物理学
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1911年に、アーネスト・ラザフォードの下で原子の研究が進展し、その時のラザフォード散乱から、電荷を持つ物質を核とする原子像(ラザフォードの原子模型)が提唱された[22]原子核を構成する正電荷の粒子は陽子と呼ばれる。電気的に中性な構成物質である中性子は1932年にジェームズ・チャドウィックによって発見された[23]

1900年代初頭に、マックス・プランク、アインシュタイン、ニールス・ボーアたちは量子論を発展させ、離散的なエネルギー準位の導入によってさまざまな特異な実験結果を説明した。1925年にヴェルナー・ハイゼンベルクらが[24]、そして1926年にエルヴィン・シュレーディンガーポール・ディラック量子力学を定式化し[25]、それによって前期量子論は解釈された。量子力学において物理測定の結果は本質的に確率的である[26]。つまり、理論はそれらの確率の計算法を与える。量子力学は小さな長さの尺度での物質の振る舞いをうまく記述する。

また、量子力学は物性物理学の理論的な道具を提供した。凝縮系物理学では誘電体半導体金属超伝導超流動磁性体といった現象、物質群を含む固体液体の物理的振る舞いを研究する。凝縮系物理学の先駆者であるフェリックス・ブロッホは、結晶構造中の電子の振る舞いの量子力学的記述を1928年に生み出した[27]

第二次世界大戦の間、核爆弾を作るという目的のために、研究は核物理の各方面に向けられた。ハイゼンベルクが率いたドイツの努力は実らなかったが、連合国のマンハッタン計画は成功を収めた。アメリカでは、エンリコ・フェルミが率いたチームが1942年に最初の人工的な連鎖反応を達成し、1945年にアメリカ合衆国ニューメキシコ州アラモゴードで世界初の核爆弾が爆発した。

場の量子論は、特殊相対性理論と整合するように量子力学を拡張するために定式化された。それは、リチャード・P・ファインマン朝永振一郎ジュリアン・シュウィンガーフリーマン・ダイソンらの仕事によって1940年代後半に現代的な形に至った。彼らは電磁相互作用を記述する量子電磁力学の理論を定式化した。

場の量子論基本相互作用と素粒子を研究する現代の素粒子物理学の枠組みを提供した。1954年に楊振寧ロバート・ミルズゲージ理論という分野を発展させた。それは標準模型の枠組みを提供した。1970年代に完成した標準模型は今日観測される素粒子のほとんどすべてをうまく記述する。

場の量子論の方法は、多粒子系を扱う統計物理学にも応用されている。松原武生は場の量子論で用いられるグリーン関数を、統計力学において初めて使用した。このグリーン関数の方法はロシアのアレクセイ・アブリコソフらにより発展され、固体中の電子の磁性や超伝導の研究に用いられた。
近年の状況

2018年時点において、物理学の多くの分野で研究が進展している。

スーパーカミオカンデの実験からニュートリノの質量が0でないことが判明した。このことを理論の立場から理解しようとするならば、既存の標準理論の枠組みを越えた理解が必要である。質量のあるニュートリノの物理は現在理論と実験が影響しあい活発に研究されている領域である。今後数年で加速器によるTeV(テラ電子ボルト)領域のエネルギー尺度の探査はさらに活発になるであろう。実験物理学者はそこでヒッグス粒子超対称性粒子の証拠を見つけられるのではないかと期待している。

量子力学と一般相対性理論を量子重力理論の単一理論に統合するという半世紀以上におよぶ試みはまだ結実していない。現在の有望な候補はM理論ループ量子重力理論である。

天体物理学の分野でも1990年代から2000年代にかけて大きな進展が見られた。特に1990年代以降、大口径望遠鏡ハッブル宇宙望遠鏡COBEWMAP などの宇宙探査機によって格段に精度の良い観測データが大量に得られるようになり、宇宙論の分野でも定量的で精密な議論が可能になった。ビッグバン理論及び宇宙のインフレーションに基づく現代のΛ-CDM宇宙モデルはこれらの観測とよく合致しているが、反面、暗黒物質(ダークマター)の正体や宇宙の加速膨張を引き起こしていると考えられるダークエネルギーの存在など、依然として謎となっている問題も残されている。これ以外に、ガンマ線バースト超高エネルギー宇宙線の起源なども未解決であり、これらを解明するための様々な宇宙探査プロジェクトが進行している。

物性物理学において、高温超伝導の理論的説明は、未解明の問題として残されている。量子ドットなど単一の電子・光子を用いたデバイス技術の発展により、量子力学の基礎について実験的検証が可能になってきており、さらにはスピントロニクス量子コンピュータなどへの応用展開が期待される。
主要な分野の一覧
学問体系

力学--解析力学--古典力学--量子力学--相対論的量子力学--場の量子論

熱力学--統計力学--量子統計力学

連続体力学--流体力学

電磁気学--光学--特殊相対性理論--一般相対性理論

研究方法

理論物理学

実験物理学

数理物理学

計算物理学

専門分野

素粒子物理学高エネルギー物理学

原子核物理学(核物理学)--核構造物理学--原子核反応論--ハドロン物理学

天文学--天体物理学--宇宙論

原子物理学--分子物理学--高分子物理学

物性物理学(凝縮系物理学)--固体物理学--磁性物理学--金属物理学--半導体物理学--低温物理学--表面化学--非線形物理学--流体力学--物性基礎論--統計力学--数理物理学


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