父親たちの星条旗
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アイラは、ハンクは本物の旗を立てた時に居たのであって、旗は一度交換され、その2枚目を掲げた時に撮られたのが報道された写真だと説明する。戦債のツアーは茶番劇としてアイラは非難するのだが、バド・ガーバーは国の戦費には余裕がなく、この戦債キャンペーンが失敗した場合、米国は太平洋を放棄し、彼らの犠牲は無駄になると説得し、3人はハンクが写真に写っていないことを誰にも言わないことに同意する。

3人は資金集めのためのスピーチをするために国中を回り、レイニーは如才なく立ちふるまい、婚約者も連れてくるようになる一方、ドクは浮かない顔で戦場での体験がフラッシュバックし、またアイラは罪悪感に苛まれ、ネイティブアメリカンに寄せられる差別にも遭遇して次第にアルコール依存症に陥る。金星章の受賞パーティで、3人はそれぞれ、戦死した3人の母親たちに会い、レイニーはフランクリンの母親といつもの調子で話を合わせるが、ドクはハンクの母親から写真に写っているのが本当に自分の息子なのかと問われ、記憶が曖昧だとごまかす。一方、アイラはマイクの母親に会うと、思い出して泣き崩れてしまい、軍の上層部から3人はパーティーを出るように言われる。しかしドクはホテルに戻ってからも戦場での体験がフラッシュバックして、苦しむ。

ツアーを続けていたある夜のパーティーで、アイラは、海兵隊総司令官であるアレクサンダー・ヴァンデグリフト将軍に酔って吐いているところを見られてしまったため、恥さらしとののしられる。前線の部隊に送り返されることになったアイラは、英雄だと言われる事に耐えられなかったと言い、処分を快く了承する。そして、戦債キャンペーンはアイラ抜きで続行される。

戦争が終わり、生き残った3人は故郷に戻り、ドクは女性にプロポーズして結婚、葬儀屋に勤め、やがてオーナーが引退する時に葬儀場を買い取って経営者になる。アイラはまだアルコール依存症に苦しんでおり、彼が求めない名声から逃れることはできず、小作農として働き続ける。レイニーはキャンペーン中に受け取った就職の機会を利用しようとするが、結局、自身の栄達につなげることはできず、用務員としての残りの人生を過ごす。警察沙汰を繰り返していたアイラはある日、留置所から釈放された後に、1,300マイル以上をテキサスまでヒッチハイクし、ハーロン・ブロックの家族を訪ねる。アイラはハーロンの父親に、息子は確かに国旗の掲揚の写真に写っていることを話す。1954年に、米国海兵隊の戦没者追悼記念碑の除幕式で3人が会ったのが最後であった。この時はハーロンの母親は出席するが、最初の旗を掲げたハンクの母親は招待されなかった。1955年に、アイラは酒を一晩飲みあかした挙句に屋外で死んでいるのが発見され、検死も行われなかった。同じ年、ドクはイギーの母親が住んでいる町に行き、イギーがどのように死んだかを伝えるのだが、真実を伝えられない事にその後も悩み続ける。1994年、ドクは死の床でうなされ続け、息子のジェームズに良い父親ではなかったと謝り、英雄とは必要に応じて作り上げられた者であることを語る。1945年の最後の回想シーンでは、擂鉢山に旗を掲げた後、男たちは戦闘がいったんおさまった硫黄島の海岸で水遊びに興じているのであった。
キャスト

※括弧内は日本語吹替

ジョン・“ドク”・ブラッドリー - ライアン・フィリップ竹若拓磨

レイニー・ギャグノン(英語版) - ジェシー・ブラッドフォード関智一

アイラ・ヘイズ - アダム・ビーチ志村知幸

キース・ビーチ - ジョン・ベンジャミン・ヒッキー仲野裕

ハンク・ハンセン(英語版) - ポール・ウォーカー森川智之

バド・ガーバー - ジョン・スラッテリー小島敏彦

マイク・ストランク - バリー・ペッパー桐本琢也

ラルフ・“イギー”・イグナトウスキー(英語版) - ジェイミー・ベル佐藤淳

チャンドラー・ジョンソン大佐 - ロバート・パトリック

デイヴ・セベランス大尉 - ニール・マクドノー有川博

ポーリーン・ハーノイス - メラニー・リンスキー

ジェームズ・ブラッドリー(英語版) - トム・マッカーシー井上和彦

アレクサンダー・ヴァンデグリフト海兵隊司令官 - クリス・バウアー

ハリー・S・トルーマン - デヴィッド・パトリック・ケリー

ベル・ブロック - ジュディス・アイヴィー

マデリン・イーヴリー - マイラ・ターリー(英語版)

フランクリン・スースリー - ジョセフ・クロス

ハーロン・ブロック - ベンジャミン・ウォーカー

シュリエ中尉 - ジェイソン・グレイ=スタンフォード

ランスフォード - スコット・イーストウッド

Mr.ビーチ - レン・キャリオー

老デイヴ・セベランス - ハーヴ・プレスネル

ニューヨーク市長 - ジョン・ポリト

上院議員 - デヴィッド・ラッシュ

スタッフ

監督・製作・音楽 -
クリント・イーストウッド

製作 - スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ロレンツ

原作 - ジェイムズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ 『硫黄島の星条旗』

脚色 - ポール・ハギス、ウィリアム・ブロルイズ・Jr

撮影 - トム・スターン

美術 - ヘンリー・バムステッド

衣装 - デボラ・ホッパー

編集 - ジョエル・コックス

評価

レビュー・アグリゲーターRotten Tomatoesでは198件のレビューで支持率は73%、平均点は7.00/10となった[4]Metacriticでは39件のレビューを基に加重平均値が79/100となった[5]
エピソード

映画では、ジョン・“ドク”・ブラッドリーが、2回目の国旗を掲げた中心人物として描かれているが、2016年に米海兵隊は、ドクことブラットリーが写真に写っていなかったと発表した。2014年に米ケーブルテレビ(CATV)のスミソニアン・チャンネルがローゼンタールの写真に写っていた米兵たちの身元を検証するドキュメンタリー番組を制作したことを機に調査した結果であった[6]。ただし、この映画には、既に考慮されていたためかどうかは不明であるが、ドクが直接、掲げるカットは映っていない。

2019年、第三回目の調査で海兵隊はレニー・キャグノンも実際には該当する写真には写っていなかったことを認めた。「硫黄島の星条旗」を参照
DVD/HD DVD/Blu-ray Disc

父親たちの星条旗(2007年5月3日 DVD)

父親たちの星条旗(2007年8月10日 HD DVD/Blu-ray Disc)

関連項目

硫黄島の星条旗:この作品のテーマとなっているジョー・ローゼンタールの写真について。

en:C. C. Beall

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 現在に至るまで米海兵隊には独自の医療部門が存在せず、衛生兵(Medical Corpsman)は海軍から有資格者が派遣されてくる。海兵隊の部隊と共に戦場を移動するため、彼ら海軍衛生兵も海兵隊員同様の訓練を受ける。

出典^ a b c “Flags of Our Fathers (2006)” (英語). Box Office Mojo. 2010年4月11日閲覧。
^ “ ⇒日本映画産業統計 過去興行収入上位作品 (興収10億円以上番組) 2006年(1月?12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月11日閲覧。
^ Bradley J, Powers R (2000) Flags of Our Fathers. Bantam Books, New York. ISBN 0553111337(日本語訳: ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ著、島田三蔵訳『硫黄島の星条旗』文藝春秋、文春文庫 ISBN 0553589083


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