珠算
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一般には留頭頭乗法の欠点を克服するため部分積を置く位置を改良した方法が用いられる[15]。以下に示すのは新頭乗法と呼ばれる現在一般的な方法(法を盤面に置いていない片落としの例)である。

(例)32×97






322を消して2×90+2×7





3を消して+30×90+30×7=3104

特にそろばんの上級者の乗算の場合は、法のみならず実もそろばんの布数から省略し、積のみをそろばんに置いていく両落としが用いられることも多い。

古式の尾乗法や中乗法の場合は、一時的に1桁に10以上溜まる場合があるため、完全な布数には天二地五が必要となり、天一地五や天一地四ではそのような場合記憶に頼ることになる。
除法

そろばんの除法は種類が多くはなく、割り算九九を用いる帰除法と掛け算九九を用いる商除法がある[15]

帰除法

帰除法には割り算九九を用いる[15]。部分商の発見など計算を器械的に行うことができる[16]

帰除法は明の時代に汝思甫が創案したとされる[16]。日本へは毛利重能が伝えたといわれており広く用いられた[16]

帰除法では一時的に1桁に10以上溜まる場合があるため、完全な布数には天二地五が必要となり、天一地五や天一地四ではそのような場合記憶に頼ることになる。


商除法

商除法には掛け算九九を用いる[15]。商除法は特殊な割り算九九を用いないため学習が容易である[17]

商除法は原法が定かではなく汝思甫によるという説もある[16]。日本では百川治兵衛が弟子の亀井津平に教授したのが商除法(百川流または亀井算という)とされるが詳細は不明[16]。明治以降に行われるようになった亀井算は多くの人々によって改良されたものといわれている[16]

商除法には部分商の発見が難しいのと、部分商を実(被除数)の首位数を破算して置くためこれを記憶しておく必要があるという欠点がある[17]。そのため部分商を置く位置を改良した方法が用いられる[18]

以下に示すのが現在一般的な商除法(法を盤面に置いていない片落としの例)である。

(例)1416÷59






14162を置いて20×50を引く20×9を引く





4を置いて4×50を引く4×9を引く=24

開法

開法の計算は、次を参照。

開平

開立

珠算競技

大別すると珠算競技と暗算競技に分けられる。
珠算

珠算競技の中心をなすもの。

通常、一種目3分から10分程度で行われる(読上算は除く)。

基本的にはそろばんを使って計算することが前提となっているが、
暗算で計算してもよいことになっている。このことについて、「道具の使用が許可されているのに、暗算で計算するなんて損ではないか」と指摘されることもある。しかしそろばんを使う計算は手を動かす分、速さに限界があるため珠算式暗算でできる場合は暗算のほうが速くできる。このため、珠算選手は暗算でできる問題を積極的に暗算で計算することが多い。特に見取算、伝票算でその傾向が強い。さらに近年では、現実的に日本一を狙えるレベルに近い選手だと乗算や除算の問題もすべて暗算する。

種目

乗算
かけ算の問題。単位は
無名数ドルなど(以下一部例外を除いて同じ)。

除算
わり算の問題。割り切れる問題と割り切れない問題がある。そのため通常は「(注意)小数点未満四捨五入」などといった様に端数処理の方法が冒頭に示される。

見取算
問題にある数字を自ら読み取って計算するもの[19]。加算のみ、および加減算の問題。答えがになる問題が混ざっていることもある(補数計算)。

伝票算
伝票をめくりながら数字を自ら読み取って計算するもの(厳密には見取算の一種)[19]

応用計算
式の一部を求めるものや、消費税の計算、借金減価償却などの応用的な問題。

開法

開平平方根の計算)

開立立方根の計算)


読上算
読み手が読み上げた数字を読み取って計算するもの
[20]。加算のみ、および加減算の問題。検定試験では用いられないが、珠算の大会などで恒例の種目。出題者が読み上げる数値(単位は円)を加減算する。計算対象とする数値の最上位の位の珠の位置に素早く指を動かすことが求められる。位取りの単位名を聞き終わるまで珠算を開始することはできず、日本では通貨単位の円が読み上げられるまで数値の終了位置が確定しないため、電卓のように計算対象の数値を目視して順次入力する方法とは異なる。「願いましては・・・」「○○円なり、○○円なり・・・では」など独特の言い回しが用いられる。なお「願いましては・・・」を英語では「Starting with」、「では」は「That's all」と訳される。
暗算

厳密に言えば珠算ではないが、珠算式暗算で計算することが前提となっているため種目に含まれている。

通常、一種目3分程度で行われる(読上暗算は除く)。

暗算で行う分、一般的に問題は珠算競技より桁数が少ない。

そろばんを使って計算してはいけない。

種目

乗暗算
乗算の暗算。

除暗算
除算の暗算。

見取暗算
見取算の暗算。

読上暗算
読上算の暗算。
といった単位の問題を容易にこなす選手も多くいる。

フラッシュ暗算
画面にでてくる数字を足していくもの。


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