物真似
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1980年代以降、テレビでのビジュアルを意識し、本人に似せた派手な衣装や扮装でオーバーな演技・歌唱を見せる物真似スタイルが広まった。このような演出はテレビ放映を前提とした芸であり、従前の物真似とは本質的に異質なものとみるのが正確である。本人登場というお遊びもよく行われる他、内田裕也のモノマネの場合、本人ではなく安岡力也が登場するといったケースもある。

旧来の形態模写と一線を画したビジュアル面の物真似を広めたのはコロッケである。コロッケは漫才ブームに付随して起こったお笑いブームの時期にメジャーシーンに登場。主として人気歌手の物真似を行っていたが、当初は声(歌)は真似せず(バックに真似する歌手のレコード音声を流す)、徹底的に顔や振り付けや態度や服装といったビジュアル面の物真似を行って人気を博した。これは「歌手の真似イコール声帯模写」という旧来の概念を打ち破るもので(形態だけ真似することは邪道との声もあった)、コロッケのビジュアル物真似は他に大きな影響を与えたと言える。コロッケは後に声帯模写の技術も身に付けたが、初期にはステージでも全く話さない(生声を聞かせるとイメージが壊れる)という芸風だった。当時のコロッケが得意としたのはちあきなおみ岩崎宏美野口五郎といった歌手だが、いずれも本人の顔の表情や振り付けをオーバーにカリカチュアする(野口五郎のように鼻をほじるなど、おふざけに偏ることもあった)ことにより、本物のパフォーマンスよりコロッケの物真似の方が印象に残るような結果になっている。

よく真似された有名人は、男性だとビートたけしアントニオ猪木えなりかずき大滝秀治武田鉄矢森進一桑田佳祐板東英二平泉成など、女性だと浜崎あゆみ仲間由紀恵ローラなどである。芸能人の中でも、例えばビートたけしのように声質や話し方に特徴がある者や、デーモン閣下のように顔貌や衣装などの外見的特徴がある者など、もともとオーバーな特徴を持つ者を題材に用いることが多い。美川憲一はコロッケの物真似の題材にされたことで本人も人気を復活させ、コロッケに感謝の意を表したことがある。清水アキラとキンタロー。は元の人物とかけ離れ変な部分やオーバーなおふざけをしたり下ネタを入れる部分で本人やファンに嫌われる傾向が強く、淡谷のり子が下ネタに嫌悪感を表しているほか、松村邦洋も「モノマネ芸は素晴らしいが下ネタに力を入れすぎ」と評している。2000年代以降はコージー冨田原口あきまさ等、有名人の口癖や出演作品のワンシーン等、場面を切り取ったモノマネを得意とするタレントが多くなっている。

また、武田鉄矢(三又又三)、萩原流行(神奈月)、浜田雅功(山本高広)、野村沙知代(上島竜兵)など本人からの評判はイマイチでも親族や友人が絶賛したため、受け入れた事例もある。
風潮の変化

テレビ番組の世界ではかつて『そっくりショー』『スターに挑戦!!』、『象印スターものまね大合戦』などで著名歌手が歌まねをするレギュラー番組が数多く存在したが、2000年代頃からは主としてタレントがメインとなる春秋の期末・期首、並びに年末年始の特別番組が中心となっている。その中でも『ものまね王座決定戦』『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』と『ものまねバトル』『ものまねグランプリ』はものまねを本業とするタレントはもとより、若手のお笑いタレントや歌手の参戦も多い。その中でも西尾夕紀城之内早苗大石まどか水田竜子演歌歌手の台頭も目立ち、本職の演歌だけでなくポップスでも歌唱を見せている。

歌唱力のある歌手は物真似(声帯模写)も上手い例が多いが、かつては本職の歌手が歌真似をするのはお笑い芸人的で好ましくないという意識が存在していた。また有名歌手の持ち歌を、他の歌手が歌うことも好ましくないとされていた。例えば、若い頃の五木ひろしは非常に歌真似が上手いことで知られていたが、ヒット曲が出て大物歌手になってからは物真似を封印しているとされる。
物真似の物真似

テレビによって物真似が世間一般に浸透したことにより、物まね芸人の真似(物真似の物真似)が氾濫した。古くは「田中角栄」、「森進一」等。現代では「タモリ」、「ビートたけし」等が定番である。「ダンカン!バカ野郎」や「髪切った?」は松村邦洋コージー冨田の物真似を真似するという亜流であり、物真似をする場合、世間一般のみならずTVタレントやお笑い芸人まで広く行われている。

このような流れを作ったのは、頻繁にお笑い番組に出ていた時期(1980年代)の片岡鶴太郎だと思われる。鶴太郎の物真似は小森和子フランソワーズ・モレシャン浦辺粂子八代目橘家圓蔵等の、個性が非常に強く分かりやすい人々をモチーフにすることが多い。

70年代以前にも、小松政夫による淀川長治[2]など、ビジュアル面まで重視した物真似は存在したのだが、他者がそれを真似するという現象はあまり見られなかった。芸人によるパターン化された物真似を他者が真似するという風潮は80年代以降のものと見られる。

1980年代中盤には「こんにちは、桜田淳子です」という物真似が流行ったことがある。同様の例では「こんにちは、カッシワバラよしえ(柏原芳恵)です」というものもあった。

モノマネされて嬉しがる人もおり、デーモン閣下は本人と共演した際に、山口智充や神奈月のネタを披露しているほか、坂田利夫は清水アキラと同じ格好で出演し、「ええ番組」と語っている。
マニアックものまね

上記のような状況があるため、小堺一機関根勤の様に元となる音声・映像が存在しない人物(マシュー・ペリー等)のモノマネや、『とんねるずのみなさんのおかげでした』内コーナー「博士と助手?細かすぎて伝わらないモノマネ選手権?」のように、よりオリジナリティのあるマニアックなものまねを追求する傾向にある。
物真似のエンターテインメント化

物真似はテレビと併行して、ショーなどの興行でも披露されてきた。現在は全国に数多くのものまねショーパブが存在する。ショーパブとしては、頻繁にテレビや雑誌等のメディアに取り上げられている関係上、東京都新宿区で1992年から20年以上に渡って営業しているそっくり館キサラが有名で、コージー冨田原口あきまさホリはなわオードリーヒロシ長井秀和など多くの有名タレントを輩出している。その他には、1999年2月、ものまねエンターテイメントハウスものまねエンターテイメントハウスSTAR(東京都港区)がオープンし所属ものまねタレントによるライブ興行が毎夜(日曜日を除く)行われている。

他にも麒麟のボケ担当川島明など、芸人などでも声帯模写ができる人が増えている。
物真似番組

ものまね王座決定戦フジテレビ

ものまねバトル日本テレビ

爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル(フジテレビ)

ものまねスター誕生!(フジテレビ)

ものまねグランプリ(日本テレビ)

爆笑!ものまねウォーズTBS

ものまねランキングテレビ東京

欧米での文化軍人バーナード・モントゴメリーそっくりな軍人・クリフトン・ジェームズ
コンテスト


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