甲殻類
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前方1対もしくは複数対の胴肢が顎脚(maxilliped)に特化し、直前の顎とともに口器に加わる場合もある[13][12][4]。腹部はほとんどの場合では付属肢を欠くが、軟甲類の場合は胸肢とは形態が異なった腹肢(pleopod)をもつ(そのため、軟甲類の「腹部」は他の甲殻類の腹部に相同でなく、単なる「特化した胸部の後半部」ではないかという説もある)[14]肛門をもつ末端の部分は尾節(telson)で、体節ではないが、肛門節(anal somite)とも呼ばれ、1対の尾叉や尾鞭(caudal furca、caudal ramus)などという可動の構造をもつことが多い[14][4]フクロムシのメス成体(左)とそのノープリウス幼生(右)

寄生性の種類では付属肢や体節が失われていたり、極端な場合はフクロムシシタムシのように節足動物に見えない姿のものがある[7]

甲殻類は既知最小級と最大級の現生節足動物を同時に含んだ分類群であり、体の大きさはヒメヤドリエビが全長0.09 mmから、タカアシガニの足を広げて3mまでの広い範囲にわたる[15]
年齢査定法

甲殻類には年齢を査定する形質がなく、脱皮した際のサイズの統計から、脱皮齢期を用いる[16][17]

1990年から2016年までに発表された231の研究で、一般的な甲殻類における年齢査定法(英語版)として、体長の頻度分布からの推定、リポフスチン分析、胃咀嚼器断面などの硬組織成長幅のカウントが発表されており、83%が体サイズの頻度分布におけるモード解析、13%がリポフスチンの解析、4%が成長幅をカウントする方法であった[18][19]
生態

甲殻類の生息環境はを中心としている。鰓脚類は大部分が陸水産であるが、それ以外の甲殻類はほとんどが海産である。海中に於いてはプランクトン性のものから、底性、潜行性とさまざまなものが、極地や深海の熱泉を含むあらゆる環境に生息している。陸上であれだけ優勢な昆虫類が海産種をほとんど持たない理由として、往々に甲殻類が多くのニッチを占めていることが挙げられる。

淡水では鰓脚類、十脚類エビカニ)など分類群は限られるが、多くの種があり、河川、湖、池から小さな水路、あるいは地下水にまでさまざまな場所に生息する。海から切り離されて淡水となった湖には、海産の群の特殊なものが出現する場合があり、海跡動物と呼ばれる。オカダンゴムシ

陸に生息するものは更に種類が少なく、カニ類、ヤドカリ類と等脚類ワラジムシ・ヒメフナムシ・ダンゴムシ)、端脚類ヨコエビ)、カイアシ類貝虫類などの少数の種が知られている。土壌生物として繁栄しており、一般に土壌中のバイオマスとしては上位を占め、しばしば優占する[15]

殆どの甲殻類は鰓呼吸を行うため水は必須であり、陸生の甲殻類も鰓呼吸のために水分を蓄える仕組みを持つ。ワラジムシダンゴムシは白体(偽気管)で空気呼吸が可能であり、鰓呼吸を必要としない。イソギンチャクを背負うヤドカリ

十脚類では他の動物と共生生活をするものも知られる。カニ、ヤドカリとイソギンチャクハゼテッポウエビなどが有名である[20]

人によく知られているのは遊泳性や歩行性のものだが、固着性蔓脚類)や寄生性(ウオノエ鰓尾類など)のものも多い。食性は肉食のものから草食デトリタス食、雑食、寄生性まで多岐にわたる。

固着性のフジツボ

カイアシ類のノープリウス幼生

を背甲の下で保護するオオミジンコ

幼生は原則として先頭3対の付属肢(第1触角・第2触角・大顎)のみを持つノープリウス幼生(Nauplius)で、変態を行い、後方から徐々に体節を追加しながら成長する[4]。より発生の進んだ形で孵化するものや、成体に近い姿で生まれるものもある。繁殖時には卵が孵化するまでメスの育児嚢や腹肢等に付着させるものが多い。また孵化後もしばらく親が保護する習性を持つものが等脚類などに知られている。カリブ海では真社会性テッポウエビが発見されている(以上、朝倉(2003)等から)。
化石P-T境界貝虫類の化石[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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