特殊相対性理論
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]



時計の遅れの検証

横方向のドップラー効果の測定(赤道上の時計の遅れの実験)[53][注 27]メスバウアー効果を起こす放射線源とその吸収体について、放射線源を回転する円盤の中心に、吸収体を円周に配置して回転させるとメスバウアー効果が発生しなくなる[54][55], 第7,8章[注 28]

ハフェル?キーティング実験 (Hafele?Keating experiment)航空機で運んだ原子時計と地上で静止したままの原子時計との間に発生するズレが理論と誤差(不確定性原理も含む)の範囲で一致する[56]。なお、この実験における相対論効果は
特殊相対性理論における運動によるいわゆる時計の遅れ、

一般相対性理論における重力偏移によるいわゆる時計の遅れ、

サニャック効果(Sagnac effect)
の3つが複合して現れる[注 29]

粒子の平均寿命の延長宇宙線の衝突により発生する非常に寿命の短い粒子が、単純に光速度程度で移動したと考えても数百メートル程度しか移動できないはずであるのに、地上で観測することができる。また、粒子加速器で粒子を光速近くまで加速すると、崩壊するまでの寿命が延びる。なお、この寿命の延びは厳密に特殊相対性理論による予測に従う。


質量とエネルギーの等価性オットー・ハーン核分裂を発見したが、この反応の際の質量欠損により、大量のエネルギーが放出された。この放出は特殊相対性理論の帰結のひとつである質量とエネルギーの等価性 E = mc2 において欠損相当の質量に換算される原子核内部の核子結合エネルギーである。

その他光速近くまで加速した電子等の荷電粒子を磁場によって曲げると、放射光と呼ばれる光が発生する。この光は特殊相対性理論の効果により前方に集中し、粒子軌道の接線方向への極めて指向性の高い光となる。

一般相対性理論へ

特殊相対性理論すなわち慣性力のない慣性系を対象とする理論体系が一通り出来上がった後、アインシュタインは、非慣性系と重力場へ対象を広げる仕事に取り組み、より一般的な理論である一般相対性理論を導いた。

特殊相対性理論では「あらゆる慣性系どうしが等価である」ことを原理としたが、さらに「慣性力と重力は本質的に区別がなく等価である」との視点に立ち、一般相対性理論を展開した。一般相対性理論によると、離れた観測者には光は速さが変化し曲線を描いて見える。この理論は、ニュートン万有引力論による物理事象の捉え方を、全面的かつ発展的に書き換える内容である。

一般相対性理論では思索の対象を慣性系以外にも広げており、その名の通り、特殊相対性理論は一般相対性理論の「特殊な場合」に相当し、一般相対性理論は特殊相対性理論を包含する理論である[注 30]。これらの2つの相対性理論を総称して(あるいは、両者を区別をせずに)相対性理論と呼ぶこともある。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ローレンツはこのようなエーテルに対して静止している系のことをそのまま『静止している系』または『静止系』と呼んだ[3]
^ a b ローレンツ?ポアンカレの理論ではその前提がはっきりと示されている広重 (1967, p. 72)。
^ ここで述べる意味での「本質的に形式が変化する」や「本質的に不変」といった表現に関しては、数学的に立ち入った説明が必要であり、概説・導入部の域を超えるので、詳説は以降の節の「共変」に関する説明を参照されたし。
^ 即ち、もし両氏の仮説が正しいのなら、「光の速度差」を検出可能な精度を有していた。
^ 特殊相対性理論では物体が実際に縮むという意味のフィッツジェラルド=ローレンツ収縮はしない。ローレンツの理論との混同を招き紛らわしいので特殊相対性理論では用いない方が良い用語である[要出典]。
^ この変換に対して最初にローレンツ変換という名称をあたえたのはポアンカレである[14]
^ ローレンツの理論では物体が実際に収縮するとみなすので、運動する物体が一律に収縮するならば、「長さ」の基準となる物差しさえも収縮してしまい、結果として収縮は観測されない為に検証不能となる。一方、特殊相対性理論では実際に収縮するのではなく、同時である状態が座標系によって異なる(位置のみならず運動状態によっても同時性が異なる)ため収縮して観測される、とされる。特殊相対性理論においては普遍定数である光速を物差しとして「長さ」が再定義されており、上述した検証不能性の問題は生じない。
^ ただし、ローレンツは局所時間をあくまで形式的なものだとした。
^ ローレンツが提唱した時点ですでに楕円体に変形した電子の安定性についてマックス・アブラハムから批判が出ていた[16]
^ 実際、アインシュタインの理論を認めたローレンツはローレンツ電子論 (1973, p. 360) において『わたくしが誤った主な原因は、変数 t だけが真の時間と見なしうるのであって、わたくしの局所時 t' は補助的な数学的な量以上のものと見なしてはならないという観念を固守していたことである。それに反して、Einsteinの理論では t' は t と同じ役を果たす。』(t' はこの節における τ である)と述懐している
^ 定式化して具体的に述べる。a(v)をvの関数として、c' = a(v)cとおく(a(v)が速さvの関数で向きによらないのは空間の等方性による)。特殊相対性原理より全ての慣性系は同等であるので逆にc = a(v)c'も言えて、a(v) 2 {\displaystyle {}^{2}} =1よりc'=cを得る。
^ マクスウェル方程式の解の導出経緯をたどれば、国際単位系での真空中の誘電率と透磁率という別の物理定数について、これら(の積)と光速は原理上同一のものである。
^ 現に物理学者は、このような二人の観測者それぞれが観測する時刻・位置を自由に知ることができることを前提に、相対性理論の論じることができる(本記事の議論がまさにそれである)。これは相対性理論に基づく実験実施においても可能な行為である。
^ 証明:Derivations of the Lorentz transformations - Wikipedia
^ 本項ではシュッツ (2010)に従い、4元ベクトルは a→ のように矢印をつけて表し、通常の3元ベクトルは a のように太字で表した。しかしベクトルの表記は本によって異なり、前原 (1993)では4元ベクトルを太字で表している。
^ 厳密にいうと我々はここで、
ミンコフスキー空間の向きづけが事前に定められていること

2つの光円錐のうち1つを「未来」の光円錐であると事前に定められていること
を暗に仮定し、

e→0 が未来の光円錐内にあり、

(e→1、e→2、e→3) の向きがミンコフスキー空間の向きと一致する
ものだけを考えることにしたのである。
^ 数学的に言えば、ローレンツ群 O(1,3) は空間方向の向きを保つか、時間方向の向きを保つかにより、4つの連結成分に分割されており、そのうち単位元を含む連結成分である制限ローレンツ群 SO+1,3) の元のみを考えるという事である。
^ これは3次元空間上の回転Rにより、(e→0, e→1, e→2, e→3) を (e→0,R(e→1), R(e→2), R(e→3)) に移し、(e→0, e→1, e→2, e→3) にも同様の変換を施す事を意味する。なお、(e→0, e→1, e→2, e→3) と (e→0, e→1, e→2, e→3) では用いる回転行列Rが異なってもよい。このような変換がミンコフスキー計量を保つ線形変換(従ってローレンツ変換)である事は簡単に確認できる。よってこれらの変換を施した後も (e→0, e→1, e→2, e→3) と (e→0, e→1, e→2, e→3) が正規直交基底であるという事実は保たれる。
^ このように表示できるのは、ローレンツ変換の固有値が eζ、e−ζ、eια、e−ια の形に書けることと関係している。ここでζはラピディティ
^ 符号が反転しているのは、v が観測者Aから見た観測者Bの相対速度であるのに対し、x′/t′ は観測者Bから見た観測者Aの相対的だからである。なお、特殊相対性理論においても観測者の入れ替えで相対速度の符号が反転するという事実はローレンツ変換の逆変換に対して同様の議論をする事で確認できる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:309 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef