狙撃で最も基本的な技術は姿勢制御である。安定性や目標から発見されにくい点を考慮して、主に地面に伏せた伏射(プローン)と呼ばれる姿勢が用いられる。この場合ライフルの先台(フォアエンド)は二脚(バイポッド)の装着や地面との間に砂袋を挟むなどして安定させ、トリガーを引く手はストックの所定の部分を握り、人差し指をトリガーにかける。トリガーを引かない手はストックに添えて固定する。手を添える位置は銃器の形状や姿勢によって若干異なる。ストックは肩に当てるが、その間にパッドを挟むなど、呼吸や拍動によるぶれが伝わりにくいようにする。頬をストックに当ててその位置で動かさず、その位置から照準器を覗く。
照準スコープのレティクル(照準を定めるための線)。スコープの事前調整(零点規制、ゼロイン)は特定の射距離・気象条件・弾薬で行われるため、実際の射撃では状況に応じて狙点を変える必要がある。
姿勢がとれれば光学照準器のレンズに内蔵されている十字線(レティクル)を目標に重ねる。この際、目標との距離、重力による弾道の下降、気温、気圧、湿度、風向きと風速などから若干の修正を行う。特に風に関するデータは狙撃に重大な影響を与えるため、考慮に入れる必要がある。風向きをまず調べ、その上で風速を計算する。この計算は、競技射撃(ベンチレストライフル競技等)においては、地面に直角に立てた棒に軽い布の切れ端を結びつけ、その布が風に流される際に布と棒の角度を測る。その角度を定数4で割れば、風速がマイル単位で計算できる。さらに、このデータを元にして修正値を求める。軍や警察の実戦部隊においては、この方法での風速計算ができないため、射撃地点での風向風速を基本に、弾道付近の植物の揺らぎ等を利用して推測した風速を加味して計算する。また、能力に長けた狙撃兵の場合、光学照準器を通して見える大気の揺らぎをも修正データとして利用する場合がある。それに加えてクイックアップと呼ばれる計算法式もあり、標的とのずれを瞬時に判断しなくてはならない。
関連項目
射撃
狙撃手 - 選抜射手 - 歩兵
狙撃銃 - 照準器 - 小銃 - 銃弾
人質救出作戦
狙撃探知システム
脚注^ Chris Masters (2012年10月29日). ⇒“Taliban remain in fear of lethal strikes”. The Daily Telegraph. ⇒http://www.dailytelegraph.com.au/news/opinion/taliban-remain-in-fear-of-lethal-strikes-writes-chris-masters/story-e6frezz0-1226504862496 2015年7月20日閲覧。
^ カナダ兵、3.5キロ先のISIS戦闘員狙撃