被殻はその材質から堆積物中で残存しやすく、微化石として大量に産出する。珪藻の被殻がその大半を占める堆積物は珪藻土と呼ばれる。珪藻の化石として最古のものは、ドイツ北部の1億8500年前の地層より発見されたものとされている。化石化しやすい珪藻であるが、白亜紀以前のものは黄鉄鉱やオパールなどで置換されている場合も多く、珪藻であった事が分からなくなっているものもある。 淡水から海水まで広く分布する。海洋生態系においては一次生産者として大きな生態的地位を占める一方、大発生して赤潮を引き起こす事もある。陸水においても重要な生産者であり、魚類の餌として重要である。淡水中に見られる褐色のいわゆる「コケ」は蘚苔類ではなく、主に珪藻の群体である。プランクトン量の少ない流水系ではベントスとして存在し、川底の石の表面に付着してアユ等の餌となる。 珪藻はpH1.2の強酸性の温泉から、pH11の強アルカリ湖であるマガディ湖のような塩基性湖まで広く分布する。その他、高塩濃度の内陸湖や強腐水域など、極限環境として知られる環境にも生育する。極域の流氷下面にも低温性の珪藻が成育しており、これらは特に海氷藻類 (ice algae
分布
一部の珪藻では、有孔虫に細胞内共生している例が報告されている。共生中の珪藻は被殻を持たない状態だが、有孔虫の細胞内から単離すると被殻を形成し、自由生活性となる。
1983年日本で初めて発見されたキートケロス・サルスギネウムと呼ばれる珪藻は、一般のプランクトンの50倍のスピードで増殖する。日本で発見されて以来、世界各地での分布が確認されている珪藻だが、高い増殖力については長い間認知されることはなかった。2012年、香川大学の実験により、その増殖力を知られることとなった[3]。バイオ燃料として活用できる可能性もあるとして、研究が進められている[4]。
生活環
無性生殖
珪藻は通常、二分裂により無性的に増殖する。細胞分裂は被殻の中で進行し、二つの娘細胞は親細胞の外殻と内殻の内側にそれぞれ新たな半被殻を形成する。従って、親細胞の半被殻はそれぞれ一つずつ娘細胞に分配される。その結果、娘細胞の一つは親細胞と同じ大きさ(の被殻)であるが、もう一方は内殻を外殻として利用している為、親細胞より一回り小さくなる。
有性生殖
上記の通り、無性生殖を繰り返した個体群は細胞の平均サイズが減少してしまう。これを回復する為、ある程度小さくなった細胞では有性生殖が行われる。中心珪藻では減数分裂を行って一本鞭毛の遊走細胞を生じ、これが他の単相の個体(遊走細胞ではない)と接合して増大胞子を形成する。増大胞子は被殻を持たず、成長して体積を増し、然るべき大きさの通常細胞に戻る。羽状珪藻の減数分裂では同形配偶子が形成される。この接合子が被殻を介して近接し、原形質をアメーバ状に変化させて接合、増大胞子を形成する。 原生種・化石種を含め約2万種といわれる。しかしこれらの大部分は殻の形態を元に記載された種であり、有性生殖による生物学的種の確認が行われたわけではない。Sellaphora 属など一部の珪藻では有性生殖の確認実験が為されており、それによれば、同種とされる珪藻の中でも形態の近いもの同士のみが互いに有性生殖を行うという。これを踏まえた試算によれば、珪藻の種数は10万を超えるとする見解もある。
分類
Paralids Mann in Adl et al., 2005 - Paralia など
Melosirids Mann in Adl et al., 2005 - Aulacoseira, Melosira,Stephanopyxis など
Coscinodiscids Mann in Adl et al., 2005 - Actinoptychus, Coscinodiscus など
Arachnoidiscids Mann in Adl et al., 2005 - Arachnoidiscus など
Rhizosolenids Mann in Adl et al., 2005 - Guinardia, Leptocylindrus, Rhizosolenia など
Corethrids Mann in Adl et al., 2005 - Corethron など
クサリケイソウ亜門
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バイオダイバーシティ・シリーズ(3)藻類の多様性と系統 pp. 207-14. :千原光雄 編 裳華房(1999).mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-7853-5826-2
Graham LE, Wilcox LW. (2000) Algae. pp. 232-68. Prentice Hall. ISBN 0-13-660333-5
Kroger N, Deutzmann R, Sumper M (1999). “Polycationic peptides from diatom biosilica that direct silica nanosphere formation”