猪熊 葉子(いのくま ようこ、1928年8月16日 - )は、日本の近代文学研究者・イギリス近代文学研究者、児童文学者、翻訳家。聖心女子大学名誉教授。 千葉県生まれ。旧姓・葛原。父は外科医の葛原輝、母は歌人の葛原妙子。聖心専門学校をへて、1952年聖心女子大学国文科卒業、須賀敦子とは大学時代からの友人。54年同大学院修士課程修了。同大学助手、56年専任講師、57年から一年間オックスフォード大学留学、J・R・R・トールキンに師事した。72年助教授、78年教授、90年白百合女子大学教授、1999年定年退職。 ローズマリー・サトクリフ、メアリー・ノートン、フィリッパ・ピアス、イディス・ネスビットなど英国の女性児童文学者を中心に多数の翻訳がある。1970年サトクリフ『ともしびをかかげて』(で児童福祉文化賞出版部門奨励賞、86年「かさどろぼう」の訳で日本の絵本賞絵本にっぽん賞特別賞、また『まよなかのパーティ』(の訳でサンケイ児童出版文化賞を受賞。 「子どもの本・九条の会」代表団員を務めている[1]。宗教はカトリック。聖心女子大学に入学した1949年に受洗したが、そのとき受洗に反対した母妙子に対して、最晩年に洗礼を授けた。
来歴
著書
『ものいうウサギとヒキガエル 評伝ビアトリクス・ポターとケニス・グレアム』(偕成社) 1992
『児童文学最終講義 しあわせな大詰めを求めて』(すえもりブックス) 2001
『大人に贈る子どもの文学』(岩波書店)2016
共編著
『児童文学とは何か』(安藤美紀夫共著、明治書院) 1974
『英米児童文学史』(瀬田貞二,神宮輝夫共著、研究社出版) 1971
『イギリス児童文学の作家たち ファンタジーとリアリズム』(神宮輝夫共著、研究社出版) 1975
『ファンタジーの諸相』(白百合女子大学大学院猪熊葉子ゼミ編集委員会、白百合女子大学児童文化研究センター) 2001
翻訳
『ちびくろサンボ』(バンナーマン、講談社) 1966
『マツの木の王子』(キャロル・ジェイムズ、学習研究社) 1967
『海のたまご』(ルーシー・M・ボストン、大日本図書) 1969、のち岩波少年文庫
『トムの塔』(ジャネット・マクネイル、学習研究社) 1970
『村は大きなパイつくり』(ヘレン・クレスウェル、岩波書店) 1970
『どれいになったエリア』(アイザック・バシェヴィス・シンガー、福音館書店) 1971
『夜明けの人びと』(ヘンリー・トリース、大日本図書) 1971、のち岩波少年文庫
『ジョゼフのにわ』(チャールズ・キーピング、らくだ出版デザイン) 1971
『まどのむこう』(チャールズ・キーピング、らくだ出版デザイン) 1971
『砂に消えた文字』(アン・スウェイト、大日本図書) 1972
『ぼくはレース場の持主だ!』(パトリシア・ライトソン、評論社) 1972
『少女シルビーの旅だち』(メイビス・クラーク、講談社) 1972