生物が出現し、特に光合成による有機物の生成(炭素固定)とそれに伴う(分子状)酸素の放出、生物由来の石灰岩の生成がなされた結果、今のような酸素が多く含まれた窒素主体の大気組成となった(ただし、大気組成の変化は生物だけによるものではない。地球の大気#地球大気の「進化」も参照のこと)[22]
また、酸素の多い大気になったことによって、オゾン層が形成され、生物にとって有害な宇宙線や紫外線の遮断がなされ、生物の陸上進出が可能になった。また、海水中の酸素が増えることによって、海水に溶け込んだ鉄が酸化鉄となって沈降し鉄鉱床を堆積させた[23]。
2021年現在の地球の大気組成は、窒素が78%、酸素が21%、アルゴン0.93%、二酸化炭素が0.041%という構成になっている。
地球上の全ての生物の共通の祖先があり(原始生命体・共通祖先)、その子孫達が増殖し複製するにつれ遺伝子に様々な変異が生じることで進化がおきたとされている。結果、今日の生物多様性が生まれ、お互いの存在(他者)や地球環境に依存しながら、相互に複雑な関係で結ばれる生物圏を形成するにいたっている。ガイア理論(ガイア仮説)では、このような地球を「自己調節能力を持ったひとつの巨大な生命体」とみなした[24]。
生物を成り立たせる生体物質詳細は「生体物質」を参照
水、タンパク質、脂質、多糖、核酸は生物の主要な構成成分である[25]。生きているという状態は、無数の化学反応の総和であるという見方もできる。これら化学反応がおこる場を提供しているのが水である。生物は水の特殊な物性に多くの事を依存しており、極めて重要でかつ主要な構成成分である。どの生物でも、体の約70%は水であり、その他の物質が30%ほどを占める[25]。
タンパク質は量の上で多数を占める生体高分子である。20種類のアミノ酸が通常100 - 1000個重合してタンパク質となる。あるものは細胞を支える骨格となり、あるものは生体内化学反応の触媒となる(酵素)[26]。
必要なタンパク質を必要な場所で産生するための情報を記録する生体高分子が核酸である。この情報は遺伝によって次の世代に引き継がれる[27]。
ロバート・フックがコルクを顕微鏡観察して見出した小さな区画に小部屋(cell=細胞)と名付けたように、細胞とはある区画化された空間を指す。この区画をしているのが細胞膜であり、脂質がその主要な成分である。脂質はエネルギーとして効率が良く[28]、また貯蔵するのによい物質でもある。
生物は区画された空間ではあるが、完全に外界から遮断されているわけではない。外部からエネルギーを取り入れ内部で消費し、化学反応で物質を作り出す[6]。生物間でのエネルギーの流通に炭水化物(糖)は重要であり、主に植物が光合成によって生産している。 地球以外の天体に生物が発見された事例は記録されていない。しかし、地球のそれと同様の生物あるいは全く異なった性質の生物が地球以外の場所に存在する可能性は否定できない。太陽系内においても、火星には生命が存在する可能性が指摘されている。2018年7月には、イタリア国立宇宙物理学研究所などからなる国際天文学チームがマーズ・エクスプレスの観測データに基づき、「火星の南極の厚さ1.5kmの氷床の下に幅20kmにわたって水とみられる層が存在する」との論文を発表した。この地底湖は、液体の状態が維持されていると推測されている。研究チームは、「生命にとって厳しい環境ながら単細胞生物が生存している可能性がある」と述べている[29]。 系外惑星としては、2007年に発見されたグリーゼ581cに生物が生存可能な環境の存在が期待されたことがある(その後の研究によるとこの天体はハビタブルゾーンの外にある)[30]。2008年現在、太陽系外における[注釈 1]地球型惑星の観測成果も少しずつあがってきている。 有機物以外を構成要素とする生物も想定される。このような仮想理論は「代わりの生化学」と呼ばれている。とくにケイ素は、炭素と同じ族に含まれ化学的性質も似ていることから、「代わりの生化学」のベースとして比較的頻繁に言及される(ケイ素生物)[31]。 サイエンス・フィクションの世界では、ガス・電磁波から成る生物などが登場する。他に純粋知性、精神あるいは物質によらない意識が登場するが、現在のところ物質的な実体に依拠しない意識は確認されていない。また多くの宗教で霊と呼ばれる形態の生物の存在を想定している。
地球外生命体
ギャラリー
さんご礁、アオヒトデ