地理学のより体系的な研究の登場により、1933年に王立地理学会所属のアカデミックなメンバーによって王立地理学会の姉妹学会として、英国地理学会(イギリス地理学会、英語: Institute of British Geographers, IBG)が設立された。当時の王立地理学会が貴族や軍人で占められ、The Geographical Journalも学術的な論究の場ではなかったからである[8]。英国地理学会は学術大会、巡検、セミナー、専門の研究グループの運営を行い、学会誌Transactions of the Institute of British Geographers(Transactions)は現在では主要な国際誌として扱われ、地理学分野の「ランドマーク」的な研究を掲載している。当初、Transactionsは学会記事が中心で、発行は年1巻のみ、掲載される学術論文は通常1本であった[8]。
1988年1月、王立地理学会は他のイギリスの地理学系学会との協議会(Council of British Geography, COBRIG)を発足させ、イギリス国内の地理学の発展と地理教育の向上を目指した[9]。王立地理学会と英国地理学会は60年に渡って併存してきたが、1992年に合併が議論された。1994年に会員の投票が行われて合併が承認され、翌1995年1月に新しい王立地理学会(正式名称:Royal Geographical Society (with the Institute of British Geographers)、略称:RGS-IBG)が発足した。今日、王立地理学会はイギリス国内においても世界においても地理学分野の主要な学会である。ヨーロッパでは最大の地理学系学会で、世界でも最も大きな地理学系学会の1つである。イギリス国内に8つ、香港に1つの支部があり、地域での学会運営を行う。
地理学的な研究と教育、フィールドワーク、小巡検、地理学への一般の理解・人気の向上、地理情報の収集に関して多くの側面で支援と促進を行っている。ジオグラフィカル・アソシエーション(Geographical Association)や王立スコットランド地理学会(Royal Scottish Geographical Society)などの地理学系学会と協同することもある。
2004年に王立地理学会の学術的な探検や研究によって得られたイギリス国内外で重要な歴史的コレクションが初めて一般に公開された。また同年、新しい会員制度が導入され、広く一般の地理学に関心を有する人が学会に加入できるようにした。さらに同年には新しいフォイル閲覧室(Foyle Reading Room)とガラス・パビリオン(glass Pavilion)が一般公開となり、21世紀の学会の保有するものを知的・視覚的・物理的に解除した。例えば2012年にガラス・パビリオンにて1912年のロバート・スコット探検隊のヘルベルト・ポインティング(Herbert Ponting)が撮影した写真の展示を行った[10]。
組織と役員
協議会学会本部の壁面にあるチャールズ・サージェント・ジャガー(Charles Sargeant Jagger)によるアーネスト・シャクルトン像
学会は協議会(Council)と呼ばれる役員組織が運営しており、代表者は会長(President)である。協議会の役員及び会長は選挙により選出される。協議会は36名からなり、うち22人の任期は3年である。協議会の役員は名誉会員(名誉会長のケント公を含む)からも選出される。 王立地理学会は5つの専門委員会を持ち、助言を行っている。 4種類の会員制度がある。 地理学に興味のあるものは誰でも通常会員(ordinary membership)になる資格がある。 14歳から24歳で、地理学の研究中または最近地理学および関連分野から離れた者は、若年会員(Young Geographer)になることができる。 特別会員(Fellowship)は21歳以上で地理学に深く関与している者(調査、出版、教授ほか) または5年以上普通会員であった者ならば誰でも得る権利を有する称号である。申請者は協議会に申し出て、既に特別会員である者から賛同を得て、協議会によって選出される。特別会員は名前の後ろに"F.R.G.S."を付与する権利を得る。 探検家の橋大輔は特別会員である[12]。 学生会員(大学院生フェロー、Postgraduate Fellow of the Society)は地理学分野または関連する分野のイギリス国内の大学に通う大学院生の会員制度である。
委員会
教育委員会(Education Committee)
研究委員会(Research Committee)
研究旅行・フィールドワーク委員会(Expedition and Fieldwork Committee)
情報資源委員会(Information Resources Committee)
財務委員会(Finance Committee)
会長経験者詳細は「en:Template:Presidents of the Royal Geographical Society」を参照
ゴドリッチ子爵フレデリック・ジョン・ロビンソン(1830年 ? 1833年)
サー・ジョージ・マレー
ロデリック・マーチソン(1843年 - 1845年、1851年 ? 1853年、1856年 - 1859年、1862年 - 1871年)
サー・ヘンリー・クレスウィック・ローリンソン(1871年 ? 1873年、1874年 ? 1876年)
リチャード・ストレイチー(1887年 - 1889年)
サー・マウントステュアート・グラント・ダフ(英語版)(1889年 - 1893年)
サー・クレメンツ・ロバート・マーカム(1893年 ? 1905年)
ジョージ・トーブマン・ゴールディ(1905年 ? 1908年)
レオナルド・ダーウィン(Leonard Darwin、1905年 ? 1911年)
サー・トーマス・ハンガーフォード・ホールディッチ(Sir Thomas Hungerford Holdich、1919年 ? 1922年)
レイモンド・プリーストリー(Raymond Priestley、1961年 ? 1963年)
サー・ローレンス・ダドリー・スタンプ(Sir Laurence Dudley Stamp、1963年 ? 1966年)
エドワード・シャクルトン(1971年 ? 1974年)
サー・クリスピン・ティッケル(Sir Crispin Tickell、1989年 ? 1993年)
ジョージ・ジェリコー(George Jellicoe, 2nd Earl Jellicoe、1993年 ? 1997年)
ジョン・パーマー(John Palmer, 4th Earl of Selborne、1997年 ? 2000年)
マイケル・ペイリン(2009年 - 2012年)[11]
ジュディス・リース(Judith Rees、2012年 ? 2015年)
ニコラス・クレイン(Nicholas Crane、2015年 ? 2018年)
リンダ・チョーカー(Lynda Chalker、2018年 - )
会員
通常会員
若年会員
特別会員
学生会員
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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