20世紀初頭、ファシズムを提唱したベニート・ムッソリーニは、ローマ進軍後にヴィットーリオ・エマヌエーレ3世からの勅令で組閣して連立政権の首相となり、選挙法改正(選挙で25%以上の得票率を得た第一党が議会の議席の3分の2を獲得する)と総選挙により独裁体制を確立し、更に労働組合の解散、言論出版取締令、首相に代わる新しい役職である頭領(ドゥーチェ)への就任、国家ファシスト党以外の政党の総選挙参加禁止などを実施した。ただし形式上は国王、憲法、議会、野党は存続しており、政体は立憲君主制のまま、国名はイタリア王国のままである。
国家社会主義(ナチズム)を提唱したアドルフ・ヒトラーは、著作『我が闘争』で民主主義は衆愚政治であり、ドイツ民族には強い指導者が必要と主張した。首相就任後、ドイツ国会議事堂放火事件を理由に共産党員らを予防拘禁し、全権委任法の可決により政府が立法権を握り、政党禁止法により国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)以外の政党を禁止し、独裁体制を確立した。その後、国民投票により大統領職を兼ねた新しい役職である総統に就任した。ただし形式的にはヴァイマル憲法は存続しており、政体は共和制、国名はドイツ国のままである。
第二次世界大戦終結後の国際連合による世界人権宣言は、全ての人の自由権、公正な裁判を受ける権利、表現の自由、平等な普通選挙による参政権などを明記した[8]。ただし、国際人権規約の自由権規約では、同様の自由権と同時に、制限的な「非常事態における例外条項」も併記された。 古代ギリシアの哲学者プラトンは、「民主政は衆愚政治に陥る可能性がある」と批判し、著書『国家』では「哲人王による独裁政治が理想」と主張したが、後年の『法律』では意見を修正して寡頭制的な要素による政治が理想とした。 フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソー(1712 - 1778)は著作『社会契約論』で、「人民の一般意志には、統治者も人民も服従すべき」と記した。 イギリスの哲学者ジョン・スチュワート・ミル(1806 - 1873)は著作『自由論』で、「多数が一人を黙らせることは、一人が多数を黙らせることに等しい」と記し、個人主義的自由主義の立場から多数派による専制を批判した。 ドイツの政治学者カール・シュミットは、著作『政治的なものの概念』で、「議会制民主主義は利権集団」と批判し、「例外状態で決断を下すものが主権者」と記した。また独裁制と専制政治の違いは『具体的例外性』の有無とし、「独裁制は例外的事態だが、その具体的例外性を失えば専制政治に転化する」と記して、「具体的例外性が存在する限りは独裁は正当化されるが、具体的例外性の消失後は正当化されない」と主張した。
ギャラリー
ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン、毛沢東、ヴァルター・ウルブリヒト、ユムジャーギィン・ツェデンバル(1949年、モスクワにて)
議論
独裁者の風刺が望まれています。 (2022年3月)
『独裁者』。独裁者を風刺する映画を制作し主演したチャールズ・チャップリン。
他国まで侵略し我がものにしようとする独裁者の風刺。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}近代までは、「独裁」は否定的な意味を持たず、この用語が使用される事も稀であった。[要出典]
出典^ 『大辞泉』
^ Merriam Webster
^ Lexico, definition of autocracy
^ Papaioannou, Kostadis; vanZanden, Jan Luiten (2015). ⇒“The Dictator Effect: How long years in office affect economic development”. Journal of Institutional Economics 11 (1). doi:10.1017/S1744137414000356. ⇒http://journals.cambridge.org/abstract_S1744137414000356.
^ Olson, Mancur (1993). “Dictatorship, Democracy, and Development”. American Political Science Review 87 (3).
^ GIGAZINE「ロシア語版ウィキペディアのトップ編集者が逮捕される」
^ ⇒dictator ? Definition from the Merriam-Webster Online Dictionary
^ ⇒世界人権宣言
関連項目
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独裁政治
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