生きてみたいもう一度_新宿バス放火事件
[Wikipedia|▼Menu]
美津子は辛い治療に耐え複数回に渡る皮膚移植が完了し、12月にはかろうじて一人で歩けるようになる。美津子は久しぶりに喫茶店で杉原と会い、事件当日に逃げ遅れた理由を語る。実はあのとき杉原に頼まれた金策のことや、杉原との不倫関係に心身ともに疲れ「死ねば楽になるかも」と思ったと告白する。

事件以後世間では、逮捕された容疑者・丸山の動向や、入院先で亡くなった他の乗客のことがニュースで報じられる。美津子はその後、肝機能の悪化を経て春頃にようやく状態が安定するが、体には痛々しいやけど痕が残る。そんな中で美津子は杉原の妻が末期がんにより亡くなったことを知る。夏になり退院した美津子だったが、運動障害などの後遺症により一人で生活ができず実家に身を寄せる。数日後に石井家を訪れた記者・斉藤から丸山について質問された美津子は「丸山を恨んでいない。恨む体力もない」と率直に答える。

杉原はある日石井家を訪れ、両親に美津子との結婚を許してもらい、二人で夫婦生活を始める。暮らしの中で美津子はふと、生きることは誰かの犠牲の上で成り立つと考え、そこから丸山と自身に重なる部分があるのではと考える。また世間は丸山を「凶悪犯」の一言で済ませるが、美津子は一変した人生や傷を負った体のことを思うと簡単に片付けられない。後日美津子は、刑務所の丸山に思いの丈を綴った手紙を出し、気持ちの整理をつける。

1981年の年の瀬が迫る朝、美津子は杉原から突然「死のうか」と言われ、会社の借金の返済期限が過ぎたことを知る。半信半疑の美津子だったが、愛する夫と死に場所を求めて旅に出て、福井県の温泉宿に泊まる。美津子は杉原に心中を思いとどまらせようと「二人で生きていきたい」と素直な気持ちを伝える。
キャスト
石井美津子
演 -
桃井かおりバス放火事件に巻き込まれた女性。大やけどを負い入院して辛い治療や皮膚移植を受け、その後も四肢の運動障害・肝機能が弱まるなど後遺症に悩まされる。退院後も人前に出るときは一年中長袖・長ズボンで肌のやけど痕を隠している。愛する杉原と話すときは、普段とは違いサバサバした男っぽい喋り方をする。
杉原荘六
演 - 石橋蓮司編集プロダクションを個人経営する。妻がおり、仕事仲間の美津子とは不倫関係にある。バス放火事件当日、自身が美津子に金策を頼んだことで結果的に事件に巻き込まれたため責任を感じている。やや自己中心的な性格。
丸山博文
演 - 柄本明バス放火事件の容疑者。事件について容疑を全面的に否認する。仕事は建設関係で真面目に働いていた。様々な理由により子供の頃から家庭事情に恵まれない人生を送る。
石井なお子
演 - 初井言榮美津子の母。辛い入院生活を送る美津子を献身的に支える。美津子を「みっちゃん」と呼ぶ。美津子を心配するあまり時々感情的な言動をすることがある。美津子に限らず基本的に人の世話を焼きたがる性格。放火事件の容疑を否認する丸山を激しく憎む。
石井義治
演 - 岸部一徳美津子の兄。プロカメラマン。美津子が乗っていたとは知らず偶然バスが炎に包まれた直後の写真を撮る。一時帰宅をした美津子に不躾な言葉をかける父を諌める。
石井敏子
演 - 高沢順子美津子の妹。実家から離れて暮らしており、恋人か夫がいる。美津子が当初運び込まれた病院の対応に不信感を抱き、知人の紹介で美津子を葛南病院に転院させる。
美津子の父
定年を迎えて夫婦で年金生活を送る。美津子の将来を案じて不憫に感じている。後に杉原から美津子との結婚を前提とした交際の承諾を求められ、婚姻届を出さないことを条件として交際を認める。
斉藤宏保
演 - 原田大二郎テレビ局社会部の報道記者。バス放火事件の被害者である美津子に対し、事件や容疑者への思い、退院後の様子などを取材に訪れる。マスコミ関係者であることから当初は美津子から良く思われていなかったが、徐々に信頼されるようになる。
中島研郎医師
演 - 佐藤慶葛南病院の医師で美津子の担当。辛い治療時には他愛のない雑談をして美津子の気を紛らわせる。将来を不安視する美津子を励ますが、言葉が率直すぎてデリケートさに欠ける。
看護師
演 - 立石凉子葛南病院の看護師で美津子の担当。電話を上手くかけられない美津子の代わりに電話するなど、入院生活をサポートする。
その他
演 - 小栗一也三谷昇勝部演之平野稔石田弦太郎、岡本真美、荒木せつ子、伊藤公子、矢野いづみ、草野裕、島田順司佐古雅誉山口嘉三、田中洋介、大林丈史野村昇史、増田再起、中平良夫、宗田親彦、花田光夫崎田美也
スタッフ

監督:
恩地日出夫

脚本:渡辺寿、中岡京平、恩地日出夫

製作者:植村伴次郎

企画:伊藤満

プロデューサー:木村博人

原作:杉原美津子『生きてみたいもう一度』文芸春秋

音楽:毛利蔵人

撮影:上田正治岸本正広

編集:阿良木佳弘

美術:本多好文

写真提供:石井義治(原作者の実兄)

助監督:下村優

製作会社:ヴァンフィル

配給:東映クラシックフィルム

著書

『生きてみたい、もう一度』

文藝春秋、1983年1月

文春文庫版、1987年2月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-16-744201-9

新風舎文庫版、2004年3月。ISBN 4-7974-9282-1


『老いたる父と』

文藝春秋、1989年。

文春文庫版、1992年。


『炎のなかの絆』文藝春秋、1992年。 

『命、響きあうときへ』文藝春秋、1995年。 

『他人同士で暮らす老後 高齢者専用マンションの四季』文藝春秋、1999年。 

『絆をもとめて 終のすみかを探す旅』風媒社、2006年。

『夫・荘六の最期を支えて』講談社、2009年。 

『ふたたび、生きて、愛して、考えたこと』トランスビュー、2010年。

『炎を越えて 新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡』文藝春秋、2014年7月。ISBN 978-4-16-390092-6

脚注^ a b 『現代物故者事典2012?2014』(日外アソシエーツ、2015年)p.306
^ a bノンフィクション作家の杉原美津子さん死去 時事通信、2014年12月8日閲覧
^ a b c d “杉原美津子×入江杏「喪失から甦生へ『新宿西口バス放火事件』と『世田谷一家殺害事件を語る」”. 現代ビジネス. 講談社 (2014年8月19日). 2020年12月11日閲覧。
^ 死者6人の「バス放火事件」は現代の格差社会でも起こりうる無差別犯罪【大量殺人事件の系譜】 日刊SPA!扶桑社、2016年10月14日
^ 聞いてほしい 心の叫びを?バス放火事件 被害者の34年? - NHKスペシャル2014年2月28日初回放送
^バス放火事件、夫の介護、C型肝炎、がん宣告… 『死』と向き合い手記に - 中日新聞、2010年6月22日
^(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞 2011年7月19日閲覧


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:38 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef