狂気_(アルバム)
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「タイム」他で女性コーラスを担当したのはドリス・トロイ、レスリー・ダンカン、ライザ・ストライク、バリー・セント・ジョンの4人。

随所で聴かれる声の主は、関係者やメンバーの友人。例えば、ローディーのロジャー・マニフォールドや、ドアマンのゲリー・オドリスコル等。

スタッフ

レコーディング・エンジニアアラン・パーソンズが務めていたが、最終段階に入ってクリス・トーマスも招かれた。半年というあまりに長期にわたったレコーディング作業で、メンバーとパーソンズが正常に音を判断できない状態に陥っており、外部の人間の意見を仰ぎたいと招かれた。トーマスによると「ほんの少し意見を言っただけだよ。『狂気』に僕の名前がクレジットされているのは、僕の勲章のひとつだね」と述べている。

アルバム・ジャケットはお馴染みのヒプノシス。デザイナーのストーム・ソーガソンが幾つかのアイディアをメンバーに提示し、満場一致で光のプリズムを表現したデザインに決定した。このジャケットもまたロック史に残る名作とされている。

アメリカで商業上の大成功に寄与したのはキャピトル・レコードのバスカー・メノン (Bhaskar Menon)。「マネー」のシングル・カットを決断するなど、様々な営業戦略を駆使して『狂気』を売り込んだ[注釈 5]

収録曲

全作詞:ロジャー・ウォーターズ

アナログA面
スピーク・トゥ・ミー - Speak to Me (Mason)ニック・メイスンによるテープ・コラージュの作品。アルバムの導入部分となる。

生命の息吹き - Breathe (Gilmour, Waters, Wright)主人公がこの世に生を受けてから、成長していくまでの過程をかなり悲観的に描いた楽曲。

走り回って - On the Run (Gilmour, Waters)シンセサイザーを全面的に取り入れたインスト・ナンバー。笑い声や飛行機の爆発音などのSEが巧みに使われている。

タイム?ブリーズ(リプライズ) - Time?Breathe (Reprise) (Gilmour, Waters, Wright, Mason)「時間」をテーマにしたメッセージ性の強い楽曲。そのまま続けて「ブリーズ(リプライズ)」へと流れていく。

虚空のスキャット - The Great Gig in the Sky (Wright)リチャード・ライト作のインスト・ナンバー。ジャズ・テイストに仕上がっている。

アナログB面
マネー - Money (Waters)シングル・ヒットを記録したキャッチーなナンバー。タイトル通り「金」をテーマにしており、ライブでの人気も高かった。

アス・アンド・ゼム - Us and Them (Wright, Waters)言葉の対比を用いた浮遊感のある楽曲で、人生に対するメッセージが込められている。

望みの色を - Any Colour You Like (Gilmour, Wright, Mason)再びインスト・ナンバー。曲名のフレーズはヘンリー・フォードの自伝から引用したものである。

狂人は心に - Brain Damage (Waters)主人公の心の内面に潜む狂気を取り上げた楽曲。

狂気日食 - Eclipse (Waters)後のウォーターズの作詞スタイルに見られるような、言葉の羅列を繰り返す手法がすでに確立されている。

ライブでの演奏

バンドは1971年11月20日にアメリカ・ツアーを終了後、早くも翌1972年1月20日にイギリス・ツアーを開始している。この1月20日のコンサートでは早速『狂気』が組曲として披露されており、約2ヶ月の間に『狂気』を纏め上げたことになる。これ以後のコンサートでも引き続き演奏し続けた。2度目の来日となる、1972年3月の8公演の全てでも『狂気』が披露された。この来日公演では『月の裏側?もろもろの狂人達の為への作品?』と題された歌詞カードが観客に配布された。

この発売前のライブ演奏とスタジオテイクでは、一部の曲で大幅にアレンジが異なる。まず「走り回って」は「インストゥルメンタル・ジャム」という即興演奏が披露されている。「虚空のスキャット」では聖書の一節を朗読したSEを流し、スタジオ盤と異なるライトのキーボード・メロディを奏でていた。また、当初のライブ演奏では「狂気日食」が無く、「狂人は心に」で終わっていたが、ウォーターズがアルバムのクライマックスを再考し「狂気日食」を新たに書き下ろした。

「タイム」、「マネー」、「アス・アンド・ゼム」の3曲はフロイドだけでなく、ギルモアとウォーターズのソロ・ライブでも演奏されることが多い。また、ウォーターズのライブでは終盤に「狂人は心に」と「狂気日食」が続けて演奏される。

1994年のギルモア率いる新生フロイドのツアーでは、7月15日に19年ぶりに『狂気』が完全演奏され、その後も同ツアーの数公演で披露された。10月のロンドン公演での模様は、映像ではDVD『驚異』、音源ではライブ・アルバムP.U.L.S.E』としてリリースされている。

2006年から2008年にかけて行われたウォーターズのソロ・ツアーの第2部にて『狂気』が完全演奏された。
再発盤
4ch版

1974年には4chミックスのLPが発売された。英・米版LPはSQ方式、日本版LPはCD-4方式での発売。後に米キャピトル主導で発売された編集盤『ワークス?ピンク・フロイドの遺産』に収録された『狂気』からの楽曲はこの4chミックス版が収録され、再発CDも同様だった(CDでもSQデコーダーを通すと4ch再生が可能)。
5.1ch版

発売30年後の2003年に、ジェームス・ガスリーによってリマスターが施されて5.1chのサラウンド・オーディオ・システムに対応したマルチ・チャンネル版が、SACDでリリースされた。こちらも再チャートインして売上を伸ばしている。
コレクターズ・エディション

2011年には最新リマスターを施したピンク・フロイドの全タイトルが再発された。そのうち『狂気』に関しては、6枚組のコレクターズ・エディション、2枚組のデラックス・エディションの特殊仕様で発売された。

イギリスで11位、アメリカで12位、日本で17位にチャートインするなど、再発盤ながらヒットを記録した。
50周年記念ボックス・セット


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