獣医
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「食肉衛生検査所」からと畜場へ出向き、食肉の検査を通じて食用の家畜の病態調査や病原性大腸菌(O157)・BSEなどの人獣共通感染症対策及び残留抗生物質対策に従事する者(と畜検査員)。

保健所」において、食品衛生監視業務、環境衛生監視業務、薬事監視業務に従事する者(食品衛生監視員,環境衛生監視員および薬事監視員)。動物愛護施設が別にない場合は動物保護管理業務を含む。また、人獣共通感染症の専門家として感染症予防法に基づく業務にも従事する。

「動物愛護施設(自治体により名称は異なる)」において、狂犬病予防法動物愛護法にもとづき保護された犬猫ほかの動物の管理・殺処分・譲渡、動物愛護普及啓発業務、及び動物取扱業特定動物飼育施設の監視業務に従事する者(狂犬病予防員及び動物監視員)。なお化製場等に関する法律にもとづく届出は、通常保健所の所管であるが、動物愛護施設で取り扱う場合もある。

「衛生研究所(自治体により名称は異なる)」等の試験研究機関において、研究員として主に人の感染症や食品衛生に関する研究・検査業務に従事する者。

家畜保健衛生所」において、BSEや口蹄疫ならびに高病原性鳥インフルエンザをはじめとする家畜の感染症など、生産性に悪影響を及ぼす各種疾病の検査・診断業務及び予防対策に従事する者(家畜防疫員)。

「動物園や水族館」にて展示動物の診療を行なう獣医師であっても、その経営母体が都道府県市町村などの地方公共団体であれば、同様に地方公務員となる。

畜産試験場」において、家畜の改良増殖に従事する者。

林業試験場」において、狩猟監視許可野生動物保護に従事する者(特に、関東地方の林業試験場に多く配属されている)。

水産試験場」において、魚類をはじめとする水産動物・植物の改良増殖に従事する者(2010年8月現在、水産試験場における獣医師は三重県水産研究所以外には配属されていない)。

公務員獣医師の不足問題

食の安心・安全や、BSE・鳥インフルエンザなどの動物由来感染症に世間の注目が集まるとともに公務員獣医師、特に地方公務員獣医師の仕事量は年々増加している。しかし前述のとおり昇進の遅さに加えて肉体・精神ともに過酷な業務が多く、大半の都道府県における給与体系が事務職と同一であるなど待遇面の改善が遅れているため、新卒の獣医学生の多くが小動物臨床を志望する傾向が年々強まっている。そのため東京都・神奈川県・大阪府など大都市圏を除いた多くの県が定員割れであり、さらには団塊世代の大量退職による深刻な公務員獣医師の不足が生じている。ただし、近年では改善案として給付型奨学金や初任給調整手当を支給する都道府県が増加している。(初任給調整手当は平成24年度で25都道府県で支給)[4] また、福岡県における「特定獣医師職給料表」の新設のように、同じく6年制である学部を卒業した医師と同様の待遇が必要とされている。

私立獣医科大学協会会長政岡俊夫による「我が国における獣医師の需給見通し等について(意見)」(2013年2月)によれば、日本の獣医師数全体に不足はなく「むしろ供給過剰になる可能性(p.1)」があるとしながらも、公務員獣医師就職者については地域偏在が課題となっていることを認めており、「獣医師が担当していて他の職種と入れ替えることが可能な公的業務は相当にあります。(中略)欧米のような食肉検査補助員制度が我が国にも導入されれば、地方における公衆衛生獣医師の需要は激減します。(p.2)」「公衆衛生分野において欧米並みのスーパーバイザー的な制度の確立が出来上がれば、公務員獣医師の需要の激減も予測されます。(p.2)」などと提言している[5]
関連法規

獣医師法

獣医療法

医薬品医療機器等法

毒物及び劇物取締法

覚醒剤取締法

麻薬及び向精神薬取締法

動物の愛護及び管理に関する法律

鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

家畜伝染病予防法

牛海綿状脳症対策特別措置法

牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法

飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律

家畜保健衛生所法

家畜改良増殖法

家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

狂犬病予防法

と畜場法

食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律

化製場等に関する法律

食品安全基本法

食品衛生法

家畜商法

獣医師育成機関

現在、獣医学を学べる大学は全国で17校ある。これらの学校教育法に基づく大学短期大学を除く)において、獣医学の正規の課程(獣医学科・6年制)を修めて卒業した者のみに獣医師国家試験を受験する資格が得られる。国公立大学の総定員370名と私立大学の総定員700名を足しても約1070人しか募集がないため、入学試験の単純倍率は約20倍前後といわれ農学系の中では最難関の学科である。なお、農林水産省の管轄で農学部に含まれることが多いが基礎医学などは医学科とほぼ同じことを学んでいる。
国立大学

北海道大学 獣医学部 共同獣医学科

帯広畜産大学 畜産学部 共同獣医学課程

岩手大学 農学部 共同獣医学科

東京大学 農学部 獣医学課程

東京農工大学 農学部 共同獣医学科

岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科

鳥取大学 農学部 共同獣医学科

山口大学 共同獣医学部 獣医学科

宮崎大学 農学部 獣医学科

鹿児島大学 共同獣医学部 獣医学科

公立大学

大阪公立大学 獣医学部 獣医学科

私立大学

酪農学園大学 獣医学群 獣医学類

日本大学 生物資源科学部 獣医学科

北里大学 獣医学部 獣医学科

麻布大学 獣医学部 獣医学科

日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科

岡山理科大学 獣医学部 獣医学科

北米の獣医師

米国の全州およびカナダにおける獣医師資格試験(North America Veterinary Licensing Examination)は1950年から統一基準をもとに行われている[6]
アメリカ合衆国の獣医師

米国では1892年に全州をまたがる獣医師会組織が求められ、米国獣医師会(American Veterinary Medical Association: AVMA)が組織された[6]


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