玩具
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これらは、感覚教育、言語教育、算数教育などそれぞれに目的を持つが、子供が自ら遊ぶ中でこれらの主題を発見し、身につけることで社会への適応性を育て、人格を形成するための補助となるように考えられていた[12]

日本では、1871年(明治4年)に慶應義塾遊具を設置し、1873年(明治6年)には内務省が教育玩具の普及を目的に製造業界に製品の販売を促した。文部省も乗り出し、『小学読本』でボール遊びのひとつとして野球の記事を載せたり、『童女筌』でけん玉遊びを奨励するなどの活動を行った。1879年(明治12年)にはフレーベルの理論を紹介した『幼稚園法二〇遊嬉』を発行した。1914年(大正7年)には幼稚園・小学校の教材に折り紙が加えられた。第二次世界大戦中には模型飛行機などの軍事色が強い玩具が学校教育に導入されたが、戦後にはこのような戦争玩具は教室から排除された[12]二児がパドルボール(英語版)で遊ぶ光景を描いた絵画。中国代の画家・??臣(1130-1160年頃に活躍)が描いた。
現状

最も単純な玩具のひとつである木製の積み木は、心の育成において最良の玩具とも言われる。メガ・ブランズ(英語版)社マーケッティング担当役員のアンドリュー・ウィットキンは、情報誌『Investor's Business Daily』で「それ(積み木)は、眼と手指の共同作業を発達させ、数学や科学の技能、そして想像力を子供に芽生えさせる」と話した。おはじきお手玉ボール遊びなども同様に、心身を駆使して空間認識や原因と結果の繋がりなど様々な能力を育てる有効な教材になるとウィットキンは述べている[28]

児童の成長に影響を与えるめざましい玩具のひとつに、プレイ・ドーやシリーパティーおよび家庭で作れる同じような成形用粘土類がある。ウェルズリー大学幼児学習センターの教育担当メアリー・アッチーは、このような種類の玩具がなぜ子供の身体的発達、認知力向上、情緒教育の有効性および社会性の発達に影響を与えるのかを説明した[30]
知育玩具詳細は「知育玩具」を参照

特に幼児や児童向けに思考や創造性を重視して開発された玩具の一種知育玩具では、認知心理学感性工学および人間工学などの考え方を組み入れ、またこれを用いて一緒に遊ぶ親子の行動分析を通じて、知能や情緒の形成、認知的発達の仕組みを知り、玩具の設計にフィードバックされている[31]。これらには、ブロックや積み木からプレスクール用玩具、幼児用玩具類、楽器や絵本から幼児用キャラクター製品などが含まれる[32]

子供の玩具に対する好みは、視覚的には暖色を発するものを、聴覚は特に幼少時に反応する律音から成長に応じて調音が、触覚では先ずで掴めるものから徐々に身体全体で感じられるものへと変化する[33]嗅覚に訴える効果は充分な成長を経ないと関心を引き起こしがたい[33]。玩具そのものの運動についても強い関心を持ち、それは成長に伴って細かな動きに目を向けるようになる[33]

また、認知症高齢者への治療のひとつに玩具を用いる例もある。心理療法の手段のひとつ回想法 (Reminiscence) の手段として懐かしい玩具などを用いた記憶発想への刺激を行ったり[34]、幼児向け知育玩具のゲームを通じて感覚を刺激する試みも行われている[35]
性差

ある種の玩具、例えばバービーの人形は女の子向け(または大人の女性向け)で、一方GIジョーは、男の子向け(または大人の男性向け)という風に分けられる。研究によると、18ヶ月未満の乳児でも性別によって玩具の選択が分かれるという結果がある[36]

日本でも、業界分類等で「男児玩具」と「女児玩具」はそれぞれ別に分類されており、前者には模型玩具や乗り物など、後者には人形とその周辺道具類などがある。キャラクター人形やごっこ遊びの玩具類も男児向けと女児向けがそれぞれ区分される[37][38]

戦車の玩具。男児向け玩具の典型。

兵士の人形や戦闘機の玩具。男児向け玩具。


料理の玩具。女児向け玩具。

大人の女性もバービー人形が好きで、「大人買い」をして、収集することも。

種類詳細は「Category:玩具」を参照日本の伝統的おもちゃたち
こま、羽子板、風車、竹とんぼ、お手玉、輪投げ、めんこなど
乳児用玩具幼児の頭上に吊るされた玩具

生後、赤ちゃんに最初に与えられる玩具が、未発達の聴覚や視覚に働きかける「ながめ玩具」と呼ばれる種類である。これらは手に取って遊ばせるものではなく、乳児をあやすことを目的とする。赤など暖色が多く用いられながら刺激は弱められ、澄んだ音を連続的または間歇的に発すものが好まれる。生後一ヶ月を過ぎた頃になると緩やかな動きがあるものが好ましい[39]ガラガラは普遍的な乳児用玩具であり、メキシコ民族が用いたさとうきびの茎製、エスキモーアザラシの皮製など多様な素材から作られたものがあり、これらは乳児期に音が大切な発達要素であったことを各民族が認識していた傍証になる[40]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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