特殊相対性理論すなわち慣性力のない慣性系を対象とする理論体系が一通り出来上がった後、アインシュタインは、非慣性系と重力場へ対象を広げる仕事に取り組み、より一般的な理論である一般相対性理論を導いた。
特殊相対性理論では「あらゆる慣性系どうしが等価である」ことを原理としたが、さらに「慣性力と重力は本質的に区別がなく等価である」との視点に立ち、一般相対性理論を展開した。一般相対性理論によると、離れた観測者には光は速さが変化し曲線を描いて見える。この理論は、ニュートンの万有引力論による物理事象の捉え方を、全面的かつ発展的に書き換える内容である。
一般相対性理論では思索の対象を慣性系以外にも広げており、その名の通り、特殊相対性理論は一般相対性理論の「特殊な場合」に相当し、一般相対性理論は特殊相対性理論を包含する理論である[注 30]。これらの2つの相対性理論を総称して(あるいは、両者を区別をせずに)相対性理論と呼ぶこともある。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ローレンツはこのようなエーテルに対して静止している系のことをそのまま『静止している系』または『静止系』と呼んだ[3]。
^ a b ローレンツ?ポアンカレの理論ではその前提がはっきりと示されている広重 (1967, p. 72)。
^ ここで述べる意味での「本質的に形式が変化する」や「本質的に不変」といった表現に関しては、数学的に立ち入った説明が必要であり、概説・導入部の域を超えるので、詳説は以降の節の「共変」に関する説明を参照されたし。
^ 即ち、もし両氏の仮説が正しいのなら、「光の速度差」を検出可能な精度を有していた。
^ 特殊相対性理論では物体が実際に縮むという意味のフィッツジェラルド=ローレンツ収縮はしない。ローレンツの理論との混同を招き紛らわしいので特殊相対性理論では用いない方が良い用語である[要出典]。
^ この変換に対して最初にローレンツ変換という名称をあたえたのはポアンカレである[14]。
^ ローレンツの理論では物体が実際に収縮するとみなすので、運動する物体が一律に収縮するならば、「長さ」の基準となる物差しさえも収縮してしまい、結果として収縮は観測されない為に検証不能となる。一方、特殊相対性理論では実際に収縮するのではなく、同時である状態が座標系によって異なる(位置のみならず運動状態によっても同時性が異なる)ため収縮して観測される、とされる。特殊相対性理論においては普遍定数である光速を物差しとして「長さ」が再定義されており、上述した検証不能性の問題は生じない。
^ ただし、ローレンツは局所時間をあくまで形式的なものだとした。
^ ローレンツが提唱した時点ですでに楕円体に変形した電子の安定性についてマックス・アブラハムから批判が出ていた[16]。
^ 実際、アインシュタインの理論を認めたローレンツはローレンツ電子論 (1973, p. 360) において『わたくしが誤った主な原因は、変数 t だけが真の時間と見なしうるのであって、わたくしの局所時 t' は補助的な数学的な量以上のものと見なしてはならないという観念を固守していたことである。それに反して、Einsteinの理論では t' は t と同じ役を果たす。』(t' はこの節における τ である)と述懐している
^ 定式化して具体的に述べる。a(v)をvの関数として、c' = a(v)cとおく(a(v)が速さvの関数で向きによらないのは空間の等方性による)。特殊相対性原理より全ての慣性系は同等であるので逆にc = a(v)c'も言えて、a(v) 2 {\displaystyle {}^{2}} =1よりc'=cを得る。
^ マクスウェル方程式の解の導出経緯をたどれば、国際単位系での真空中の誘電率と透磁率という別の物理定数について、これら(の積)と光速は原理上同一のものである。
^ 現に物理学者は、このような二人の観測者それぞれが観測する時刻・位置を自由に知ることができることを前提に、相対性理論の論じることができる(本記事の議論がまさにそれである)。これは相対性理論に基づく実験実施においても可能な行為である。
^ 証明:Derivations of the Lorentz transformations - Wikipedia