環境問題
[Wikipedia|▼Menu]
食料システムは食料の生産、加工、流通、準備および消費に関連するすべての要素を含むシステムのことで、食料システムは全温室効果ガス排出量の21?最大37%を排出していると推定されている[2]。この推定値には、農場内での農作物や家畜の活動からの9?14%の排出量と、森林破壊や泥炭地の劣化を含む土地利用や土地利用の変化からの5?14%の排出量と、5?10%はサプライチェーン活動によるものが含まれている[3]

食料システムからのGHG排出量を減らすために、食料ロスと廃棄物の削減やより持続可能な食事への移行といった食料システムにおける他の行動は、27億台の車を道路から撤去することに相当する12.5 GtのCO2を削減できると試算されている。全GHG排出量の8%を占める食料の損失と廃棄物を削減することは、年間4.5 GtのCO2削減、家畜の生産方法を改善し、家畜からのメタン排出を削減すれば年間最大1.44 GtのCO2を削減できるとされ、植物由来食品の割合を多くすることで年間最大8 GtのCO2を削減できる可能性があるとされる[2]。植物由来食品に注目し、代替肉(プラントベースドミート)など代替食品を取り扱うフードテック企業も増加している[4]。また、肉と同等のタンパク質とアミノ酸を含む昆虫食も環境に配慮した食品として注目されている[5]。畜産についても、環境に配慮した畜産方法が模索され、2020年現在、天然の飼料素材のうち牛のルーメン(第一胃)菌叢に働きかけ、メタンを低減するものが世界各国で多数発見されている。これらは、メタンの早期対処法として評価されている。日本では、カシューナッツ殻液に含まれる希少 フェノール物質(アルキルフェノール)がメタン発生を20%低減することが発見されている[6]。また、家畜の排せつ物から発生するメタンをバイオガスエネルギーに利用する試みも行われている[7]
騒音・振動・快適性問題

航空機の離着陸の際に出る大きな音は、空港基地などの周辺では生活に支障が出るほどのレベルに達することがある。空港の用地取得問題との関連などから、空港で夜間の離着陸を制限するなどの対策は行われているが、基地周辺での騒音問題沖縄などではいまだに深刻である。

地盤が弱い、交通量(特に大型車)が多い道路などの周辺では振動によって、生活に影響が出たりすることがある。廃棄物の不適切な処理などによって悪臭の問題が発生することもある。
開発問題・自然保護・生態系問題

自然保護については、世界自然保護基金(WWF)や国際自然保護連合(IUCN)を始め大小さまざまな自然保護団体、個人の活動家などが活動を行っている。

開発前に環境アセスメントを行う手法や、自然保護区の設定などが積極的に進む一方、政治的あるいは経済的な理由などにより十分な保護が行われていないところもある。ただ、国民生活に余裕がなく経済的な余裕がない貧困国アフリカ地域など多くあり、それらの国からは環境保護以前に開発、国民生活の向上が必要との主張も根強い。

個人を中心として、ナショナルトラスト運動が展開されている地域もある。
地球温暖化・気候変動問題「地球温暖化#地球温暖化対策」を参照

1997年平成9年)に日本京都にて「気候変動枠組条約第3回締結国会議」が開催された。ここでは京都議定書により二酸化炭素メタンフロンガスといった温室効果ガスの総排出量を削減することが取り決められた。削減目標は国ごとに割り当てられ、先進国全体で2012年までに1990年の総排出量から5.2%削減することが求められている。これは2050年までに総排出量を半減させるという長期目標に比べて微々たる量であるが、排出削減で合意したこと自体に一定の意味がある。
問題点

産業に効率化・能率化が図られると、機械の導入などによってエネルギーの消費が増えるように、産業の発展・生活水準の向上・環境負荷の増加は切っても切り離せない関係にある。環境負荷を軽減しようとすれば、産業の発展や生活水準の向上が妨げられるとの考えは根強く、現在の環境問題対策の大きな足かせとなっている。

環境市場や環境ビジネスは拡大し続けており、環境保護をテーマにした商品や企業も増え続けている。自らの損失を省みない献身的な環境保護活動・環境対策が民間を中心に行われている一方、利益のための環境保護活動・環境対策も行われている。

環境問題全体の対策を考える上で、ある問題への対策が他の問題に悪影響を与えたり、それぞれの環境問題への対策が互いに相容れないものであることもある。例えば、温室効果ガスの排出量が少ないためヨーロッパではディーゼル自動車の利用が推進されていたが、大気汚染物質の排出量が多いため日本では規制対象となるなど、対応が分かれている。
環境に関する考え方
持続可能な開発「持続可能性」および「持続可能な開発」を参照
エコロジー「エコロジー」を参照

原義は「生態学」であったが、意味が拡大して現在は「環境に優しい」「環境に配慮した」「環境負荷が少ない」という意味で用いる。略してエコと呼ぶことも多い。意味や定義が曖昧であるため、「健康にいい」「自然な」といったところにまで意味が拡大されることもある。
自然回帰・文明否定

発展や利便性追求の流れから、もともとの自然に回帰することで、環境問題を解決しようとする考え方がある。文明と環境問題が密接な関係を持つことから、文明を回避あるいは後退させることで解決しようとする考え方もある。過剰消費により環境問題を引き起こす資本主義を否定する反成長の運動もある。この流れは、ラッダイト運動や日本では環境負荷の低い精進料理江戸時代の生活様式など伝統を見直そうという動きに窺うことが出来る。自然を理想とする考え方もアナキズムルソーなど一部のロマン主義に見ることが出来、アスコーナではその種の共同体が試みられることもあった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:119 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef