ソビエト連邦が消滅すると、アメリカ合衆国による一極体制・新自由主義的なグローバリズムの時代が始まった。米国は「世界の警察官」として冷戦後も対外介入を続けたが、1993年のソマリア内戦で米軍に大きな被害が出たことで、国益にならないPKOに対し消極的になった。しかし、この米軍の消極姿勢および追従する国々がルワンダ虐殺を許したという批判は大きい[2][3][4]。一方、欧州のコソボ紛争では安全保障理事会の承認なしでNATO軍が空爆を行った。また、エネルギー資源の所在する中東に特に干渉し、パレスチナ問題に対する数多の拒否権行使や、1990年の湾岸戦争では武力行使容認決議を経て多国籍軍でイラクを攻撃した。しかし、冷戦下で対ソ連のため、後のテロ組織・アルカーイダの母体となる組織に資金提供をしたことや[5]、湾岸戦争後も中東に駐留し続けたことなどが積み重なり、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件へと繋がった[6]。以後、米国は「テロとの戦い」と銘打ち、対テロ戦争に包括されるアフガニスタン侵攻やイラク戦争に突入した。
中国やベトナムなどの共産党国家は国家資本主義による経済成長を達成し、ヨーロッパ諸国は欧州連合(EU、1993年11月1日設立)や通貨ユーロ(1999年1月1日施行)による緩やかな地域統合を打ち出した。日本も戦後急速な経済成長を遂げ、1995年にはGDP(ドル建)が米国の7割強になったが、バブル崩壊後は停滞している。第1回G20首脳会談(2008年11月15日)
2007年から2008年までアメリカ発の世界金融危機、とりわけ2008年9月15日にはリーマン・ショックが発生し、世界経済はグレート・リセッションに陥った。この頃には中国やロシアなども経済成長を遂げていたため、同年11月14日にG7より多様な第1回20か国・地域首脳会合が開催され、多極体制を印象付けた。特に、中国は21世紀になってから「世界の工場」として急発展を遂げ、2010年にはGDPで日本を抜いて世界2位となった[7]。
2008年の米国大統領選挙で、「変革」を掲げるバラク・オバマが当選[8]。オバマは、虚偽の理由で始めたイラク戦争を「間違った戦争」と批判し、2011年末に駐在米軍をイラクから撤収させた。2013年には「米国は世界の警察官ではない」と述べた[9]。しかし、2010年から始まったアラブの春では、NATO諸国とともにリビアやシリアの反政府勢力を支援した。特に、シリア内戦では欧米やロシア、アラブ諸国など外国勢力の思惑が交差したことで難化し、1960年以降で最多の難民や新たなテロ組織ISILを生み出す事態となった。また、アラブの春全体でも、アラブの冬といわれる混乱に入った。
そして、2016年アメリカ合衆国大統領選挙では、排外的で「アメリカ第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げるドナルド・トランプが勝利し、新自由主義的なグローバリズムへの嫌悪が明らかになっている。トランプは、貿易赤字への問題視から多国間貿易協定であるTPPから離脱[10]、地球温暖化懐疑論からパリ協定を離脱、最高裁判事指名権による人工妊娠中絶禁止(判決は退任後)[11]などを行った。さらに、台頭する中国に対して貿易戦争や先端技術輸出規制を始め[12][13]、米中二極体制の様相を呈している。
2019年より、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行が発生。過去にない潜伏性の高さから、人類の活動を利用して急速に感染を拡大したこの感染症は、2020年3月11日にパンデミックと認定された。2020年末までに世界全体で感染者数7000万人以上、死者数160万人以上になる健康リスクだけでなく[14]、世界各国で入国制限やロックダウン(都市封鎖・移動制限)が実施された影響で、大幅な需要減とサプライチェーンの混乱は実体経済に深刻なダメージを与えた(世界全体のGDP成長率-3.3%[15])。