環太平洋パートナーシップ
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CPTPPは2018年12月30日に、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ及びオーストラリアの間で発効し[22]、ベトナムについては2019年1月14日[23]に発効、ペルーについては、2021年9月19日に発効[24]、マレーシアについては、2022年11月29日[23]に発効、チリについては、2022年12月23日[注釈 8]、CPTPP発効のための国内手続を完了したので、チリについては2023年2月21日に発効[7][26]、ブルネイは、2023年5月13日、CPTPP発効のための国内手続を完了した旨を寄託国であるニュージーランドに通報したので、ブルネイについてはその批准の60日後の2023年7月12日に発効した[8][27]

当初のTPPには、非関税障壁と関税障壁の両方を下げ[28]投資家対国家の紛争解決(ISDS)メカニズムを確立するための措置が盛り込まれていた[29]アメリカ国際貿易委員会[30]、ピーターソン国際経済研究所、世界銀行、グローバル・アフェアーズ・カナダ首席エコノミスト事務所は、最終的な協定が批准されれば、すべての加盟国にとって純然たるプラスの経済的成果につながるとした一方で、タフツ大学の2人のエコノミストによる代替手法を用いた分析では、協定が加盟国に悪影響を及ぼすとした。 多くのオブザーバーは、この貿易協定は地政学的な目的、すなわち、加盟国の中国貿易への依存度を下げ、加盟国を米国に近づけることに役立っただろうと主張している[31][32][33][34]
原協定、TPP交渉からCPTPPの発効まで
原協定「TPSEP」も参照

環太平洋パートナーシップ協定の原協定(英語: Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP)は、シンガポールブルネイチリニュージーランドの4か国の経済連携協定(EPA)として始まり、2005年7月(ブルネイは8月)に署名され2006年5月28日にシンガポール、ニュージーランドについて、7月12日にブルネイについて、11月8日にチリについて発効した。

当初は、Pacific Three Closer Economic Partnership (P3-CEP) として知られ、2002年メキシコロス・カボスで開かれたAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始された。2005年4月に開かれた5回目の交渉会合から、ブルネイが完全な交渉当事者として加わった。この原加盟4か国は Pacific-4 (P4) と呼ばれる。また、拡大交渉中のTPP協定と区別するために、原協定 (original agreement) は、P4協定 (P4 Agreement) と呼ぶことがある。

加盟国間の全ての関税の90%を撤廃[35]産品の貿易・原産地規則・貿易救済措置・衛生植物検疫措置・貿易の技術的障害・サービス貿易・知的財産政府調達(自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定の全ての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている[35]。目的の一つは、「加盟国の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」である[36](CHAPTER 16 STRATEGIC PARTNERSHIP Article 16.2: Objectives 2. (d))。

条文は、ニュージーランド政府サイト上で公開[36]#外部リンク参照)されており、日本語への私訳も複数存在している(日本政府からは、農林水産省から第3章の仮訳が公開されているのみである)。

原協定の構成、リスト


主文 (Main-Agreement)

序文 (PREAMBLE)

第1章 設立条項 (INITIAL PROVISIONS)

第2章 一般的定義 (GENERAL DEFINITIONS)

第3章 物品の貿易 (TRADE IN GOODS)

第4章 原産地規則 (RULES OF ORIGIN)

第5章 税関手続き (CUSTOMS PROCEDURES)

第6章 貿易救済措置 (TRADE REMEDIES)

第7章 衛生植物検疫措置 (SANITARY AND PHYTOSANITARY MEASURES)

第8章 貿易の技術的障害 (TECHNICAL BARRIERS TO TRADE)

第9章 競争政策 (COMPETITION POLICY)

第10章 知的財産 (INTELLECTUAL PROPERTY)

第11章 政府調達 (GOVERNMENT PROCUREMENT)

第12章 サービス貿易 (TRADE IN SERVICES)

第13章 一時的入国 (TEMPORARY ENTRY)

第14章 透明性 (TRANSPARENCY)

第15章 紛争解決 (DISPUTE SETTLEMENT)

第16章 戦略的連携 (STRATEGIC PARTNERSHIP)

第17章 行政および制度条項 (ADMINISTRATIVE AND INSTITUTIONAL PROVISIONS)

第18章 一般的条項 (GENERAL PROVISIONS)

第19章 一般的例外 (GENERAL EXCEPTIONS)

第20章 最終規定 (FINAL PROVISIONS)


付属書 I シンガポール (Annex I Schedule of Singapore)

付属書 I ブルネイ (Annex I Schedule of Brunei Darussalam)

付属書 I チリ (Annex I Schedule of Chile)

付属書 I ニュージーランド (Annex I Schedule of New Zealand)

付属書 II 原産地規則 (Annex II Specific Rules of Origin)

付属書 III サービススケジュールその1 (Annex III Part One of the Services Schedules)

付属書 IV サービススケジュールその2 (Annex IV Part Two of the Services Schedules)


原協定の拡大日本のTPP交渉については、日本のTPP交渉及び諸議論の項を参照

原協定の第20章 最終規定の第1条および第2条において、「別段の合意が無い限り、この協定に投資に関する章と金融に関する章を盛り込むことを目的として、この協定の発効(2006年5月28日)から遅くても2年後までに交渉を開始する」と定められている。これに従い協定の拡大交渉会合が開かれている。

拡大交渉に伴い、拡大交渉中の協定は 環太平洋パートナーシップ協定 (Trans-Pacific Partnership Agreement, TPP) と表現されるようになったが、内容は、環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP, P4) の拡大である。ただし当初は原協定(TPSEP)に基づく拡大交渉として開始されたが、最終的には、原協定とは法的にまったく別の協定となったため、TTPにはTPSEPとの関連を規定する規定は一切ない。
拡大交渉会合開始までの流れ

2008年2月4日、アメリカ合衆国通商代表(以下、USTR)のスーザン・シュワブは、アメリカが投資と金融に関する交渉に参加すると表明した[37]

その後、リーマン・ショックから1週間後にあたる2008年9月22日に、USTRのスーザン・シュワブは、原加盟国4か国の代表と共に交渉の立ち上げの声明を出し、アメリカは最初に追加された交渉国となった[38]

翌日の2008年9月23日に、オーストラリアは参加の検討を発表した[39]

なお、アメリカは、参加表明に先立ち日本、オーストラリアなど数カ国に一緒に参加することを外交ルートなどを通じ呼びかけたが、日本は、当時の経済産業大臣・二階俊博(自公連立政権)が参加に意欲をみせたものの、参加は見送っている[要出典]。

2009年11月14日に、アメリカは改めて参加の意思を示し、その中で、大統領バラク・オバマは初めてTPPに係合する意向を発表し、USTR代表のロン・カークは輸出拡大と雇用確保などのメリットを強く訴えている[40]

2010年3月14日に、ペルー貿易観光大臣のペレスは交渉参加を発表した[41]


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