熱傷
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オーストラリアの研究者は、応急処置に、唾液、アロエベラティーツリー含有ジェル Burnaid、の使用は推奨していない[19]。これらは以前の豚を使った真皮までの深い熱傷治癒研究[20]により、治癒期間の短縮や、外観に差を生じなかった[19]。アロエベラは、ジェル状となり鎮痛作用はあるようだが、もっと治癒効果としては浅い火傷において有益だと考えられる[19]。ティーツリー含有冷却材のBurnaid ジェルも、期待できるのは主に鎮痛作用だが、広範囲の熱傷では低体温のリスクがある[19]
I度熱傷(EB)

減菌された包帯や、清潔な布で覆う。皮膚にアロエベラ成分を含むローションを塗る。脱水しているようであれば、電解質を含む水を飲む。通常さらなる治療を必要としない[11]。痛みがあり、知覚は鋭敏である[21]

湿潤療法を普及させてきた夏井睦によれば、ラップで覆えば痛みはおさまる[22]
局所治療

火傷から6時間までの病院への到着では、火傷が綺麗であれば、洗い、プラスチック製の粘着ラップで覆う。火傷の評価を容易にし、外す際に不快感を与えないためである。それ以上かかり綺麗な場合は、低粘着性のシリコン製のドレッシング材を使う
[2] (つまり時間と共に滲出液によって全体的に水疱として膨れてきたりする)。

汚れているか燃えていた場合には、水道水や減菌水で洗い、銀含有ドレッシング材や、スルファジアジン銀クリームを使う[2]

Wounds Internationalの2014年のガイドラインでは、抗菌材としてスルファジアジン銀のクリームは、一般的に使用されるが、治癒自体は遅らせる可能性があるとする[2]。日本皮膚科学会の2017年のガイドラインは、選択肢のひとつとしており、予後をよくするか不明であり、すべきとする意見、すべきでないという意見の両方があるとし、III度の熱傷では使用を推奨している[18]。(また日本では、医薬品添付文書で、軽症の火傷には疼痛を起こすため禁忌とされている)

また、2017年のシステマティック・レビューは9つのランダム化比較試験 (RCT) を発見し、ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングより良好とした(銀クリーム6、銀含浸ガーゼ3)[23]。同様に2015年のシステマティック・レビューは、6つのRCTを見出し同じ結論を下した[24]。ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングと比較して、I度とII度の熱傷に良好であり、短期間で減菌し治癒期間を短縮し、肥厚性瘢痕および拘縮のない完全な回復はハチミツで81%、銀で37%であった[25]

ケアは通常看護師が行い、以下の目的に基づく[2]

感染リスクの予防・軽減

湿潤療法

最適な痛み緩和

患者教育

一般に1cm以上の水疱を除去し、小さいものは残す。手の水疱は動きに支障がなければ残す。壊死した皮膚を除く。Wounds Internationalの2014年のガイドラインでは感染が疑われる場合、検査のために採取するが、予防を目的として抗生物質の投与を所定とするのは推奨されていない[2]。 日本皮膚科学会の2017年のガイドラインは、所定の抗菌薬の投与は否定的な結果も多く有効性を示す十分な根拠がないため明確な推奨ができないとするが、選択肢のひとつとして提案するとし、リスクの高い例を挙げている[18]

ドレッシング材には以下のように幅広い種類があるが、どれがいいか結論するまでの強い証拠はない。理想的には、湿潤環境を維持し、形を合わせやすく、非粘着性であり、つけ外ししやすく、それは痛みなく行え、感染から保護され、費用対効果がいいということである。痛みは重要な考慮事項である[2]

伝統的なドレッシング材には、パラフィン含浸ガーゼや吸収用脱脂綿があるが、これらは傷にくっつく。

アルギン酸塩は、カルボキシメチルセルロースと組み合わせたものがある。滲出液の多い場合に使え、乾燥した傷口には、皮膚に付着するため用いない。

発泡体、親水性ポリウレタン発泡体など。中等度から多い滲出液に使え、少ない場合には使わない。

医療グレードのハチミツ含有ドレッシング材。浸透圧により痛みを起こすことがある。

ハイドロコロイドは、感染が疑われたり滲出液が多い場合には使えない。

シリコンやリポコロイドの接触層をもつものは、滲出液の少ないものに。

ポリウレタン・フィルム

銀のクリームや含浸ドレッシング材は、感染の兆候がある場合に。

代替医療

また発展途上国では、羊膜、バナナの葉、パパイヤペースト、ジャガイモなど、高価なドレッシング材の代替的に用いられているものが効果的であると示されている[26]

蜂蜜に関してさらに言えば、イランで伝統的に使われる蜂蜜・ごま油・オリーブオイルを混ぜた軟膏がII度熱傷に有効であったというRCTがある[27]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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