生活協同組合
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2005年末現在

組合数:1,097組合

組合員数:6,032万人

出資金:1兆1,300億円

購買事業高:2兆9,256億円

店舗数:2,668店

生協は組合員からの出資金で運営している。組合員は生協を利用することが可能であり、運営にも参加できる。原則として生協の利用は組合員のみに限られている。出資金は脱退時に払い戻される。

生協の事業としては、食品や日用品、衣類など商品全般の共同仕入れから、小売までの生活物品の共同購買活動(店舗販売、宅配)が中心であるが、それ以外にも共済事業、医療介護サービス、住宅の分譲、冠婚葬祭まで非常に多岐にわたる。

生協の中には、多重債務者や生活困窮者の生活再建のために低利融資する消費者信用生活協同組合岩手県[注 3][注 4]映画館を運営するみやこ映画生活協同組合(岩手県)、俳優声優など芸能人のマネジメント業務(芸能事務所)を行う東京俳優生活協同組合(俳協・東京都)、都市ガスの供給を行う栄ガス消費生活協同組合新潟県)のようなユニークな組合もある。

生協組織には全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済 coop・全労済)や日本生活協同組合連合会(日本生協連)、全国生活協同組合連合会(全国生協連)、全国大学生活協同組合連合会といった連合会もある。単位生協は各連合内で共同仕入れや共同事業を行うことも多いが、それぞれの生協は独立して経営されており、競合する部分もある。

共済事業では、労働組合組織から発展した全国労働者共済生活協同組合連合会こくみん共済 coop)の「こくみん共済」「団体生命共済」や「マイカー共済」「火災・自然災害共済」、日本生協連の「CO-OP共済(たすけあい共済・新あいあい共済)」、全国生協連の「県民(都民・府民・道民)共済〈ただし神奈川県では「全国共済」〉」、独立生協(「神奈川県民共済」や「愛知県共済生活協同組合(ライフ共済)」など)が競合する。

一般的に、組合員が運営し、組合員自身が利用するという形態上、利益の追求よりも、消費者の立場に立った運営が行われている。大規模スーパーマーケットと比較して、必ずしも値段が安いわけではないが、消費者側の視点を持って販売されているという安全安心感を打ち出している。いわば、消費者の消費者による消費者のための組合である。

実店舗を有する場合、表面上は組合員以外も販売されている商品を購入することができる場合が多く、企業体のスーパーマーケットと変わらない。ただし組合員は、値引きサービスを受けられるなど優遇される。
共同購入事業

日本の生協の共同購入事業という業態は、世界的にも他にあまり類を見ない、珍しい業態として発達した。当初は取り扱いの品目数がかなり絞り込まれた構成で、一般流通商品とは差異化が図られたPB(プライベートブランド)商品を中心に取り扱い、利用する組合員の支持を得て発展した。

特に安全性にこだわった商品政策を連合会全体で持ち、そのことを通して業界の中でも先駆的役割を果たした。利用者のニーズを活かした商品開発でも先駆的に取り組んだ。

現在では、グループへの配達ではなく利用者個人宅への配達が多くなっている点と、取り扱い商品が量販店一般とあまり変わらなくなっている点において、同業他社との差異化がはかりにくくなっている。しかしながら、物流システムの構築の仕方や、商品設計の在り方において、引き続き独自のノウハウを持っている。
法制度

消費生活協同組合法に基づく組織については、

法人税優遇あり(協同組合等指定)

正当な理由なく加入を拒めない(第15条)

組合員は出資義務を負う (第16条)、議決権は出資割合によらず平等である(第2条,17条)

組合を特定の政党のために利用してはならない(第2条)

名称中に「(消費)生活協同組合」を入れなければならない(第3条)

各種団体
主たる生協連合
日本生活協同組合連合会(日本生協連)
各地にある地域生協、職域生協、学校生協、大学生協、医療生協、共済生協など、約500の生協が会員となっている。 会員生協も日本生協連も、それぞれ独立した法人として事業・経営を行っている。これらの生協の区分けは必ずしも厳密ではなく、大学生協と市民生協が一体化している室蘭工業大学生協、市民生協と職域生協が一体化しているトヨタ生活協同組合や刈谷生協などの例もある。また、地域農業協同組合が加盟しているケースも存在する。2008年4月、改正された消費生活協同組合法が施行され、同連合会は共済事業を行うことができなくなったため、新たに連合会を設立し、共済事業(生命共済・火災共済の各事業を除く)を2009年3月21日付けで新連合会である日本コープ共済生活協同組合連合会(コープ共済連)へ移管した(下記参照)。
日本コープ共済生活協同組合連合会(コープ共済連)
生協法の改正により、これまで日本生協連で行ってきた共済事業を引き継ぐ目的に設立された、共済専門の生協の連合会。CO・OP共済として、「たすけあい共済」・「新あいあい共済」・「あいぷらす」・「学生総合共済」「CO・OP火災共済+自然災害共済」「マイカー共済」などを提供する。最寄りの生協窓口(店舗または共同購入センター)やインターネットでの加入申し込みが可能。
全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済 coop)
共済を扱う生協である。もともとは労働組合に向けた共済だったが、現在は誰でも出資金を支払い組合員になれば利用することが出来る。「こくみん共済」「総合医療共済」「団体生命共済」等の生命保障のほか、「火災共済」「自然災害共済」「マイカー共済」等の損害保障まで、多岐に渡る保障分野を主力制度として提供している。2019年に「全労済」から「こくみん共済 coop」へ対外呼称が変更され、全国に「共済ショップ」と呼ばれる対面相談型店舗を多数持つ。
全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
各地の大学にある購買生協(大学生協)の中央組織。地域ごとの共同仕入れ等を行っているところもある。
日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)
略称・医療福祉生協連。医療や福祉に従事する医療生協の全国組織で、全国111の医療生協が加盟。傘下に78病院・350診療所を擁する。
生協連合
全国生活協同組合連合会(全国生協連)
都道府県単位の共済の生活協同組合の連合会例・県民共済愛知県生活協同組合
全国共済生活協同組合連合会
火災保険の連合会
生協の事業連合
生協は県域・職域により活動が制限されるため、共同で仕入れるなど他の生協と協力したりして大きな事業を行う時等に事業連合を組織している。地域生協では事業連合単位での共同開発商品(プライベートブランド)が多く作り出されている。コープ東北コープデリ生活協同組合連合会ユーコープ事業連合、コープ北陸事業連合、東海コープ事業連合、コープきんき事業連合、コープ中国四国事業連合、コープ九州事業連合、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会パルシステム生活協同組合連合会、コープ自然派事業連合、生活協同組合連合会きらりグリーンコープ生活協同組合連合会
都道府県単位の生活協同組合連合会
上記の連合会等とは別に、都道府県単位の連合会がある。各単協は、都道府県単位の連合会と事業毎の連合会の双方に属していることが多い。
子会社
生協組織自体は非営利の協同組合であるが、食品製造・加工やコンピュータシステム開発など特定の業務を行う目的で、個別生協や日本生協連などの連合会の出資による子会社(100%出資もある)が存在する。
シンボル

生活協同組合のシンボルとして、虹色の旗が用いられる[11]
協同組合の研究
世界での研究

世界的には、カナダの協同組合運動家のアレクサンダー・レイドローによる「レイドロー報告」が、今日の協同組合運動の大きな指針となっている。この報告書では「組合員の民主的参加」や「協同組合の経済的目的だけでなく社会的目的」が基本的な考え方として唱えられた。これは、1980年ごろから経済状況が市場主義的な傾向を強める中で、協同組合も企業的な色合いを濃くしていたことに対して警鐘が鳴らされたものである。

イギリスのジャーナリストのポール・メイソン(英語版)は、2015年に出版した’’PostCapitalism:A Guide to our Future’’のなかで、協同組合が2008年からの世界的な経済危機のなかでも組合数を増加させていること、安定的に雇用を生み出していることに着目している。


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