猫をからかう2人の子供
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1994年以来、ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されている[1][2]
作品ソフォニスバ・アングイッソラ 『ザリガニに噛まれた少年』1554年頃、カポディモンテ美術館 (ナポリ)

本作の委嘱に関する資料は残っておらず、制作年は純粋に様式的特徴を拠り所にして、風俗画を数点描いていた画家の比較的若い時期の作品と位置付けられる。 ティントレットやほかのヴェネツィア派の画家の影響は明らかで、アンニーバレがヴェネツィアに滞在していたことが知られている1580年代末に制作されたと思われる[3]

この絵画は、ソフォニスバ・アングイッソラによる素描『ザリガニに噛まれた少年』とともにイタリアの風俗画の初期の例であり[1]、19世紀の絵画を予見する即興性と自然さで描かれている[2]。すなわち、日常生活で目にする情景を描写しているか、再構成した作品なのである。ソフォニスバとアンニーバレのどちらの画家の作品にも別ヴァージョンが存在することから、その目新しさが好意的に評価されていたことがわかる。2点の間に類似が見られるのも偶然ではない。アンニーバレの絵画は物語の展開の過程を捉えているが、アングイッソラの素描は結果を描いている。アンニーバレの描いた子供たちの様子は、悪意に満ち、残酷である。ここに生き生きと描かれているのは、ずる賢そうな少女に顕著なように、ごく普通の平凡な人物である。彼女の脇に立った少年は、猫をいたぶろうとしている。ザリガニが猫を挟めば、猫は少女をひっかき、すべてが悲惨な結果になるであろう[1]。かくして、絵画は時間的な要素を組み入れており、また、「触らぬ神に祟りなし」という教訓を示しているのである[2]。当時としては、大胆な主題であった。また、力強い色使いによりコントラストをなす光の表現と、伸びやかで自由な筆致も異例なものとされてきた[1]
脚注^ a b c d e メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年、2021年、100頁。
^ a b c “Two Children Teasing a Cat”. メトロポリタン美術館公式サイト (英語). 2023年1月31日閲覧。
^ Benati, Daniele; Riccomini, Eugenio (2006) (イタリア語). Annibale Carracci, Catalogo della mostra Bologna e Roma 2006-2007. Milano: Mondadori Electa. pp. 120-121. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9788837043490 

参考文献

『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』、
国立新美術館メトロポリタン美術館日本経済新聞社テレビ東京BSテレビ東京、2021年刊行、ISBN 978-4-907243-20-3

外部リンク

メトロポリタン美術館公式サイト、アンニーバレ・カラッチ『猫をからかう二人の子供』 (英語)










アンニーバレ・カラッチ
風俗画

肉屋の店』(1583年頃)

豆を食べる男』(1583-1584年頃)

『猫をからかう二人の子供』(1587-1588年頃)

宗教画

キリストの洗礼』(1585年)

聖クララ、聖フランチェスコ、マグダラのマリアのいるピエタ』(1585年)

聖エウスタキウスの幻視』(1585-1586年)

聖母子と聖人たち (ドレスデン)』(1588年)

聖母被昇天 (プラド美術館)』(1588-1590年)

聖ルカと聖カタリナの前に現れる聖母』(1592年)

聖母子と聖人たち (ボローニャ)』(1593年)

聖ロクスの施し』(1587-1595年)

キリストの埋葬』(1595年頃)

キリストとサマリアの女』(1594-1595年)

修道院長聖アントニウスに現れるキリスト』(1598-1600年)

栄光のキリストと聖人たち、およびオドアルド・ファルネーゼ』(1598-1600年)

アンティオキアの聖マルガリタ』(1599年)

ピエタ』(1600年頃)

キリストの墓を訪れた三人のマリア』(1600年頃)

主よ、何処へ行かれるのですか』(1601-1602年)

聖母被昇天 (ローマ)』(1600-1601年)

二人の天使のいるピエタ』(1603年頃)

聖ステファノの殉教』(1603-1604年頃)

エジプト逃避途上の休息』(1604年頃)

死せるキリストの哀悼』(1604年頃)

聖フランチェスコとマグダラのマリアのいるピエタ』(1602-1607年)


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