父親の権利運動
[Wikipedia|▼Menu]
さらに彼は、「もし、共同親権が合意されないのなら、子供は母親に養育されるよりも、父親に養育されたほうが、心理的にも社会的にも学業成績の上でも身体的にもより良い状況となり、人に共感し、意見をはっきり述べ、ADHDの水準が低くなる。」と述べている。

父親の権利運動のメンバーとその批評家達は、単独親権による育児が発育障害をもたらすことはないと考えている。社会科学者のV. C. McLoyd は、「父親がいなくなると、大人の男性からの収入が無くなり、二人目の大人がいなくなり、片方の親戚からの支援も無くなる。父親の不在は、そうした家庭環境の変化を伴う。父親の不在による発育の悪化は、貧困によるものである。」と述べている。しかし、他方、Craig Hart 教授は、「確かに片親であることと貧しいことは相関関係がある。しかし、それらは両方共に、子供の発達に独立して影響を及ぼす危険因子なのである。」と述べている。また、Silverstein and Auerbach は、「単独親権による育児が悪い結果をもたらすことは、貧困を始めとする他のいかなる要因よりも、父親がいないこと自体と最も強く相関している。」と述べている。

父親の権利運動のメンバー達は、子供の最善の利益の基準は、現在多くの国で親権をいずれの親に与えるかの決定に使われているが、非常に主観的であり、家庭裁判所の裁判官や、裁判所が任命した親権評価委員の個人的な偏見に左右されるとして、批判している。また彼らは、裁判所が、親としての能力を持ち、子供を養育する意欲のある親から、親権を取り上げるのは、虐待であると批判している。Ned Holstein を始めとする、父親の権利運動のメンバー達は、「共同親権を原則的に適用することは、国民の多数により支持されている。」と述べている。また、Baskerville は、「共同親権を原則的に適用する法律の施行については、離婚弁護士や女性運動組織が反対している。また女性運動組織は、DVや児童虐待の不安をかきたてることにより、父親達と父親権利グループに反対する宣伝を行っている。」と述べている。

Mo Yee Lee は、「共同養育の設定は、両親の間で争いが無い場合に限って、子供のために良い。」と述べている。女性運動のグループは、「共同親権による育児が強制される場合でも、父親は、子供のための日々のケアの分担分を行おうとしない。」と述べている。「女性のための全国組織」やアメリカ弁護士会は、共同親権を推進する理由について疑問を呈しており、「共同親権を行わなくても、物質的豊かさが減少したり、養育費の不払いにつながったりすることは無い。」と述べている。

Stephen Baskerville は、「共同親権は、両親に協力することを促すので、両親の間の争いを減らす。逆に、片方の親が他方の親を子供から排除することを制限しないと、両親の間の争いは増える。」と述べている。彼はさらに、「養育費の金額の基準が真の経費を上回る時には、経済的な理由により、養育する時間を変更することを、片親は拒むであろう。また、養育費を減らすために養育時間を増やして欲しいという非同居親の議論は、すなわち同居親が養育費により利益を得ているという議論なのである。」と述べている。

Stephen Baskerville は、「無責の離婚や一方的な離婚の制度は、離婚しようとする側の親に権力を与えるものだ。」と述べている。彼はまた、「父親は合衆国憲法により子供を訓育する権利を保障されており、政治的な行動を通じて、父親達は、子供のために親としての権利を確立することを求めている。」と述べている。父親の権利運動のメンバーは、「共同親権を原則的に適用しても、不適当な親や暴力的な親から子供を守る状態は維持される。」と述べている。

女性解放論者で社会学者のMichael Flood は、「共同親権の支持者たちは、共同親権という言葉を、権利・平等・公正に関する象徴的な言葉として用いているが、実際には子供や子供の希望について共同でケアすることに興味を持っていない。そして、父親の権利グループは、指針や戦略を表明しているが、それは母親と子供にとって有害であり、父親自身にとっても有害である。」と述べている。それに対して、社会学者のSanford Braver は、「離婚した悪い父親というイメージは神話に過ぎず、誤りであって、有害で危険な社会政策を招いている。」と述べている。
養育費

父親の権利運動のメンバー達は、養育費の基準を改正するようにキャンペーンを行っている。たいていの西洋諸国では、別居後にも子供の生活水準を維持できる金額に基づき、片方の親とだけ暮らすという仮定の下に算出している。メンバー達は、「養育費の現在のガイドラインは、独断によるものであり、母親に離婚への経済的インセンティブ(動機づけ)を与えており、父親が子供といる時に子供と楽しむための経済的余裕をほとんど残さないものである。」と述べている。アメリカ合衆国では、父親の権利運動の活動家は、「子供の経費を分担するモデル」に基づいた養育費のガイドラインを提案している。そのモデルによれば、子供の養育費は、両親の平均の収入に基づき、子供のために両方の親によって消費される費用を評価して決定される。Laura W. Morgan は、「養育費の現在の基準は、子供の最善の利益に基づいて決められているのではなく、離婚後も以前と同じ生活レベルを保つように、離婚する両親の生活水準に焦点を当てて決められている。」と述べている。

Solangel Maldonado は、「家族法は、貧しい父親のために、父親としての養育の定義を拡大し、養育費を現金で支払うことだけを評価するのではなく、父親が与えた食料品や衣類や玩具や子供といる時間などの貢献を養育費の一部として評価すべきだ。」と述べている。

父親の権利運動のメンバーは、養育費はある状況では止められるべきであると述べている。例えば、同居親が、非同居親の希望に反して子供を連れ去って面会を制限しようとした場合や、同居親が偽りの証言をした場合や、父親は誰かについての虚偽が発見された場合などである。最後の場合では、二人の男が養育費を重ねて支払う必要は無いであろう。

Stephen Baskerville は、「父親が、経済的に貧窮した場合や、子供の養育のより大きな役割を課された場合にも、養育費の減額を認めてもらうのは非常に困難である。」と述べている。彼はまた「養育費の支払いが遅れる原因で最も多いのは失業である。養育費の支払いが遅れると、父親は通常の法的手続き無しに逮捕され投獄されてしまう。」と述べている。

Stephen Baskerville は、「養育費の目的を公的に明確にして、支払い強制プログラムを、その目的に合致するように設計しなければならない。強制プログラムは、法のデュー・プロセス(適正手続き)に従って行うべきだ。」と述べている。
家庭内暴力

父親の権利運動のメンバー達は、「ある女性達は、離婚と親権の争いにおいて有利な立場を獲得し、父親が子供と会うことを阻止するために、家庭内暴力、性的虐待、児童虐待が無いのに有るという偽りの申立を行っている。」と主張している。そして、「弁護士は、そういう申立をするように女性達にアドバイスしている。」と述べている。

彼らは、次のように述べている。「家庭内暴力や児童虐待の偽りの申立は、子供の親権を決める聴聞が、勝つか負けるの仕組みになっていることにより促されるのだ。男性は、警察や裁判所により、無実を推定されているのではなく、始めから有罪を推定されている。暴力を振るわれたと主張する女性の弁護士や支持者は、社会において家庭内暴力の頻度は、偽りの暴力の申立の頻度より多いので、家庭裁判所の訴訟手続きでは、たいてい家庭内暴力があるとの申立をすると言っている。また家庭内暴力は、別居や離婚をきっかけとして始まったり、エスカレートすることがあると主張している。」。

Stephen Baskerville は、「子供の虐待が起きた場合に、加虐者は父親ではないことが多い。なぜなら、児童虐待は、父親が子供から引き離された後に発生することが多いからである。」と述べている。またBaskerville は、「家庭内暴力や児童虐待は、犯罪行為として法のデュー・プロセス(適正手続き)に従って判断されなければならない。そして、この問題のプログラムに政府が資金援助する場合には、そうした適正手続きを経なければならない。」と述べている。
面会の妨害

Glenn Sacks は、「父と子の面会を妨害する母親がいるが、そうした妨害は止めさせなければならない。」と述べている。Sacks と Jeffery M. Leving は、「そうした妨害は、父親が子供に会いやすい距離の外へ、母親が移動するような引越しにより行われることがある。」と述べて、そうした移住の原則的禁止を求めるキャンペーンを行っている。

父親の権利運動の活動家はまた、PAS片親疎外症候群が関与すると主張している。片親疎外症候群は、Richard A. Gardner によって提唱された疾患である。PASやPADの概念は、法律や精神医学の組織によって認められていない。片親疎外症候群は、関係者の働きかけにもかかわらず、2010年に発表されたアメリカ精神科医師会による『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版DMS-5の草案には記載されていないが、作業グループによる「他の情報源が提案する疾患」には記載されている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:36 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef