KINENOTE
表
話
編
歴
男はつらいよ
1-10作
1 男はつらいよ
2 続・男はつらいよ
3 フーテンの寅
4 新・男はつらいよ
5 望郷篇
6 純情篇
7 奮闘篇
8 寅次郎恋歌
9 柴又慕情
10 寅次郎夢枕
11-20作
11 寅次郎忘れな草
12 私の寅さん