1990年から2016年までに発表された231の研究で、一般的な甲殻類における年齢査定法(英語版)として、体長の頻度分布からの推定、リポフスチン分析、胃咀嚼器断面などの硬組織成長幅のカウントが発表されており、83%が体サイズの頻度分布におけるモード解析、13%がリポフスチンの解析、4%が成長幅をカウントする方法であった[18][19]。 甲殻類の生息環境は海を中心としている。鰓脚類は大部分が陸水産であるが、それ以外の甲殻類はほとんどが海産である。海中に於いてはプランクトン性のものから、底性、潜行性とさまざまなものが、極地や深海の熱泉を含むあらゆる環境に生息している。陸上であれだけ優勢な昆虫類が海産種をほとんど持たない理由として、往々に甲殻類が多くのニッチを占めていることが挙げられる。 淡水では鰓脚類、十脚類(エビ、カニ)など分類群は限られるが、多くの種があり、河川、湖、池から小さな水路、あるいは地下水にまでさまざまな場所に生息する。海から切り離されて淡水となった湖には、海産の群の特殊なものが出現する場合があり、海跡動物
生態
陸に生息するものは更に種類が少なく、カニ類、ヤドカリ類と等脚類(ワラジムシ・ヒメフナムシ・ダンゴムシ)、端脚類(ヨコエビ)、カイアシ類と貝虫類などの少数の種が知られている。土壌生物として繁栄しており、一般に土壌中のバイオマスとしては上位を占め、しばしば優占する[15]。
殆どの甲殻類は鰓呼吸を行うため水は必須であり、陸生の甲殻類も鰓呼吸のために水分を蓄える仕組みを持つ。ワラジムシやダンゴムシは白体(偽気管)で空気呼吸が可能であり、鰓呼吸を必要としない。イソギンチャクを背負うヤドカリ
十脚類では他の動物と共生生活をするものも知られる。カニ、ヤドカリとイソギンチャク、ハゼとテッポウエビなどが有名である[20]。
人によく知られているのは遊泳性や歩行性のものだが、固着性(蔓脚類)や寄生性(ウオノエ、鰓尾類など)のものも多い。食性は肉食のものから草食、デトリタス食、雑食、寄生性まで多岐にわたる。
固着性のフジツボ
カイアシ類のノープリウス幼生
卵を背甲の下で保護するオオミジンコ
幼生は原則として先頭3対の付属肢(第1触角・第2触角・大顎)のみを持つノープリウス幼生(Nauplius)で、変態を行い、後方から徐々に体節を追加しながら成長する[4]。より発生の進んだ形で孵化するものや、成体に近い姿で生まれるものもある。繁殖時には卵が孵化するまでメスの育児嚢や腹肢等に付着させるものが多い。また孵化後もしばらく親が保護する習性を持つものが等脚類などに知られている。カリブ海では真社会性のテッポウエビが発見されている(以上、朝倉(2003)等から)。
化石P-T境界の貝虫類の化石[21]
甲殻類の節足動物は、約5億年前の古生代カンブリア紀から既に出現したと考えられる[4]。現存の高次分類群(綱と亜綱)の化石記録の中で、鰓脚類[22]・軟甲類[23]・シタムシ類[24]はカンブリア紀、貝虫類[25]はオルドビス紀、鞘甲類[26][27]とムカデエビ類[28]はシルル紀まで遡れる[29][30]。貝虫類は殻が微化石としてよく産出し、予想される最多の種数は現生種(約2万)より化石種(約3万 - 5万5,000種)の方が多いほどである[31][30]。一方、カイアシ類の最古(カンブリア紀)化石記録は断片的のため確実でなく[32](確定的な全身化石は白亜紀が最古[33])、ヒゲエビ類・鰓尾類・カシラエビ類の確定的な化石は未だに発見されていない[30]。