玩具を用いて行う遊びのうち、目標を上手く達成することに楽しさを感じ、その技能を上達させる目的で遊ぶものを練習玩具、スキルトイという。これを複数の人間で比較競争すればゲームとなるが、ヨーヨーやけん玉または独楽、縄跳びや紙風船などを一人単位で遊ぶことが該当する。紐を玩具に使う様々な遊びも多くこれに当たり、リリアンのようなものから複数で遊ぶあやとり、縄飛び、ゴムとびなどが例示される[51]。
木の実に軸を挿した原始的な独楽は世界中で見られ、それぞれの文化圏の様式に沿って自然発生した。独楽は子供に限らない玩具の典型であり、古代エジプトの頃から美しい装飾が施されたり、回し方にも様々な工夫が発展した。『和名類聚抄』では、日本の独楽は宮廷の儀式道具として独楽廻しの専門職がいたことが記されている。江戸時代には賭場の道具になり、また曲芸としても大成した[52]。ヨーロッパでは16世紀イギリスで多様な種類と形状が発達し、18-19世紀には特に鉄製の独楽が流行した。この中には、氷上でも遊べる工夫が施されたものもあった[52]。
パズルメカニカルパズル。1890年W. アルテクルーズ作。詳細は「パズル」を参照
考える玩具の代表がパズルであり、智慧と工夫をこらして目的を達する。到達点はさまざまであり、単純な知恵の輪からジグソーパズル・メカニカルパズルなど、また何かしら目的のものを作り上げるという意味でブロックもまた立体的なパズルの範疇に入る[53]。 競争・勝負がつけられる玩具もある。これには運動を伴うものもあれば、基本的に知的作業のみで行われるものもある。貝殻や土器に発し紙が使われるようになっためんこ、独楽を戦わせるベーゴマ、他にもビー玉やおはじきなどもルールに即したゲームとして使われる[54]。 ゲームには、より高度かつ複雑なものも無数に存在する。知的作業のみで行われるものとしては、囲碁、リバーシ、チェッカー、チェス、将棋、シャンチー、マンカラ、バックギャモンなどのボードゲーム類、トランプ、ドミノ、麻雀などのカードゲーム・タイルゲーム類がある。運動を伴うものとしてはかるた、野球盤、ビリヤードなどから、これらが拡張されたスポーツ全般で使われる用具類も、広義の玩具に入れることができる[54]。 最古のボードゲームは紀元前3000年以前の古代エジプト墳墓から発見されているセネトである[55][56]。これは暦や占いまたは死霊信仰の道具であった。紀元前1400年頃には初期のマンカラが登場してアフリカに伝播した。これは奴隷貿易とともにアメリカ大陸にも伝わり、ハイチではブードゥー教とも関連づいた。一方インドにはギャンブルのひとつとして流行した[57]。 ボールや鞠の発祥は非常に古く定かでないが、多くの地域や文化圏および各歴史の段階を通じた普遍的な玩具である[58]。その発生は、木の実や石などを本能的に投げる人間の行動にあると思われる[59]。 ボールの発展段階を追うことで、それぞれの地域で調達できた材料や加工などの技術史を追うことができる。さらに、手に入れたボールの硬さや重さ、または弾力性などが遊び方を決定づけ、様々なスポーツを生み出す母体ともなった[58]。ボール遊びはゴムの利用によって大きく広がり、運動や競技において征服欲の充足を目的にした様々なゲームやスポーツの発案を助長した[59]。 子供が乗る、または乗る模倣をする玩具は、ソクラテスの家に棒馬があった事や古代中国にも存在した事、さらに中世ヨーロッパの版画や彫刻に頻繁に現れる点からも広く普及したと考えられる。人が乗って遊ぶ木馬も、中世ロシアには満1歳の男児に贈る習慣があり、17世紀中ごろにイギリスでロッキングホースが発明されたように、広い歴史を持つ[60]。
競争するゲーム
ボールボールを持つジャカルタの少年。ボール遊びは好ましい運動や身体活動であり、世界中で楽しまれている。
乗り物