日本では近年、少子化が大きな社会問題となっているが、理由のひとつに独身の増加が挙げられる。日本では婚外子を避ける傾向が強いため、生涯を通じて独身でいれば子供を成すことは難しい。そのことが少子化の一因となっている。
また日本では、少子化と同時に高齢化も進み少子高齢化社会となっているが、女性は一般に男性より平均寿命が長いため、夫の死後長く一人で暮らす女性も増えている。熟年離婚により独身になった高齢者も少なくない。独居老人も参照のこと。
独身者とその家族(主に親)との関係も社会現象として注目されている。1999年に山田昌弘が著した『パラサイト・シングルの時代』は、独身者が親の経済力を当てにしていつまでも独立せず、同居を続ける現象を逸脱として問題提起しベストセラーとなった[5]。また近年は、独身者が自分の親を介護をするシングル介護も顕在化し介護離職の原因ともなっている。
企業によっては、手当や昇進などの待遇面で独身社員よりも既婚・子持ち社員を優遇する方針が取られる例が見られる[6]。 中国では、2010年代に単身者の生活に合わせ、日用消費財、家電、家具、化粧品などで商品の縮小化と機能の細分化が進んだが、このような傾向は「単身経済」と呼ばれている[7]。 また中国では、11月11日が独身者の日「光棍節」として祝われている。 歴史的には僧侶の妻帯は忌避されたり、公認されないことが多かったが(五戒の1つ「不邪淫戒」による)、現代では日本、韓国(太古宗)、ネパール(ネワール仏教徒)などで僧侶の妻帯が認められる[8]。 実態としては、11世紀以前ではローマの僧侶は結婚することができ、僧侶階級は民衆の一部でもあったが、グレゴリウス7世の在位期間中、独身生活をさせ、俗人と切り離した[9]。
中国
独身と宗教
仏教
キリスト教詳細は「キリスト教における独身制」を参照
備考
旧石器時代において子供を持てる男性は半分にも満たず、80 - 90%の男性が子供を有するようになったのは人類史・社会史では新しい[10]。また一夫多妻制の社会で多妻を有する男性は10%であり、その他は独身男性が占めている[11]。
日本社会において皆婚社会となったのは1650年頃からであり、95%以上の男女が結婚している[12]。江戸において火事が多かった原因は、独身男性が多く長屋暮らしによる飲酒後の寝タバコが原因とされる[13]。
脚注^ “令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要
^ “おひとりさまの「もしも」に備える 孤立を回避するには?”. AERA dot.. (2020年10月25日). https://dot.asahi.com/articles/-/82660?page=1 2020年10月28日閲覧。
^ ⇒平成21年版 厚生労働白書 厚生労働省
^ ⇒[1]
^ キャサリン・S.ニューマン『親元暮らしという戦略:アコーディオン・ファミリーの時代』荻原久美子、桑島薫訳 岩波書店 2013 ISBN 9784000259262 pp.145-146.
^ “「いつまでも独身の人は信用しない」企業が子どものいる既婚社員を“優遇”するのは違法か? 弁護士に聞いた”. FNNプライムオンライン (フジニュースネットワーク). (2019年7月15日). https://www.fnn.jp/articles/-/9739
^ “「お一人様」商品が人気 中国の単身経済”. AFPBB. (2018年11月16日). https://www.afpbb.com/articles/-/3197574 2019年3月2日閲覧。
^ 箕輪顕量. “ ⇒現代日本仏教の特徴”. 愛知学院大学学術紀要データベース. 2019年3月2日閲覧。
^ H.Gウェルズ著、長谷部文雄・阿部知二訳『世界史概観 上』岩波新書、1975年第14刷、p.222
^ マーリン・ズック著、渡会圭子訳『私たちは今でも進化しているのか』文藝春秋、2015年、p.180
^ 中野信子『不倫』文春新書、文藝春秋、2018年、p.48
^ 磯田道史『素顔の西郷隆盛』新潮新書、新潮社、2018年、p.94
^ 磯田道史『素顔の西郷隆盛』新潮新書、新潮社、2018年、p.221
関連項目
晩婚化 / 生涯未婚率 / 非婚社会
結婚 / 離婚 / 事実婚
少子化
典拠管理データベース: 国立図書館