患部を湿潤環境で保護し、上皮化(皮膚の再生)を待つ。具体的にはハイドロコロイド
などの被覆材を貼る。幼児では熱傷創の状態に関係なく被覆材で熱傷創を密封した場合、発熱をみる頻度が高い。強い痛みがあり、知覚は維持される[21]。浸潤環境の維持のためワセリン軟膏基剤を基本とする[28]。 基本的にSDBと同じであるが、広範囲にわたる場合は植皮を考慮する。全周性のDDBには減張切開をおこなう。 痛みはかえって鈍くなり、知覚鈍麻がある[21]。 デブリードマン(壊死組織を除去する)が第一選択である。広範囲であれば植皮の適応となるが、小範囲であれば湿潤環境で保護し周囲からの上皮化を待ってもよい。全周性のIII度熱傷には減張切開をおこなう。 夏井睦によれば、医師によっては2週間をめどに上皮化しない場合に皮膚移植が必要と言われることがあるが、III度と診断されても1-2か月かけて上皮化する場合もある[29]。 神経が破壊されるため、無痛である。感覚も消失する[21]。 II度以上の熱傷面積が成人の場合20%、小児の場合10%を超えると全身状態が悪化するため、入院治療が必要である。 広範囲熱傷では細胞外液が急速に喪失し、脱水による低容量性ショックが起こる。これに対し乳酸リンゲル液の大量輸液が行われる。必要輸液量は患者の体重を元に計算する公式が用いられ、代表的なものにはパークランド法などがある。急速なサイトカインの流出による浸透圧の変化に対応するべくコロイド溶液、アルブミン製剤を用いる輸液法もある。 また、広範囲熱傷では全身性炎症反応症候群(SIRS)や創感染が起きやすく、遷延すると多臓器不全を引き起こすため、これらの制御を目標とした集中治療が行われる。 II度熱傷面積が小児で15%以上、成人で30%以上のことを言う。一般に輸液療法の絶対的適応である。 体表が化学的腐食を受けた場合、初めになすことは水で15分以上洗い流すことである[注釈 5][30]。水溶性が低くても連続的に洗い流されることによって、付着物の濃度が下がり熱傷の拡大をふせぐことができる。中和などの試みは、まず効果を上げることはなく、かえって熱傷を拡大させる。 呼吸器が冒された場合は、直後には症状が現れなくとも、数時間後に肺水腫となり致命的になる場合があるので、軽症でも医療機関の治療を受けるべきである。 治癒したら、色素沈着しないよう直射日光を避け、日焼け止めを用いる。ベビーオイルなど乾燥を減少させ潤いを保つ。この際、成分の香料が皮膚刺激を起こすこともある。治癒後、半年まで痒みが生じるかもしれず、痒ければ抗ヒスタミン薬を用いたり、夜間に掻かないよう指の爪を切る。[2] 円を描くようにするマッサージ。衛生的にし、適切に栄養を摂取する。[2]「瘢痕」も参照
深達性II度熱傷(DDB)
III度熱傷(DB)
また、III度以上の真っ黒に炭化した熱傷をIV度、V度と呼ぶ医師もいる。広範囲重症熱傷における植皮については、自分の別の部位の皮膚を使う自家皮膚移植が最も勧められるが、それでも熱傷部分をカバーしきれない部分はスキンバンクから取り寄せた凍結同種皮膚移植により創部の保護・感染予防を行なうこともある。
全身管理
パークランド法(日本ではバクスター法ともよばれる)輸液量(ml/day)= 熱傷面積(%) × 体重(kg) × 4
重度熱傷の生理的反応及び変化
急性期(acute stage)もしくはショック期:受傷より48時間以内(72時間以内とする場合もある)。
血管透過性の亢進により血漿が血管外に大量に漏出し、循環血漿量の減少が生じる。
大量の細胞外液の喪失。
ショック(受傷後48時間はショック期とされている)。
汗腺、皮膚腺の破壊。
疼痛(pain) 等。
亜急性期(sudacute stage):受傷より48時間以降、2週間以内。
多臓器不全(MOF)。
皮膚表面の細菌感染(infection)防御力喪失(受傷後72時間後以降)。
進行性壊死。
合併症(conpication) 等。
血液障害。
慢性期(chronic stage):受傷より2週間以降、症状おおむね固定、生命の予後への懸念軽減。
疼痛。
精神的苦痛。
瘢痕拘縮。
栄養障害(malnutrition) 等。
回復期:リハビリ(rehabilitation)期とも。
疼痛。
精神的苦痛(リハビリが辛い、またはリハビリがはかどらないもどかしさ)など。
化学熱傷の治療
合併症
脱水
感染症
Curling潰瘍
肥厚性瘢痕
ケロイド
水疱(水ぶくれ)
拘縮
多臓器不全、敗血症、SIRS、ARDS
予後の管理
診療科
形成外科
皮膚科
救急科
外科 [31]
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