玩具
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さらにメディアミックスを用いて漫画アニメーションインターネットなどと関連させ市場への訴求力を高めた玩具が販売されている[22][23][24]。伝統的な玩具を製造販売する企業には、ハイテクおもちゃに長年の市場を奪われていることに対抗し、昔からの玩具をテレビゲーム化してインターネットで対戦できるような分野に進出してその販売力を高めている企業もある[25]

偶然の発明が新しいタイプの玩具を生むことがある。例えば、第二次世界大戦時にアール・ウィリックが合成ゴム代替に発明した「nutty putty(愚かなパテ)」が、後にピーター・ホジソンによって幼児用の玩具として見出され「Silly Putty(おかしなパテ)」として商品化された。プレイ・ドー(英語版)は壁紙掃除用の素材を使用している。

また、小麦粉を主な材料にした粘土であるプレイ・ドー(英語版)は、元々壁紙の清掃用に開発されたものである[26]

2007年のニュルンベルク国際玩具見本市にて、ジェーン・ツイミーは世界の玩具市場は年間670億ドルと推計した。これは前年比5.2%の伸びであり、日本を除くアジアやアフリカ、ラテンアメリカそしてロシアでは今後も伸びが期待されると解説を加えた[27]。この市場を前に玩具を大量生産で提供する多くの企業が、コスト削減のために低賃金の地区に工場を構えた。例えばアメリカで流通する玩具の75%が中国製である[28]
子供の発育用玩具
理論と普及の経緯

遊びは子供の成長に大きな影響を与える。数々の玩具は、発育や様々な機能の発達に刺激を与える重要な道具である[29]。ドイツのフリードリヒ・フレーベル(1782年-1852年)は人間形成において玩具の重要性を初めて主張し、1831年に世界初の幼稚園を創設した。彼は「恩物の理論」の中で、玩具とは自然の法則を理解するために神が与えた道具と定義づけ、幼児の成長段階において必要な種類の玩具を分類した。これによると、最初には毛糸を巻きつけた小さめのボールを与えるべきであり、次は木製の球と立方体、続けて(3)分割された立方体、(4)八面体、(5)立方体の面を二回ずつ切断した27片、(6)棒や水晶型など複雑な27個の積み木という段階を設定した。この積み木は「恩物」という名がつけられた。フレーベルは1837年にブランケンブルクで「子供の労働意欲を育てる会」を作り、ボールやさいころなど様々な玩具を製作した[12]

イタリアマリア・モンテッソーリ(1870年-1952年)は、独自の教育法(モンテッソーリ教育)を実践するために200種類もの教育玩具(教具)を開発した。これらは、感覚教育、言語教育、算数教育などそれぞれに目的を持つが、子供が自ら遊ぶ中でこれらの主題を発見し、身につけることで社会への適応性を育て、人格を形成するための補助となるように考えられていた[12]

日本では、1871年(明治4年)に慶應義塾遊具を設置し、1873年(明治6年)には内務省が教育玩具の普及を目的に製造業界に製品の販売を促した。文部省も乗り出し、『小学読本』でボール遊びのひとつとして野球の記事を載せたり、『童女筌』でけん玉遊びを奨励するなどの活動を行った。1879年(明治12年)にはフレーベルの理論を紹介した『幼稚園法二〇遊嬉』を発行した。1914年(大正7年)には幼稚園・小学校の教材に折り紙が加えられた。第二次世界大戦中には模型飛行機などの軍事色が強い玩具が学校教育に導入されたが、戦後にはこのような戦争玩具は教室から排除された[12]二児がパドルボール(英語版)で遊ぶ光景を描いた絵画。中国代の画家・??臣(1130-1160年頃に活躍)が描いた。
現状

最も単純な玩具のひとつである木製の積み木は、心の育成において最良の玩具とも言われる。メガ・ブランズ(英語版)社マーケッティング担当役員のアンドリュー・ウィットキンは、情報誌『Investor's Business Daily』で「それ(積み木)は、眼と手指の共同作業を発達させ、数学や科学の技能、そして想像力を子供に芽生えさせる」と話した。おはじきお手玉ボール遊びなども同様に、心身を駆使して空間認識や原因と結果の繋がりなど様々な能力を育てる有効な教材になるとウィットキンは述べている[28]

児童の成長に影響を与えるめざましい玩具のひとつに、プレイ・ドーやシリーパティーおよび家庭で作れる同じような成形用粘土類がある。ウェルズリー大学幼児学習センターの教育担当メアリー・アッチーは、このような種類の玩具がなぜ子供の身体的発達、認知力向上、情緒教育の有効性および社会性の発達に影響を与えるのかを説明した[30]
知育玩具詳細は「知育玩具」を参照

特に幼児や児童向けに思考や創造性を重視して開発された玩具の一種知育玩具では、認知心理学感性工学および人間工学などの考え方を組み入れ、またこれを用いて一緒に遊ぶ親子の行動分析を通じて、知能や情緒の形成、認知的発達の仕組みを知り、玩具の設計にフィードバックされている[31]。これらには、ブロックや積み木からプレスクール用玩具、幼児用玩具類、楽器や絵本から幼児用キャラクター製品などが含まれる[32]

子供の玩具に対する好みは、視覚的には暖色を発するものを、聴覚は特に幼少時に反応する律音から成長に応じて調音が、触覚では先ずで掴めるものから徐々に身体全体で感じられるものへと変化する[33]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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