玩具
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ガラガラは普遍的な乳児用玩具であり、メキシコ民族が用いたさとうきびの茎製、エスキモーアザラシの皮製など多様な素材から作られたものがあり、これらは乳児期に音が大切な発達要素であったことを各民族が認識していた傍証になる[40]

天井に吊るしたりなどに置いたりしてモビール回転する玩具(メリー、ベビーメリー、オルゴールメリーなど[41])も多く、また風車やガラガラなどを親が手に持って見せる限りはこれらもながめ玩具の範疇に入り[39]、日本のでんでん太鼓は乳児には扱えるものではないため、この用途専用のものだった[40]。これらを持って遊ぶ様子は生後三ヶ月頃から見られ始め、手に持つための適度な大きさや、口に含むことを念頭に置いた安全性などを考慮した製品が設計される[29][42]。乳児が這って動ける頃には、全身運動の興味に答えるおきあがりこぼし(en)などが与えられる[43]
人形やぬいぐるみなど詳細は「人形」および「ぬいぐるみ」を参照人形を持つ女の子の写真。1900年代

長い歴史を持つ人形には多様な種類がある。幼児向けには人間や動物を象った単純な人形やぬいぐるみが与えられ、これが概念の初期形成に寄与する[44]。当初こそ幼児はただ触って遊ぶに過ぎないが、やがて仮の人格を与え、食事や排泄など生命があるようにみなし、遊び相手や友人として扱うようになる。これは動物のぬいぐるみなどにも当てはまる[44]

人間の成長を通して、人形が玩具である期間は長い。幼児から成長すると、ままごとなど遊びが高度化するに伴い、人形にもさまざまな機能を求めるようになる[44]。これに対応し、手足が可動なものからぜんまいなど動力を備えて動く人形[45]、泣いたり眼をつむったりするものが作られている[44]。さらに、人形用の衣類家具などのお道具類等も整備された[46]

人形の起源は民間信仰の道具だったと考えられる。被災や罹病などの身代わり、豊作などの祈りの対象、そして権力者の墓に埋葬される品であったりした。日本で人形が子供用玩具となるのは、8世紀頃に始まり、江戸時代に広まった。そして芸術的・工芸的な要素が加えられ、地域の特色を帯びる郷土玩具の一体系となった[47]。衣服をつけた人形も8世紀のヨーロッパで作られ始め、14世紀に華やかさを増した[47]
模型おもちゃのボート

古くから子供は様々な乗り物の模型を玩具にして遊んでおり、古代ギリシアの陶芸品から二輪のカートで遊ぶ子供の図柄が発見されている[48]自動車電車または飛行機など乗り物の模型は、所有欲を満たす玩具である。子供の場合は、実体験で見聞した乗り物を再現する性質が強く、結果的に荒く扱って壊されやすい[49]。10代以上になると科学的な興味を満たす傾向が強まり、玩具へ精巧さを求めるようになって材質や実際に駆動することなどにも目を向ける。さらに電車ならばゲージなど様々な周辺部品を加え、飛行機ならば実際に飛ばせるものなどへと、高度かつ高価なものとなってゆく[49]
音響玩具

子供の聴覚に訴えかける玩具の種類がある[29]。乳児期のガラガラなども該当するが、手を使う遊びの延長として太鼓タンバリン、口に含む行動からなどの玩具がこれらに相当する。さらに、成長に伴い使われる子供向けの楽器類なども玩具に相当する[50]
練習玩具けん玉

玩具を用いて行う遊びのうち、目標を上手く達成することに楽しさを感じ、その技能を上達させる目的で遊ぶものを練習玩具、スキルトイという。これを複数の人間で比較競争すればゲームとなるが、ヨーヨーけん玉または独楽縄跳び紙風船などを一人単位で遊ぶことが該当する。を玩具に使う様々な遊びも多くこれに当たり、リリアンのようなものから複数で遊ぶあやとり縄飛びゴムとびなどが例示される[51]

木の実に軸を挿した原始的な独楽は世界中で見られ、それぞれの文化圏の様式に沿って自然発生した。独楽は子供に限らない玩具の典型であり、古代エジプトの頃から美しい装飾が施されたり、回し方にも様々な工夫が発展した。『和名類聚抄』では、日本の独楽は宮廷の儀式道具として独楽廻しの専門職がいたことが記されている。江戸時代には賭場の道具になり、また曲芸としても大成した[52]。ヨーロッパでは16世紀イギリスで多様な種類と形状が発達し、18-19世紀には特に鉄製の独楽が流行した。この中には、氷上でも遊べる工夫が施されたものもあった[52]
パズルメカニカルパズル。1890年W. アルテクルーズ作。詳細は「パズル」を参照

考える玩具の代表がパズルであり、智慧と工夫をこらして目的を達する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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