Atwater係数は脂質、タンパク質および炭水化物における平均値であり、便宜的な係数として多用されているが食品の成分により熱量は異なる。同じ炭水化物でも容易に利用可能なもの、植物繊維、糖アルコールなどの難消化性のものがあり、難消化性のものは小腸まででは消化されず大腸において菌などにより分解され吸収されるものがあるが分解・吸収率に差があり全く吸収されないものもある。日本の栄養表示基準では炭水化物を数段階に区分している[2]。
日本の栄養表示基準[2]成分熱量換算係数備考
脂質・脂肪9kcal/g
タンパク質4kcal/g
炭水化物消化性デンプン・砂糖など小腸までで吸収されるもの
難消化性糖質0 - 3kcal/g糖アルコール、オリゴ糖など
食物繊維0 - 2kcal/g
エタノール7kcal/g酒類
有機酸3kcal/g
以上は食品の成分ごとの消化・吸収・排泄の数値に基づいた集計であるが、この他に食品の成分による展開はせず、食品のヒトによる消化吸収試験の結果からエネルギー換算係数を求める場合もある。この手法では全食品における人体実験が必要となるが、現実には食品をグループに分け代表的な食品(例えば米)で試験をし、その値をグループ内の食品に適用している[2]。 生理的熱量を与える熱量素は栄養学の中でも初期に発見され、かつ重要視されており、熱量素となる炭水化物、脂肪、タンパク質は三大栄養素と呼ばれている。 ハーバード大学医学部は、2020年10月に生理的熱量におけるカロリー計算をやめるべきだと主張した。注意深いカロリー計算でも、必ずしも均一な結果が得られるとは限らない。体がどのようにカロリーを燃焼するかは、あなたが食べる食物の種類、体の代謝、そして腸に住む生物の種類を含む多くの要因に依存する。 代わりに、未加工の食品と健康的なライフスタイルの実践に焦点を当てるべきであると発表した[3]。 一方で、消化吸収されたものの消費されなかった熱量素は、主に脂肪組織に蓄積され、肥満や成人病を招く。このため、現代では熱量素の摂取を制限したり、運動によって熱量の消費を増やすことで体脂肪率を一定に保つのがよい(痩身)と考えられている。これは美容とも大きく関わるため、生理熱量の摂取・消費は多くの国で国民的関心事となっている。なお、一日のエネルギー必要量(消費量)は、身体活動レベルに応じて基礎代謝量の1.5?2倍程度となる。詳細は栄養#栄養学の観点からを参照のこと。 栄養学では生理的熱量は単に熱量と呼ばれることが多かったが、一般にはその単位であるカロリーが生理的熱量をあらわす名詞として通用している。食品表示での熱量単位をカロリーからジュールに置き換えることもあり、生理的熱量のほか、生理的エネルギー値、生理的エネルギー量、代謝熱量、代謝エネルギー量などの言葉で置き換えようとする動きはあるものの、成果はほとんど上がっておらず、厚生労働省や農林水産省の広報でもカロリーという言葉が使われていることは珍しくない。また、伝統的に熱量という言葉を用いているものの、エネルギーの様態として熱を介さない代謝も多いことから、より一般的なエネルギーという言葉を用いたほうがいいという見方もある。
その他
栄養学における意味
名称にまつわる問題
脚注^ 計量単位令第5条、別表第6 項番13
^ a b c d e 日本食品分析センター ⇒「食品の熱量について - エネルギー換算係数の話」
^ Publishing, Harvard Health. “Stop counting calories
関連項目
エネルギー・カロリー
ボンベ熱量計 - 爆発熱量計とも。密閉容器の中に高圧酸素と試料を入れ燃焼させ発熱量を測る装置。
栄養 - 栄養素 - 栄養学 - 痩身・肥満(ダイエット)
外部リンク
⇒財団法人 日本食品分析センター FAQ
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